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英雄たちが求めるエンディング  作者: 岩ノ川
第1章 アスタ・サーネス
19/96

第18話 クミル叔父さんとの再会

諸事情により編集しました。

時は数年前にさかのぼる。

マーシェナ一家がペレーハ村から出て1年近くの時間が経ったある日、村に乗客を乗せた1台の馬車がやって来た。ペレーハ村に着くと乗客は村まで運んでくれた御者にお礼を言い、横に置いてある大きなリュックを背よい馬車を降りた。乗客は腰に溜まった疲労感をほぐそうと、その場で両手を高く上げて背伸びをすると、まっすぐ花屋サーネスに向かい、店の出入り口へと入ってきた。当時まだ店長である父さんがその乗客を客として対応する。


「いらっしゃい。・・・ってクミルじゃねーか!」


「久しぶり兄さん。」


 村にやって来た乗客はクミル叔父であった。父さんと叔父さんは軽く握手をして再開の会話を始める。他の客がいなかったため2人は店内で堂々と話す。


「よく来てくれたな!今日はどうしたんだ?また依頼で近くまで来てたんか?」


「いいや。今日は俺個人で用があってきた。」


「個人的な用?一体なんだ?」


「アスタと約束していたんだ!今アスタいる?」


 父さん、叔父さんと交互で会話をする中、俺の名前が会話の中に出てきた。叔父さんに言われ父さんは庭にいる俺をその場から呼びかける。


「アァァァァスタァァァァァ!!!」


 店内には他の客がいなかったせいか、父さんは遠慮なしに大声で俺の名を叫ぶ。当然俺は驚き、一緒に花の手入れをしていた母さんとともに店の方角に振り向く。何事かと思い、俺は急いで店の方へ向かった。


「どうしたんですか、大声で呼ん・・・ってクミル叔父さん!?」


「よっ、久しぶりアスタ!少しでかくなったな!」


 店に着いた俺が叔父さんを見ると父さんと同じ反応をする。俺は叔父さんたちの方へ歩み寄り、そして一礼をする。


「お久しぶりです。今日はどうしたんですか?」


「お前に魔法を教えに来たんだよ。ほら、洗礼の日に約束しただろ?」


 俺は少し固まった。当時の俺は花屋の仕事に集中していたため、3年以上前の叔父さんとの約束を完全に忘れていた。叔父さんに言われ俺のあの日の約束を思い出した。


「・・・もしかして忘れていたか?」


「・・・はい。すいません・・・。」


「まああれから随分時間が経ったからなぁ。しょうがないか!」


 叔父さんは笑って許してくれた。俺は心から申し訳がないと思った。わざわざ大陸最端にあるこの村に来てくれたのに、約束を言い出した本人が忘れているなんてあってはいけない。1回下を向けた俺の頭はなかなか上げられなかった。


「それでアスタ、明日はどうよ?」


「えっ・・・はい?」


「だから、明日から魔法教えられるけどどうかってこと!」


「・・・えっ!?」


 叔父さんの唐突な提案に俺は驚いた。いきなりのことに理解できなかった俺は叔父さんに話しを順におって聞いた。

 どうやら叔父さんが組んでいた冒険者パーティーは分けあってしばらく活動休止になったらしく、この機会に俺との約束を果たすためにわざわざこの村に来てくれたそうだ。どういう分けで活動休止になったか気になるけど、今は別に聞かなくていいか。

 理解した俺は叔父さんの誘いに心の底から嬉しかった。だけど、それをすぐには承諾しなかった。確かに店長がまだ父さんだったから当時の俺の仕事は少なく、すぐに終わって暇な時間が多かった。しかし明日は氷の日、平日である。父さんはまだまだ若く現役であるが、何かあった時のために残る必要があった。俺は顔を伏せて叔父さんの提案を断ろうとした。


