第68話 メンバーのステータス
諸事情により編集しました。
時刻は夕方。普段の訓練通りだったら、もうそろそろ道具の後片付けを終えて解散しているところだけど、今日の私たちはまだ帰ろうとしなかった。私は一旦メンバーを、円を描くように座らせて、これからについて話し合いを始める。
「えっとまず、冒険者登録・・・つまり冒険者になれる条件を言うね。」
流石に何も教えないままメンバーにステータスウィンドを表示させるわけにはいかないから、クアルくんから受け取った『冒険者登録について』の内容を教える。メンバー一同、久々の訓練で身体が疲れているはずなのに全員が真剣な眼で私を見つめる。
「年齢制限はこの間みんな神の恩恵を受けたことでクリアはしている。だけど問題はその次、“冒険者登録するためには星暦2023年、夏の15日、土の日で行う試験に合格しなければならない。そしてその試験の参加条件は、熟練度でレベル10以上の項目が3つ以上もしくは種族特有以外でのスキルを2つ以上所持していること”。正直に言って今年でなれるのかは望み薄いけど、一応みんな現状を把握しておきたいからステータスウィンドを見せてもらいたいの。」
本当に全員が参加できる望みは薄い。でもまだ90日以上の時間がある。根を詰めれば何とかなるはず。最悪、今年じゃなくてもいい。全員同時に冒険者になれるなら来年でも構わないと私は思っている。
「りょーかい。同時に出す?」
「その方が良くない?」
「それじゃあみんな、右手を前に出して。拳の上に表示して見せ合おう!・・・ケマくん、それは左手。」
「あれ?あーこっちか!」
私の考えを了承してくれたメンバーは、キーちゃんの希望のもとで全員が円の中心に右手を出して、その上にステータスウィンドを表示することにした。
ちなみに王都バースの時、ケマくんとコルルちゃんに私のステータスウィンド、主に“転生者”と“神との対面者”という2つの称号が見られたくなかったからわざと表示ができないと嘘をついたけど、今回はちゃんとした打開策がある。それは、ステータスウィンドの一部隠蔽すること。この街に帰ってきた後、母にステータスウィンドは一部の文字を隠しながら相手に表示することが出来る事を教えてもらった。実際に何回か試してみたけど、全て母の教えてもらった通りあの2つの称号を隠しながら表示することに成功した。本当になんて都合のいい世界なんだ。
あの2つの称号はまだみんなに公開できないから、今回は隠蔽させてもらう。正直今見せて、後々質問攻めされるのが眼に見えている。私たちはお互いに顔を見合わせて、全員で心の中でとある言葉を演唱する。
(((((ステータスオープン!)))))
私たちの中心に5つステータスウィンドが表示された。
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カナタ・タユーリ
種族:人族
性別:女
状態:やや疲労 やや空腹
『称号一覧』
・平民の娘
・駆け回る者
・見習いの火魔法使い
・若手を導く者
『適性魔法一覧』
・火 ・無
『スキル一覧』
・【俊敏化】 ・【火炎耐性】
『熟練度一覧』
剣術 9
盾術 4
槍術 3
投擲術 2
体術 8
射撃術 1
歩行術 15
火魔法 10
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まずは私のステータスウィンドから。今回も見事にあの2つの称号を隠蔽しながら表示することに成功。自分だけ隠し事していることに少し罪悪感をある。これも早いうちに解決策を見つけよう。メンバーは何の疑いもなく私のステータスウィンドをまじまじと見つめる。
「熟練度はあと1つ足りないけど、スキルは2つあるからカナタちゃん参加できるってことだよな?」
「うん、そうなるね・・・それにしても、歩行術レベル15はすごいね!流石はカナタちゃん!」
「剣術もあと少しでレベル10になるみたいだし、カナタちゃんは問題ないみたいだね。」
「僕はカナタちゃんならもっと上だと思っていたけど・・・いや、これでも十分すごいのか!」
メンバーたちは私のステータスウィンドを褒める。やはり何かに優れているというこの優越感は気分が良い。毎日地道に頑張ってきた成果だ。取り敢えず私はクリアだ、次。
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キィ・ゾイヤー
種族:鬼人族
性別:女
状態:やや疲労 やや空腹
『称号一覧』
・平民の娘
・臭好家(特定の人物に限る)
・抱きつき魔
・見習い戦士
・見習い武闘家
・街を駆け回る者
『適性魔法一覧』
・光 ・闇 ・土 ・木 ・氷 ・雷 ・風 ・無
『スキル一覧』
・【筋力強化】 ・【氷耐性】 ・【雷耐性】
