表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄たちが求めるエンディング  作者: 岩ノ川
第1章 アスタ・サーネス
21/96

第20話 【水魔法:アクア・ピストル】

諸事情のため編集しました。

旧タイトル“アクア・ピストル”

 森に入った俺たちはただ歩きながら話していた。叔父さんとの話しは弾み、数分の時間があっという間に経った。今この一時はまさに平和そのものであった。魔獣が出る森の中なのに平和であった。


 意外に魔獣と出くわさないもんだな。あの時のブラックウルフの群れは偶然だったのか?・・・まあ別に会いたいわけでもないけど。


「アスタ、早く来い。置いていくぞ~。」


 俺が1人で黙々と考えたせいで歩く速度が落ち、叔父さんとの間に距離ができてしまい急いで駆け足で追いかけた。いくら魔獣に出くわさないとはいえ、1人になるのは危ない。俺は森を歩いている間、考えるのをやめた。



 その後しばらく叔父さんについて行って歩いていると、森の中に木々が無いちょうどいい広さの平地に着いた。どうやらここが目的地のようだ。叔父さんは俺を平地の中央に立たせ、1本の木に近づいた。


コンッコンッ


「うん、こいつで良いか。」


「よし、それじゃあさっそく始めるか!」


 叔父さんはその木をドアをノックするかのように叩いた。まるで何かをチェックしているかのように。叔父さんは俺のもとに来て攻撃魔法の教授しようとした。


「よし、まずは形から入るか。アスタ、魔法を教えている間、俺の事 師匠と呼べ!」


 叔父さんは両手を腰に当てそう言った。かたちから入る、つまり“教えを乞うものは常に礼儀を持て”という事なんだろう。俺から言い出したことだから、もちろん異論はなかった。


「・・・分かりました。よろしくお願いします、師匠!」


 言いなれない単語に恥ずかしさを感じながらも、俺は普段は出ない大きな声でそう言った。すると叔父さんは口元を抑え、肩が揺れ始めていた。


「・・・すまんアスタ。今のは・・・冗談だ。まさか・・・本当に言うとは思わなかった。・・・っふふ。」


 どうやらさきのは叔父さんの悪乗りだったらしい。口元は笑顔を隠すため、肩は笑いによる振動のようだ。俺はそれを見て高まったやる気が一瞬そがれた。


「ふぅー・・・すまん、落ち着いた。それじゃあ始めるか!」


 真剣な表情になった俺によほどツボに入ったのか、叔父さんはようやく笑いをやめて俺を指導しようとする。


「あ、ちょっと待ってください!」


「ん、どうした?」


「叔父さん・・・1つ聞きたいことがあるのですが。」


 ここにきて叔父さんに相談し始めた。内容は、数年前にとある旅占い師に魔力量が少ないと言われた、それでも攻撃魔法は使えるかという事。本来昨日のうちに聞くべきだったが、攻撃魔法を教えてもらえるという事で頭がいっぱいになり、すっかり忘れていた。


「へ~、今の占い師は相手の魔力が分かることができるんだ。」


 叔父さんは俺が出会った占い師に興味を持った。叔父さん曰く、普通の占い師はそんなことができないらしい。あの時会った占い師のロップさんが特別という事なんだろう。俺の話を信じた叔父さんは腕を組み考えた。


「う~ん、そうだなぁ・・・アスタ、補助魔法は使えるのか?『ザ・ウォーター』とか、『リ・シャワー』とか。」


「あ、はい。その2つなら使えます。毎日使ってきたわけではありませんが。」


 叔父さんは唐突に質問した。ナエナちゃんがペレーハ村から引っ越してから数週間後、俺は家業を手伝うにあたって両親から2つの魔法を教えてもらった。

 1つ目は『ザ・ウォーター』。人差し指の指先から水が出る魔法。出てくる水を調節することにより水圧が少し上がり、店に展示する花瓶などの掃除するときに使う。

 2つ目は『リ・シャワー』。人差し指と中指をねじりその間から水がシャワー状になって出てくる魔法。これも調節次第で出てくる範囲を広げることができ、主に庭の花たちの水やりなどに使っている。


