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英雄たちが求めるエンディング  作者: 岩ノ川
第1章 アスタ・サーネス
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第19話 練習のため森へ

諸事情により編集しました。

次の日の早朝


 いつもは部屋に入ってくる朝日の光に反応して俺は起きるが、今日は起きたというより起こされた気分だ。転生して始めて俺は二度寝したいと思った。結局叔父さんのいびきに慣れず、睡魔によってようやく眠れた。


 ・・・ねっむ・・・。結局何時に寝たんだろ・・・まあいっか・・・。


 ベッドから立ち上がって、重たい瞳を力強く閉じながら背伸びをして、俺は目を覚ませた。そして寝間着から着替えて部屋から出た。部屋から出ると1階から美味そうなにおいがしてきた。いつもの朝食とは違う匂いに疑問に思いながら、階段降りて行った。1階に降りるとなんと、普段めったには食べられない肉が野菜の上に乗っていた。しかも朝から食べやすいように1枚1枚薄く切られている。その豪華なおかずが俺に食欲を沸かせた。


いいにおい・・・今日は何でこんなに美味そうなにおいがするんだ?


「お、アスタおはよう。」


 階段に降りてきた俺に気付いた父さんが俺に挨拶をする。先に席について食べ終わったところのようだ。


「おはようございます。あの、このお肉は?」


「ああ、これか?なんか母さんがクミルと約束らしくてなあ。ここに泊まる代わりにこれから朝・昼・夕のご飯の調達をクミルがしてくれるそうだ。」


 えっ、調達って3食分のことだったの⁉


 どうやら昨日のあの約束はそういう意図が隠れていたようだ。確かに1食分とは一言も言っていなかった。母さんは意外と抜け目がない。俺は良い笑顔で今も料理をしている母さんを見てそう思った。そして一つ気になっていたことがあった。それは叔父さんの姿が見当たらないということ。


「そういえば叔父さんは?」


「ああ、魔獣を狩る時に返り血が服に付いたんだって。だからいま庭で洗濯をしているよ。」


 父さんに質問すると、庭につながる扉に指をさしながら答えてくれた。気になった俺は扉に近づき、扉についているガラス越しで庭を見てみる。父さんの言うとおり、叔父さんは何故か上半身裸でうちの洗濯板とタライでゴシゴシと服を洗っている。よほど大事な服だったのか“俺のお気に入りの服がぁぁぁ!”と荒れたセリフを言いながらやっている。懸命に洗濯をする叔父さんの姿を俺は苦笑いで見た。


 ・・・朝から元気だなぁ。さすがは冒険者・・・。ってかお気に入りなら着替えて行けばよかったのに。母さんにその格好のまま行かされたのかな?・・・いや、さすがの母さんでもそこまではしない・・・よな?


「ほらアスタ。叔父さんはほっといて、先に食べなさい。」


「でも、叔父さんがとってきてくれたんですよね?先に食べるのはちょっと・・・。」


「いいの。ちゃんと叔父さんの分はあるんだから。それに服が汚れたのは叔父さんのせいでもあるのに。」


「・・・?どいうことですか?」


「クミル叔父さん、眠いからって寝間着のまま狩りに行ったのよ!魔獣を剣で倒したら、そりゃあ返り血が付くわよ。はぁ~、強いくせに変なところで抜けているのよね・・・。」


 え、寝間着のまま行ってきたの!?じゃああれ寝間着!?・・・ならしょうがないな。それは叔父さんが悪い・・・。そして母さん、疑ってごめんなさい・・・。


 あくびをしながら剣を持って出ていく叔父さんの姿が何故か容易に想像ができた。そして心の中で母さんに謝罪した。俺は母さんの言うことを聞き自分の席に座った。そして俺の前に置かれた朝食を食べ始める。

 母さんの料理はいつも色鮮やかで美味しいが、今日は肉がある分いつも以上にうまそうに見える。俺は箸を持って肉で下の野菜を包んで食べた。期待を裏切らないその美味さは俺の食欲をさらに沸かせ、何度も箸で俺の口に運んだ。先まで気にしていた叔父さんの事を忘れ、俺は黙々と朝食を食べ続けた。



 朝食を済ませた俺は、自室で身支度を始めていた。今日は待ちに待った攻撃魔法の練習。食事が終わって部屋に戻ろうとした時に、選択が終わり遅れて朝食を食べる叔父さんに“魔法の練習だけだから、動きやすい格好でいい”と言われたので、俺は動きやすいなおかつ汚れてもいいような服を選び気合を入れる。といっても俺は女性のように服を多く持っているわけではない。数年前、母さんが王都で買ってくれた服は、俺の身体が大きくなったせいで着れなくなり、今ではほとんどが父さんのおさがりである。だから気合を入れようにもすぐに決まってしまい、もう身支度が終わってしまった。自分の服の少なさに小さく不安を感じたが、気にすることでないと思いすぐになくなった。


 もうちょっと服のバリエーション増やした方がいいかな・・・。まあしょせん平民だし、必要ないか。特に気を遣う女性がいるわけでもないし・・・。


 身支度を済ませ俺は自室から出て、1階の食卓に向かった。しかし下に降りると朝食を食べているはずの叔父さんはいなかった。残って皿を洗っている母さんに聞いた。


「叔父さんなら今 お父さんの所にいるわよ。」


 どうやらもう朝食を食べ終わっていたようだ。俺と同じ量を食べていたから、もう少しかかると予想したが、思ったより早く完食していた。母さんに教えてもらった俺は父さんの所、つまり店内の方へ向かった。

 家から店に入ると、店内には誰もいなかった。店の出入り口を見てみると、叔父さんと父さんが談笑していた。箒を持っている父さんを見る限りちょうど店を開いたところのようだ。俺は談笑している2人に歩み寄った。


「お、来たか、アスタ。」


 店内から出てきた俺に叔父さんが気付いた。その姿は、俺の練習のために冒険者らしい格好に着替えてくれていた。さきの洗濯をしていた者と同一人物とは思えないくらいかっこよく見えた。叔父さんは最後に“準備は良いか?”と確認をすると、俺は首を縦に振った。それを見た叔父さんは、俺とともに家から離れようとした。


「アスタ、大物期待して待っているぞ!」


「・・・あんまり期待しないでください。それでは、行ってきます。」


 父さんと軽く冗談を話した後、俺は軽く一礼して叔父さんとともに攻撃魔法の練習のために家から離れた。俺は攻撃魔法を学べることに今から心が躍り始める。


 ついに、夢にまで見た攻撃魔法・・・!