「・・・どうしたアスタ?何か都合悪いのか?」


 喋りだす前に父さんが俺に質問した。


「えっ・・えっと・・・明日も仕事があるので・・・。」


「あ~、そういうことか。別にいいよ。クミルがこの村にいる間はしなくても。」


 攻撃魔法を覚えたいという俺の気持ちを察したのか、父さんは俺に許可をくれた。さり気無く言った父さんの言葉を聞いて俺は驚いた。


「いいんですか?」


 父さんに再確認で聞いたが、その時の俺の表情は無意識に笑顔になっていた。


「おう!せっかくクミルが来ているんだ、教えてもらえ!何だったらクミル、お前冒険者なんか辞めてこの村に住んで俺の花屋を手伝うか?」


「いやだよ、こんな儲けが少なそうな花店に働くなんて!」


「っんだとゴラ!?割といい暮らしで過ごしているぞ!花屋なめんな!」


 許可のついでに冗談なのか父さんが叔父さんにお店の経営の手伝いを誘うと、叔父さんがこの店にケチをつけた。するとすかさず父さんが反論をする。まるで前もって組んでいた漫才のような光景に俺は思わず笑ってしまった。

 こうして父さんの許可のもと明日叔父さんに魔法を教えてもらえるようになった。しばらく男3人店内で話していると今日初めての客が来た。父さんは仕事に取り掛かり、俺と叔父さんは家に入った。別れ際に俺はお店の方へ振り向くと、私生活から仕事の切り替えをこなす父さんの姿を見てさすがはプロだと尊敬した。家に入った俺と叔父さんはちょうど庭の花たちの手入れが終わった母さんと鉢合わせた。


「あら、クミル!」


 叔父さんを見た母さんは、俺と父さんと同じ反応をした。そんな母さんに叔父さんは順を追ってここに来た理由などを説明する。


「・・・ふ~ん、そうだったんだ。じゃあ明日から魔法の練習するの?」


「はい。村を出てすぐの森でやろうと思っています。」


「・・・まあアンタなら心配ないわね。」


 母さん、叔父さんと交互に話す。どうやら母さんは叔父さんの説明で納得してくれたようだ。母さんは叔父さんとの会話を一旦止めて、叔父さんの隣に立っている俺の方を向いた。


「よかったわね、アスタ。気を付けるのよ?」


「はい!ありがとうございます!」


 叔父さんの実力を知っているのか、母さんは俺に攻撃魔法の練習の許可をくれた。俺の都合のいい展開に俺は笑顔で母さんに深く頭を下げた。そんな頭を下げた俺の頭を母さんは撫でた。そして母さんは叔父さんの方を向いた。


「そういえばさっきの大声、あれクミルだったの?営業妨害になるからもうやめてよね。」


「いやいやいやいや⁉俺あんなオジィみたいな声じゃないですよ!あれは兄さんです!それに景気の悪いこんな花屋を営業妨害してもしょうがないでしょ。」


「はぁ~なによ!割と景気は良くなっている方よ!花屋なめるな!」


 母さん、叔父さんとまた交互に会話を始める。先ほど父さんも言っていた“割と”という言葉に少し引っかかったが、俺はなにも言わず二人の立ち話を見ていた。


 じゃあ前までは景気良くなかったの?・・・まあ、花屋だしなぁ。ってか母さん、身内だとそんな荒れた言葉遣いになるんだ。父さんだけかと思った・・・。


「・・・ところでクミル、そのリュックはなに?かなりでかいけど。」


 確かにかなり大きい。成人が小さく体育座りで入れるくらいの幅と高さはある。・・・俺に魔法を教えるために何か持ってきてくれたのか?


「ああ、これ?しばらくここに泊めてもらおうと思って、替えの服を用意した!」


 叔父さんは背よっていたリュックを下ろして中身を見せる。中は叔父さんの言うとおり衣類がずっしりと詰め込まれていた。リュックの大きさを考えて相当の量の衣類が入っている。


 何日止まるつもりなの!


