表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリート社畜、異世界でニートを目指す。  作者: う●こ味のカレー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/14

5話 詐欺サイト


 翌朝、いつものようにスマホの目覚ましアラームで起きる。

 ベッドにノミやダニはいなかったが、恐ろしく硬い寝床だった。おかげで全身がバッキバキだ。

 この世界の寝具がクソだと知る。


 スマホのバッテリー残量を確認したら、昨日と変わらず∞だった。


「ありがてぇ、ありがてぇ」


 画面に着信メッセージが届いていたので開いてみる。




   チュートリアル達成おめでとうございます。

   これであなたも異世界初心者、これからも切磋琢磨して世界のために頑張ってください。




 本能的にロールバックしたくなったが、我慢した。

 続きを見る。スライドさせると嬉しい特典があった。




   チュートリアルのクリアボーナスとして恩恵を授けます。

   換金……こちらの世界と元いた世界の通貨換金。バム→円、円→バムに。

   通販……元いた世界のアイテムを購入可能。ただし使えるのは円だけ。




「アイテム購入ッ! これだよ、これ、俺が待ち望んでいたのはッ! 現代社会日本の便利グッズを売り(さば)いて、楽して一攫(いっかく)千金! まさに異世界転生の醍醐味(だいごみ)! 勝ち確じゃねーか!」


 ジュルッ!


「嬉しさのあまりに(よだれ)が出てきたぜッ!」


 (よだれ)(ぬぐ)い、説明を読む。


「何々、換金レートは固定。貢献度により変動? どういうことだ?」


 さらに読み進めると、女神の依頼を達成すると換金レートが上がるのだとか。


「別に上がらなくてもいいだろう。百均の便利グッズが何万って額で売れるだろうからな。勝ち組よ、勝ち組」


 勝利を確信しながら、レートを見る。

 信じられない罠が待ち構えていた!


「銅貨一枚が、一円だとッ! こんなの絶対おかしいYO!」


 食事付きの宿泊費が銀貨二枚だ。銀貨=銅貨一〇枚だから、宿泊費は銅貨二〇枚。

 ここが一般的な宿だとしてざっくり計算すると、貨幣価値は銅貨一枚=千円くらいになる。

 それがバムから円替えすると約一〇〇〇分の一だと! 


「銀貨一枚が十円とか、どう考えても嫌がらせだ!」


 これがもし、一〇分の一だったらワンチャンあっただろう。

 エリート社畜として磨いた営業トークで売り捌く自信はあった。

 が、レートが一〇〇〇分の一では……。

 現代社会の百均グッズを仕入れるのに、金貨と銀貨が一枚ずつ。

 割に合わない……。


 利ざやで儲ける野望が、一瞬にして崩れ去った。


「いや、待て! ネットバンクに入れている金を使えば……」


 専用アプリでネットバンクにアクセするも、


「おい、全然繋がらないぞ!」


 狂ったように液晶画面を指で叩いていたら、メッセージを信した。


「女神からか?」


 メッセージを開いてみると、前世の口座関係は利用不可とのこと。


 つかえない恩恵に発狂しかける!


「あのアマァーーー! 今度会ったら、尻が倍の大きさになるまでぶっ叩いてやるぅ!」


 会えるかどうか分からない女神に毒を吐いても意味はない。

 冷静になって考える。


 手持ちの金がスマホにプールできるので、ぶっ込むことにした。


 財布の中身を調べる。

「えーと、カード決済できない店で革靴買おうとしていたから、銀行から下ろした三万が入っていたな。あとはいつも持ち歩いている三千円くらいか……。おっ、全部で三万四千七百八十七円入ってる! ラッキー!」


 日本円を金貨に換金するか、通販で現代社会のアイテムを買うか悩んだ。


「落ち着いて考えよう。円からバム換金すると千倍だ。だから、三千万バムは軽く越える。こっちの世界では大金だ。しかし、換金してしまうと現代社会の便利アイテムを買えない。換金しないと、現代社会のアイテムが三万四千七百八十七円分買える。どっちがお得なんだ?」


 男なら一攫千金を狙って、アイテム売買をするのだろうが、手持ちは三万四千七百八十七円。

 失敗するかもしれない賭けに全財産を投じる度胸はない。

 そんなわけで、引き続きこちらの世界でも社畜をすることにした。


 その前に腹ごしらえをしよう。腹が減っては戦ができぬと言うし。

 マズイ飯は食いたくないので、通販で食糧をゲットしよう。


 新たな恩恵である〈通販〉――スマホの通販アプリを起動した。

 通販サイト『カミゾン』のサイトに切り替わる。

 説明されなくても分かる操作方法。既視感のあるロゴマーク。某大手サイトをパクったようなデザインだ。

 著作権問題や、フィッシング詐欺サイトを彷彿とさせる。

 だが、操作性が同じのなのはありがたい。


 食料品を探す。


「おッ! 前世よりアイテム数が多いぞ! ファストフードの出前まである! それ以外にも物騒なアイテムを売っている髑髏マークのサイトにも繋がっている!」


 髑髏(どくろ)マークのサイトには『俺つえぇ』できる、黒光りする無骨な鉄塊が売られていた。しかし、お高い! なんせ非合法の品だ。現実社会でも激レアで目玉が飛び出るほど高い。


「ライフル弾が一発一〇〇〇円って、超コスパ悪いな。『俺つえぇ』は、厄介事が転がり込んでくるフラグだし、今回はスルーしよう」


 髑髏サイトから移動した。


 気を取り直して、食料品だ。

 若返って第二の人生をスタートしたお祝いだ。景気よくやろう!


 宅配ピザに缶ビール、フライドポテトを選択。全部で約五千円の出費だ。まあまあの散財だが、こういう儀式はケチってはいけない。士気向上のためにパアッとやらねば!


 ブラック企業の経営者みたいに、誰も見向きもしないゴミみたいな品を『日頃の労い』と称して押しつけられては従業員もやる気が出ないだろう。それと同じだ。


 決済ボタンを押すと同時に、目の前に現れた。

 タイパ抜群の演出に喜ぶも、頼んだ以上に金が減っていてビビった!


「嘘だろう! これ詐欺じゃねーかッ!」


 アカウントの預金残高が二万五千円にまで減っていた……。


 詳しくサイトの説明を読むと、送料が引かれる仕組みになっている。悪質なことに決済画面では表示されない! 送料は商品一つにつき千円! 缶ビールに至ってはクール便扱いとなっており値段が倍になっていた!


「ちっきしょーーーーッ! こんなの詐欺サイトと同じじゃねーか! 女神のアマァー、ハメやがったなぁーーーーー!」


 必死になって、返品しようとサイトを調べるも、クーリングオフは受けつけていなかった。


「それにしても危なかったな。もし百均グッズで一攫千金を狙っていたら……」


 送料千円という罠で爆死していただろう。

 諦めて飲み食いする。


「クソッ、高い金払っただけあってキンキンに冷えてやがる! ムカつくけどうめぇ!」


 朝からビールを飲み、駄目な大人になったことを噛みしめつつ、飯を食べた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