 ペレーハ村では、村の中では攻撃魔法の使用は禁止になっている。だから俺たちは北東門から出て近くにある森へ向かった。そこは数年前に叔父さんが俺の前で、魔法と剣を使ってブラックウルフを倒した場所の近くである。太陽が昇り切っていないせいか森は十分暗く、今でも何かが飛び出してきそうだ。少し不安になる中、俺は黙々と叔父さんの後ろをついて行った。


 まさかいきなり魔獣と戦えとか言わないよな・・・。


「そういえば、あの時の赤毛の子は今どうしている?」


「・・・神の恩恵の時、俺と一緒にいた女の子のことですか?」


「そうそう!確か冒険者になりたいって言ってたあの子!」


 叔父さんの言う赤毛の子とはナエナちゃんの事であった。叔父さんと約束したあの日、一緒にいたナエナちゃんの事もどうやら覚えていたようだ。俺は学校に通うため去年一家で王都バリエンスに引っ越したことを叔父さんに話した。


「そうか、あの子王都の学校に行ったんか。にしてもバリエンスなんてまたいい所に行ったな~!」


 俺の話を聞くと叔父さんは腕を組みながら1人で深く納得をした。話しを聞くとどうやらナエナちゃんが行った王都バリエンスは冒険者ギルドの総本山らしく、そこにある学校はウエスト大陸一を誇る冒険者育成所で、そこを卒業して冒険者になった者はみんな上級の冒険者になっているそうだ。叔父さんは別の学校で卒業したらしいが、その学校で卒業した同い年の冒険者とはかなりの実力差があるらしい。叔父さんが達成できない高難易度の依頼をも難なくこなせるらしい。


「まああいつら全員人族じゃあねえし!人族と他種族じゃあもともとのステータスが違えし!特に妖精族とじゃ、魔力量で勝てるわけねえし!むしろ人族でここまで頑張っている俺はすごい方だし!」


 唐突に言い訳を言い出した。心なしか少し怒っているように見えた。態度の変化に驚いた俺は話を聞いた。

 どうやらそこの卒業生の1人の、とある妖精族といつもいがみ合いをしているようだ。毎回自分の方が功績が良いと向こうから喧嘩を売って、それを叔父さんが反発すると、何故か叔父さんが冒険者ギルドのお偉いさんに怒られるそうだ。理由が分からないその理不尽さに、叔父さんは毎回怒りを堪えているそうだ。


 その妖精族の人の功績がいいからそのお偉いさんも何にも言えないのか?つまり贔屓か・・・冒険者ギルドも案外会社と似ているんだな。・・・それにしてもこの世界でもいるもんだな。成績で自分と相手を比べては、相手を貶す奴。・・・俺の一番嫌いなタイプだ。


 学生、いや浪人生だった俺には体験したことはないが、こういった話はよくテレビのニュースで聞いていた。冒険者内の意外な事に、冒険者にならなくてよかったと思った。ここで俺はふと叔父さんの顔を見ると、嫌なことを思い出したのかその表情はかなり恐ろしいものになっていた。俺は内心“ヤバい、これはヤバい!”と思い、必死に叔父さんをなだめた。年上の人を落ち着かせるのは苦手だが、俺なりに頑張ってみた。


「・・・まああの野郎は例外として、あそこを卒業した奴はみんな内面的にいい奴ばっかだから。あの子が卒業するのが楽しみだな~。案外俺より才能があって俺を越えたりして。」


 叔父さんは落ち着いてくれたのか、最後は笑って話してくれた。それを見た俺は内心ほっとした。怒った叔父さんの顔なんて見たくないから。


 それにしても、本当にすごい学校に行ったんだな、ナエナちゃん。あの時ロップさんの言うとおり、本当にみんなに憧れるような冒険者になるかもな。確か“可憐な剣士”になれるんだったっけ?・・・本当、すごい子と友達になったんだな・・・俺。


 叔父さんの話を聞いた俺はナエナちゃんの数年後の姿を妄想し、そして冒険者になりたい彼女の真剣さを再確認できた。まだ冒険者になっていないけれど、そんな自ら名門校に行ったナエナちゃんと友達だという事に、俺は少し誇らしく感じた。だけどここで俺は別の考えと感情が出てきた。


 ・・・そんなすごい学校に行っているんなら、きっと俺のことなんか忘れているかもな・・・。うん・・・ナエナちゃんかわいいし・・・俺なんかより良い人が見つかるよな・・・。


 うまく言葉で表されない感情だった。嫉妬でも妬みでもない。ただ俺の心は暗くなった。せっかく叔父さんの機嫌が良くなったのに、今度は俺が不機嫌になってしまった。叔父さんに気を遣わせないように顔に出さないようにし、気持ちを切り替え叔父さんと会話を続けた。少しくらい森の中で話す俺たちの姿は、誰から見ても明るく見えた。しかし、俺の心の中にはまだ小さくその感情が残っていた。

不自然な点があれば、是非ご指摘してください。

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