「アンタ何日泊まるつもりよ!」


 俺、母さんは叔父さんの替えの服の多さに2人同じことを思って言った。親子そろって驚いた顔で叔父さんを見る。


「いや~、前は仕事だったとはいえ何日も同じパンツを履き続けるのは辛かったから。ああ大丈夫です!洗濯は自分でしますんで!」


「当り前よ!はぁ~、今日から4人分のご飯となるとまた家計簿の計算が・・・。クミル、アンタまた魔獣倒して持って帰りなさい!それでご飯代うかすから!」


「了解!じゃあ報酬はここの宿泊代で!」


 叔父さんは頭を撫でながら数日間泊まること話した。リュックから出て来た服の量で察していた母さんは、意外な出費に片手で頭を抱え、叔父さんに魔獣の討伐をこの場で依頼する。依頼と言うより強制に近い。よほど叔父さんの実力を信頼しているのか、母さんは平然と話した。そして叔父さんはそれを簡単に了承する。それもいい笑顔で。俺が世情に疎いのか、2人の会話にずっと入れていなかった。だけど俺は2人の話す光景を見ているだけで楽しかった。

 叔父さんにとって俺の母さんは義理の姉、つまり血は繋がっていない。だけど叔父さんは母さんを本当の姉の様に明るく接し続けている。


 フレンドリーな人なのか・・・、それとも家族思いの人なのか・・・。俺・・・本当に家系に生まれたんだなぁ。


 楽しそうに話す2人の姿を見て、俺は幸福感を感じた。自分にはもったいないぐらいのこの明るい家族を見て。別に前世の家族生活が決して暗かったわけではない。ただ、こんなにも明るい家族に、俺はひそかに憧れていた。


「というわけでアスタ、今日からよろしく!」


「はい!」



 その後、叔父さんは母さんに頼まれ俺と一緒に皿洗いや食材の買い出しなどの手伝いをしてくれた。そして時間はあっという間に経ち、空を見ると太陽は半分沈んでいた。お店を閉めた父さんにも、今日から叔父さんがうちに泊まることを説明した。どうやら父さんも叔父さんの大きいリュックを見て察していたそうだ。


 流石兄弟・・・。いや、あんなにデカかったら誰でも分かるものか。


 お風呂と夕食を済ませそれぞれの寝室へと入り一晩過ごすことになった。俺は自室、両親は2人の寝室、そして叔父さんは前と同じで屋根裏。申し訳ないが、うちには大人1人がすぐに満足して寝られるのは屋根裏ぐらいしかない。ただ前回叔父さんがこの家に止まった時は俺がすぐに寝て気付かなかったが、今回叔父さんが先に寝てくれたおかげで新たなことに気付いた。


「んが~~。んが~~。・・・っんが!」


うるせぇぇ・・・!


 うちの屋根裏の床は意外に薄く、叔父さんのいびきが丸聞こえであった。ちょうど叔父さんが俺の部屋の真上で寝ているせいか、いびきは俺の部屋によく聞こえる。


「っんが!・・・んが~~。」


「・・・は~~。」


 よっぽど疲れているのか、それとも冒険者の特有なのか、叔父さんのその独特ないびきがなかなか俺を寝かせてくれなかった。思わずため息をついてしまう。


 ・・・いかん、このままじゃ眠れない。そういえば(前世で)頭の中で羊を数えたら眠れるって聞いたことがあるな。試しにそれをやってみるか。・・・羊が1匹、羊が2匹、羊が4匹、羊が4・・・。


「んが~~!」


 自己暗示の羊数え作戦は叔父さんのいびきによって見事に失敗された。その後俺は諦めて無心になった。叔父さんのいびきを外の風のように自然現象として聞き流そうと頑張った。


「んが~~。んが~~。・・・っんが!・・・んが~~。」


「・・・。」


 しかしこれを自然現象の音として脳に理解させるのに、しばらく時間がかかりそうだった。俺はただ睡魔に襲われるのを待ち続けた。

不自然な点があれば、是非ご指摘してください。

投稿が遅くなり誠に申し訳ございませんでした。

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