『熟練度一覧』
剣術 11
盾術 8
槍術 7
投擲術 2
体術 10
射撃術 1
歩行術 12
氷魔法 9
雷魔法 6
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次はキーちゃんのステータスウィンドを見る。そのステータスウィンドにはツッコみ所が満載だった。
「ええぇぇー!キーちゃんって本当はキィちゃんだったんだ!?僕、今まで伸ばして呼ぶのかと思っていた!?」
「称号が臭好家に抱きつき魔って・・・普段の行動がステータスウィンドに載せられているじゃん!?しかも特定の人物って・・・。」
早速ケマくんとクアルくんがツッコむ。本来はスキル一覧と熟練度一覧しか見ないつもりだったけど、私もついそれ以外の部分も見てしまった。これらの称号も私の様に隠蔽するべきだろう。何故隠蔽しなかった、知らないのだろうか。そう思いながらキーちゃんの顔をうかがうと、恥ずかしさで耳まで赤くなっている。どうやら後者のようだ、後で教えてあげよう。
「2人とも脱線しているよ。それは追々話すとして、今は試験に参加できるかどうか確認しよう。」
「おっと、そうだった。う~ん・・・普通にクリアできていない?」
「クリアしているね。スキルも3つ取得出来ているし、熟練度レベル10以上も3つある。」
「あっ、いや、この『氷耐性』は鬼人族みんなが持っているスキルだからカウントされないと思うよ?だから数えるのなら後の2つだね。」
「それでも熟練度でクリアしているから問題はないよ。」
それにしても適性魔法が8つってすごいな。魔法は確か先天的なもので、生まれながらの才能だったよね?私、もしかしてとんでもない人材育ててきちゃった感じ?これからキーちゃんの成長に目が留まりそうだ。そういえば本名はキィって言うんだ。これから何て呼ぼう・・・まあ、後々本人に聞いてみようか!キーちゃんもクリア、次。
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クアル・オルパーク
種族:鳥人族(烏種)
性別:男
状態:疲労 やや空腹
『称号一覧』
・平民の息子
・地を駆ける者
『適性魔法一覧』
・闇 ・水 ・土 ・雷 ・風 ・無
『スキル一覧』
・【飛翔】 ・【風圧耐性】
「熟練度一覧」
剣術 3
盾術 2
槍術 9
投擲術 6
体術 8
射撃術 7
歩行術 10
飛行術 13
土魔法 6
風魔法 9
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次はクアルくんのステータスウィンドを見る。私とキーちゃんの後のせいかクアルくんの称号の取得数がとても少ない。でも年齢的に考えてこれが普通なのだろう。そう考えるとやはり私とキーちゃんは異常って事か。
「・・・熟練度、全然数値足りてないじゃん。」
「うっせ。」
「熟練度はレベル10以上が2つしかない・・・ってことは、このままじゃクアルくん試験に参加できないって事?」
「いやでも槍術と風魔法はあと1つでレベル10になれるから、残りの時間を使えば十分に何とかなるよ。」
「でもスキルは2つも習得しているからクリアだね!」
「いや、この『飛翔』ってのは鳥人族みんな持っているから数に入らないよ。」
現段階では確かにクアルくんは参加できないけど、幸運にもすぐに打開策が見つかった。それにしてもクアルくんも意外と適性魔法が多いなぁ・・・成長次第じゃキーちゃんといい勝負になるかも。ていうか種類は烏だったんだ。翼も髪の色と同じで茶色だったから全然知らなかった。クアルくんはアウト、明日から頑張ってね、次。
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ケマ・ヒュジェーラ
種族:獣人族(熊種)
性別:男
状態:やや疲労 かなり空腹
『称号一覧』
・平民の息子
・大食漢
・街を駆け回る物
『適性魔法一覧』
・木 ・雷 ・風 ・無
『スキル一覧』
・【索敵】 ・【直感】 ・【俊敏化】
『熟練度一覧』
剣術 4
盾術 2
槍術 1
投擲術 2
体術 9
歩行術 12
雷魔法 8
風魔法 8
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次はケマくんのステータスウィンドを見る。記されている文字が少ないせいか、他のメンバーと比べて少し小さく感じる。私たちは先のクアルくんのこともあり、少し嫌な予感していた。
「スキルは3つ・・・ケマくん、この中で種族スキルはどれなの?」
「えっと・・・この『索敵』と『直感』だね!何かを見つけたり、勘が鋭くなったりするよ!」
「へー2つもあるんだ。ってことは、カウントは1になるのか。」