「うん、それを使えるのなら問題はないと思うぞ?今日教える魔法もそれほど魔力を使うわけじゃないから。」


 叔父さんの返答を聞いて俺はホッとした。これでようやく攻撃魔法の練習が始まる。


「よし!まずはこれからだ。」


 叔父さんはそう言いながら右手の親指と人差し指を立て拳銃のような形にし、さっき確認した木に狙いを定める。


【水魔法:アクア・ピストル】


 叔父さんの人差し指から勢い良く出てきた水の弾は、木の真ん中に見事に命中した。俺はこの魔法に見覚えがある。そう、この森で数年前 叔父さんが見せてくれた魔法であった。あの時は両手だった気はするが、今回は片手で発動した。


「今のは『水魔法:アクア・ピストル』!利き手をこんな風な形にして、指先から水の弾を強く真っすぐに飛ばす魔法だ!それじゃあさっそくやってみるか!」


 叔父さんは俺に手取り足取り教えてくれた。この魔法は水の弾が勢いよく前に発射されることにより、反動がすごいから足の歩幅は十分に取り、右手は常に肩の高さで固定し、首は少し右に曲げて方目を瞑り、最後に狙いをよくするために左手で右手首を掴んだ。さっき叔父さんが片手でやったのは慣れているからできたらしい。最初のうちはみんな両手から始めるそうだ。


 ・・・ん?てことはあの時両手だったのは、この魔法にまだ慣れていなかったってことか?・・・いや、きっと狙いを定めるためだったからだろう。うん、きっとそうだよ・・・な?


 叔父さんの指導によって魔法を撃つ体勢ができた。指先に魔力を集中し、水の球が指先から出るようにイメージした。


「よ~し、呼吸を整えて・・・撃てッ!」


 叔父さんの掛け声と同時に俺は心の中で魔法を演唱した。


【水魔法:アクア・ピストル】


チョロチョロチョロ~


 俺の指先から確かに水が出た。しかしこれはピストルではなく、ただの子供の水鉄砲。後ろにいる叔父さんの方へ振り向くと、叔父さんはクスクスと口を押えて笑っている。これは言われなくても分かる、失敗だな。正直一発で成功できると思っていたが、さすがにそこまで都合は良くはなかった。笑いが収まった叔父さんは俺に失敗した原因を2つ教えてくれた。


「やっぱイメージかな?魔法は頭の中で具体的にイメージしないと、どんな強力な魔法でも十分に発動はできない。自分の身体のこの部位から出て来てこうなるってイメージしないと!イメージが曖昧だと暴発してケガをすることもあるから。あとは発動する時の気持ちと・・・感情?つまりは心だ!心が明るくないとせっかくイメージしてもその通りには魔法は発動できない。つまり無理やりでも気持ちを明るくしろ!」


 叔父さんの説明は少し大雑把だが理解はできた。確かに叔父さんの言うとおり俺は指先に水の弾を創ることだけを考えて、発砲から先はあまり強くイメージをしていなかった。そして俺の気持ちも初めての魔法緊張していたかもしれない。反省点をふまえて俺はまた同じ体勢に入り、もう一度アクア・ピストルに挑戦した。


2回目


【水魔法:アクア・ピストル】


チョロチョロチョロ~

失敗


3回目


【水魔法:アクア・ピストル】


チョロチョロチョロ~

失敗


4回目


【水魔法:アクア・ピストル】


チョロチョロチョロ~

・・・失敗


 4回ともピストルとは程遠いただの水鉄砲。集中していたせいか俺の息は少し荒くなり、謎の疲労感を感じてきた。


 何でうまくいかないんだ・・・!やっぱり、魔力が少ないからかな。


「だいぶイメージが出て来たんじゃないかアスタ!あともうちょっとでできるかもしれないぞ!それとももう休むか?」


 叔父さんが俺の顔を見て察したのか、俺を元気づけてくれた。確かに心なしか少しだが水鉄砲の射程距離が伸びている気がする。魔法が俺のイメージに近づいているということなんだろう。何も言わず首を横に振り、もう一度両手を上げ的である木に狙いをつける。叔父さんは静かに俺を見守ってくれた。

