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12.称号授与

「ラティエル、君に国から戦力としての称号が授与された。」

「ーーそれと、神から君に称号が与えられることになった。」


「本当か!意外と早いもんだな。」


「君が結果を残したからだよ。よくやってくれたね。」


「ああ。」


「ラティエルさん…。ーーうちも負けてらんないっすね!」


少し悲しそうな表情をするが、頬を叩き、力強く言う。


「ーーそう…ですね。僕たちはSランク。まだまだ、越されるつもりはありません。」


穏やかだが、その声には覇気が宿っていた。


「ーーそうだ、ミスト。2ヶ月後には、エレノアが帰ってくるらしいよ。」


それを聞き、ミストは拳を握りしめる。


「このままじゃ置いてかれるっす。ーーギルマス、うちに稽古つけてくださいっす!」


「いいよ。里にいた頃より厳しくいこう。」


晩が明け、ラティエルはライムの付き人に連れられ、王城へと向かった。


「ーー陛下。」


「入れ。」


ドアの中から、厳粛な声が響いた。


「ーーあれが今回の称号授与者か。」


「ああ。格好的に魔法使いのようだが…。」


「それにしても、あれは冒険者に成り立てと聞いたぞ。」


「冒険者に成り立ての平民が称号か…。世も末だな。」


そんな、貴族たちの声が小さく響いた。


「ーー静粛に!」


そうしてラティエルが王の間に到着する。


「ーーそれでは、Aランク冒険者ラティエルに王家から称号を授与する。」


ーーそう。ラティエルはこのスタンピードで功績を残したため、Aランク冒険者になったのだ。


「ーー『万喚』の称号を授与する。」

「ーー宰相。」


王が重く言う。


「ーー。」


王の傍に備えていた男が布を持ち、立ち上がり礼をする。


ラティエルに布を渡す。


「ーー。」


ラティエルもまたお辞儀をし、下がる。


「異議はないか?」


大臣が異議を募る。


「ーー異議あり。」


「ーーふむ、ソーダ大臣。異論を述べよ。」


ソーダ・ミンティ大臣。

彼は王都ギルドにスタンピードの対処を押し付けた張本人である。


「ーーそこの平民は、止まっている敵を倒したと聞きました。ならばその拘束魔法を発動した者が称号をもらうべき…。そう、私は考えます。」


「ふむ…。だが、自力で強敵を倒したと聞いたぞ?」


「それは、ライムというギルドマスターがギルドの箔を上げるために報告を偽造したのでしょう。」


「しかしだな、彼が嘘をついたと言うのは…。」


「奴が嘘をついていないという証拠もどこにもないでしょう。」


「しかしだな…。」


「ーーソーダ大臣に異議あり。」


凛とした声が、響いた。


「ーーヴァルトラエル、異論を述べよ。」


アルノード・ヴァルトラエル。1500年。創世から続く公爵家の後見人。

彼は、神話の大戦から現在まで、ラルフィア王国最高の魔法使いとして、生きてきた。

幾度も守った。この国を、この星を護る人間として。

ーー『星の守護者』アルノードはここにいる。


「ーーどう考えても無理があるよ。そういえば王が体調不良の間に王都ギルドにスタンピードの対処を押し付けたのは、貴方だったかな?」


「ーーほう?それはまことか?ソーダよ。」


「ヘ、陛下、それは違います!」


「ははは、ソーダ大臣。王への虚偽の報告は罰されるよ?」


「ーー何を言っている!これは虚偽では無い!貴様こそおかしいだろう!何故ヴァルトラエル家は、当主が表に出てこないのだ!」

「貴様が居るのはおかしいだろう!」


「……あっはっはっ!」

「ーー僕を舐めるのも大概にしなよ?虫が。」


「ーーッ、虫だと。不敬な!」


「国の品格を落とす害虫だからね、何を言ってもいいんじゃないの?」


アルノードがソーダ大臣を煽る。


「貴様ッ!」


「君はこの国の貴族であり、魔法使いだろう?」

「ーー魔法使いは品格を下げるのが仕事だったんだね。僕は知らなかったよ。」

「ーー実に不快だ。」


「ーー愚弄するのも大概にしろッ!」

「竜に呑まれよ!『碧き竜の住む沼(ハエルブルー)』ッ!」


歴史が紡がれる。貴族は血に刻まれた魔法を持つ。その名も『血承魔法』。貴族の切り札であり、最大火力でもあるこの魔法。

ーー歴史に紡がれし魔法が詠唱され、今アルノードの喉元に喰らい付くッ!

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