↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/15

1.森にて

これで、希望が見えてきた。


『空気』が有用性の高い魔法ということはもうわかった。あとは、実戦で使えるようにする…か。

言うまでもなく、俺は物心ついた頃から、孤児院にいたので、魔物にあったこともない。

『空気』を実践で使えるようにするには…。


俺は周囲を見渡す。すると、緑色の肌の、頭にツノが生えた生き物がいた。


そいつは、人間かもしれない。だが、俺に向かって、手にしていた棍棒を向けてきた。

俺がお世話になった孤児院の院長先生はこう言っていた。

「敵意を向けてくる生き物は、敵だと思いなさい。でも、やむを得ない者もいる。そんな時は、相手の態度を計りなさい。」


ーー対話をする…という姿勢は感じられない。

行くぞ。


「ーー『空気』」


その瞬間、俺の周りが綺麗な色になった。なんというか、透明な、綺麗な色だ。透明でいてはっきりと見える。

「すごい…、これは…。」


小鬼のようなものが、棍棒を振り上げ、こちらに走ってきた。俺は身がすくんでしまった。


手は動かない。足も動かない。


ーーでも。


「ーー死にたくないッ!『壁』!」


目を開けると、棍棒はラティエルの眼前で止まっていた。


『?』


小鬼はもう一度振り下ろすが、びくともしない。


(なんとか…なった?)

(けれど、守っているだけじゃ…。)

(頼むから、俺に力を貸してくれッ!)


「ーー『剣よ』!」


ラティエルは、本物の剣を見たことがなかった。


ーーラティエルは、物語で読むような剣しか知らないのだ。

例えば、魔を滅するような剣、呪われた剣、ーーそして、神に使わされた剣。


ーー目を開けると、そこにあった剣は、神々しくて、いかにも強そうな剣だった。


いかにも重そうな見た目なのに、重くない。


でも、魔力がごっそり持って行かれて、少し怠い。


小鬼のような生き物も狼狽えているようだ。


悪いが、俺も死にたくないんだ。


「ごめん。ッ!」


ザンッ!


俺は、小鬼のような生き物に向かって、その剣を振り下ろした。


「凄い斬れ味…。」


小鬼のような生き物がバターを切るぐらい簡単に切れた…。

魔力がごっそりと持ってかれた。俺のイメージ通りに空気を動かす…か。

本当に説明通りだな。


「ーーな、な、な、そこのアンタ、何を持ってるんすかーーー⁉︎」


高い声が俺の耳に響いた。


そちらの方を見ると、金髪の女性。とても綺麗な髪に、碧の眼。


「え、人間…?」


「はい…っす。」


「ーー良かった。」


無意識に人肌を求めていたのかもしれない。

俺は、地べたに座り込んでしまった。


「ちょちょ、どうしちゃったんすか?何かあったんすか?」


「ーー悪い、気にしないでくれ。」


俺は、立ち、名を名乗る。

「俺はラティエル。君は?」


「うちはミスト。ラティエルさん…っすね?よろしくっす。」


「ああ、よろしく。それで、ミストはなぜこんな所に?」


「うちは依頼っす。ていうか、ラティエルさんこそ、なんでこんな所に?」


「ーー俺は…。」


俺は事情と経緯を説明した。すると。


「大変だったっすね。今すぐ、うちが来たところに戻るっす!」


「ーーありがとう。」


「それも冒険者の仕事っすよ!」


温かった。俺は泣きそうになった。


「あ、その前にうちの依頼を終わらせてもいいっすか?」


「あ、もちろんだ。ミストは何の依頼でここに?」


「うちはハイゴブリンの討伐っす!」


「ハイゴブリン…、魔物って奴か!」


「はいっす!緑色の肌に、ツノが生えてる見た目っす!ラティエルさんは見てないっすか?」


……。緑色の肌に、ツノ…?


「ハイゴブリンは、Bランクの魔物っすけど、凶悪な魔物なんで、気をつけてくださいっす!」


「……そいつなら、さっき見たぞ…。」


「おぉ!大丈夫だったっすか?それでどっちに?」


「ーーここに…。」


「へ?」


ミストが、呆けた表情をする。


「ここに…だ。」


「ーーまま、まさか…、その剣で…?」


「ああ。」


「えぇーーー!?」


森に、ミストの声が響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。