 俺はより具体的にイメージした。まず俺の右手を一丁の拳銃のように意識した。前世で俺が高校生の時、クラスの男子が一時期何故か拳銃に流行っていて、よく学校にモデルガン等を持ち込んでいた。そいつらとは別に親しいわけでもなかったから、いつも自分の席から遠目で見ていた。俺はあの時見た、その銃の形状や握り方を思い出し、自分の右手に繋ぎ合わせる。人差し指を銃口とし、引き金引く指は中指で代用し実際引くように意識し、親指は特に思いつかないからそのまま立たせた。

 最後に指の先に水の球体を創り数メートル先の木に、いや数メートル先の木の“真ん中”に命中させることイメージする。俺は静かに呼吸を整え、魔法を発動した。


【水魔法:アクア・ピストル】


 イメージがより具体的になったおかげか、指先から発射された水は想像した通りの丸の形になっていた。しかし、それは叔父さんのと比べて球体は小さく速度が遅かった。水の弾は狙いの木にまっすぐ向かうが届かず、俺と木の中間で落ちた。中途半端な結果に達成感を感じなかった俺は的であるその木をただ傍観した。


「うおおおお!やったじゃんアスタ!すげー、たった数回でよく原型に近づけたおい!お前実は1人でこっそり練習していたんじゃないか!?」


 背後から叔父さんが抱き着き、頭をモミクシャするようになでた。いきなりの事に全く理解できなかった。魔法は木に届いていないのに、何故か叔父さんは嬉しそうに話しかける。その表情は驚きと同時に、笑っていた。


「えっ、えっ?今の・・・失敗じゃ・・・。」


「いやいやいやいや!弾はちゃんと丸だったし、的に向かって真っすぐ向かっていたし、文句なしの成功だよ!」


 俺から見たら明らかな失敗なはずなのに、叔父さんは片手でOKサインを出し成功だと言い張った。成功の基準が分からなかった俺は叔父さんに説明を求めた。

 どうやら補助魔法もそうだが、魔法の練習で最も苦なのはその魔法に対しての具体的なイメージらしい。魔法には絶対的な概念もなければ原型もない。1から想像し、試行錯誤や往復をしてようやく出来上がるもの。だから魔法の習得は基礎がある武術と違って大変だという。この『アクア・ピストル』もこれといった原型は特になく、“水が球体”で“まっすぐに発射”という項目に沿っていれば成功になるそうだ。

 ちなみに叔父さんがこの魔法で、水の弾が出るまで丸一日かかったそうだ。だからたった数回で水の弾が出るようになった俺に驚いたのだろう。しまいには“お前は天才か⁉”と俺を持ち上げる。おそらく成功したカギは、俺の右手を前世で見たモデルガンのようにイメージしたのだからだろう。この世界に銃という文化がないせいでこの世界の住民は、イメージがつきにくいんだろう。


 ん?じゃあなんで、ピストンっていう単語がこの世界にあるんだ?・・・ダメだ、これだけは想像がつかない・・・。


「よし、アスタ!今の忘れないうちに、もう一回やってみよう!これもしかしたら今日中に良いところまで行くんじゃないか!」


・・・まあ、考えてもしょうがないか。

今こうして魔法が使えるんだし、別にいいか。


 しばらく考え込むと叔父さんは何故かテンションが上がって、俺に練習の続行を進めた。俺はこの魔法の名前の由来を深く考えるのをやめた。魔法の成功に実感し始めたのか、暗い気持ちは無くなってやる気が上がり、俺は魔法の練習を続けるのであった。

不自然な点があれば、是非ご指摘してください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