「熟練度もレベル10以上が1つしかない。体術と風魔法が数値的に近いけど・・・。」
「んじゃあ明日からその2つを中心に頑張ってみるよ!まだ90日も時間があるんだし、何とかするよ!」
ケマくんはいつも通りの明るさを保ちながら、自分で解決すると進言した。彼の言う通り時間はたっぷりある。努力次第でレベルを1つ上げることはできるはず。あと状態が“かなり空腹”になっている、我慢しているようだ。早く家に帰して上げよう。ケマくんはアウト、期待しているよ、次。
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コルル・チェガンバ
種族:妖精族
性別:女
状態:かなり疲労 やや空腹
『称号一覧』
・平民の娘
・鍛錬する者
・勤しむ者
・見習い木魔法使い
『適性魔法一覧』
・光 ・火 ・水 ・土 ・無
『スキル一覧』
・【魔力供給(森林に限る)】 ・【軽量化】
『熟練度一覧』
剣術 5
盾術 6
杖術 6
槍術 5
弓術 9
投擲術 6
体術 5
射撃術 5
歩行術 6
水魔法 7
土魔法 7
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最後にコルルちゃんのステータスウィンドを見る。ここで私たちはようやく気付いた。コルルちゃんが先からずっと自信無さ気にうつむいている。その原因はすぐに分かった。
「『魔力供給』?コルルちゃん、これもしかして・・・。」
「うん、妖精族みんなが持っているスキルだよ・・・。私はあと1つ足りないんだ・・・熟練度もそう・・・。」
コルルちゃんの言葉に全員が固まった。そう彼女はクアルくんやケマくん同様にクリアできていない。でもケマくんの言うとおり時間はたくさんあるのだからこれから訓練すればどうにかなるのだけど、問題はそこではなかった。
コルルちゃんはパーティーの中で一番訓練に対して頑張ってきた。指導者の私がそう保証する。正直ステータスの数値は彼女もかなり高いじゃないかと少し期待していた。しかし熟練度でレベル10以上になっている項目が1つもない。つまりコルルちゃんの今までの努力は私たち程、実らなかったということ。自分だけみんなに遅れている、そう察したコルルちゃんは先からずっと気が滅入ってしまっていたのだ。
「ごめんね・・・私、やっぱりみんなに遅れていた・・・。でもね、頑張ったんだよ・・・みんなと一緒に居たくて、頑張って・・・。」
コルルちゃんは今にも泣きそうにそう呟く。足手まといの自分のせいでパーティー内に不安な空気を作ってしまった事に酷く罪悪感を纏わせる。しかし私は、コルルちゃんがそんなことを言う必要はないと思う。
「ねえみんな、コルルちゃんのステータス・・・すごくない?」
私の言葉にコルルちゃんは一度ビクンと大きく震え、ゆっくりと自身のステータスウィンドの方へ顔を上げる。
「うん、これはすごい!熟練度全部レベル5以上だ!そういえばコルルちゃん、毎日別々の武器で試合していたもんね!私なんて射撃術レベル1だよ?最初見られたときすごく恥ずかしかったんだから。」
「この軽量化ってスキル、コルルちゃんしか取得していないね。なあ、明日でもいいからどうやって覚えたのか教えてくれない?翼とか軽くしたらかなり便利だろうなぁ。」
「ねえカナタちゃん、称号一覧の下から2番目・・・あれ何て読むの?」
「勤しむ者。確かに何かに対して頑張るって意味だったはずだよ。」
「ほぇ~何気にすごい称号だね!毎日僕以上に頑張ってきたコルルちゃんにぴったりな称号だね!」
そう、私たちはみんなコルルちゃんを蔑んだりはしない。私たちは実力で人を判断はしない。コルルちゃんという個人と一緒に冒険者になりたいのだから。それにメンバーの言う通りコルルちゃんのステータスは私たちに劣っている部分はあるが、際立って優れている部分もある。それだけでも十分に誇れることだと思う。
「み、みんな・・・。」
コルルちゃんの涙腺は崩壊寸前。メンバーの励ましに心から歓喜していた。
「大丈夫!(仮)リーダーである私が、責任をもって試験参加条件を満たして上げる!もちろんクアルくんとケマくんもね!」
「これからはステータスウィンドの表示が出来るようになったから、ちょくちょく確認しながら訓練していこう。」
「おっ、いいねそれ!そうすれば訓練の方向性も考えやすいしな!」
「僕も全然だめだし、これから頑張っていこう!」
「・・・うん、みんな・・・ありがとう。」
これにて話し合いは終了した。上を見上げると、いつの間にか空が赤色から暗くなりかけている。私たちは親が心配する前にすぐに訓練所から出て、手を振りながら解散した。その時のメンバー一同の希望を見つけたような嬉しそうな表情だった。
不自然な点があれば、是非ご指摘してください。




