8.スタンピード戦開始
「ーーリヴィウス、今すぐ招集をかけて!今から2時間後にスタンピードが始まるよ!」
ライムがリヴィウスに言う。
「もうですか⁉︎分かりました。ギルマスは待機場所へ!」
「ん?何かあったのか?」
「ラティエルさん!ちょうどよかった!王都の欅の森へ今すぐ向かってください!スタンピードが始まります!」
「もうか⁉︎わかった、今すぐ行く。」
「はい!」
そして、1時間後。
「よし、全員集まったね。それじゃあ、今からスタンピードヘ向けて各自配置について。」
「ーー僕は、最前線に行く。」
そう言った瞬間ライムが飛び出す。
「は?ギルマス、おい!」
「待てって!」
ゼノムが言う。
「無理だよ。あれは縮地。剣士の目指す理想系。」
「ーーさすが、『神剣』は伊達じゃないね。」
笑いながらエイトが言う。
「お前でも追いかけられないのか?エイト。」
「無理だね。ただの転移魔法なら斬って阻止できるけど、あれは武術だから。斬れないね。」
「そうじゃねぇ、空間を斬れっつってんだよ!」
「君は…ギルマスに助けてもらったんだっけ?」
「ーー止めたいなら自分でやりなよ。僕は責任を取らない。」
「ギルマスには死んで欲しくねぇ。」
「それは、彼の決意だ。それを邪魔するのは彼に失礼だよ。」
「チッ、ーーならいい、自分で止める。『永遠よ。』」
詠唱した瞬間、世界が停まりかけた。その時。
「大丈夫だよ、ゼノム、僕だって死ぬつもりで行ってないよ。そんなに心配なら、僕を見とくといいよ。これでも一応、現代最強の剣士と謳われた『神剣』だからね。」
「ーーリヴィウス。頼んだよ。」
「はい、人使いの荒いギルマスですね。でも、頼みますよ。」
「ーー私を守ってくれるんですよね?『光映』」
そう詠唱した瞬間、突如空中にライムの姿が映った。
「僕が危なくなったら助けに来てくれるんだろう?頼んだよ、みんな。」
やれやれと言った様子でミストが言う。
「了解っす。けど、先に言ってくださいっす。」
「ギルマス…。」
「ゼノム。君は僕が認めた男だ。やれるね?」
「ーーあったりめぇだ!」
「うん、それでいい。」
「ーーさあ、作戦開始だ!」
ライムがそう言った瞬間、全員が動き出した。
ミストside
さて、ギルマスに言われた通り、フロアボスを対処するっす。
「ミストさん、振り分けますか?」
エイトが聞く。
「まあ、適当で。遭遇したモンスター片っ端から倒していくっすよ。」
「わかりました。それでは。」
彼は神から『斬魔』の称号を下賜され、魔法を斬り裂くという特殊な剣術を使う。彼は別名、魔法使い殺しとも呼ばれる。
彼は剣士からこう言われる。『異端の剣士』と。そして今も彼は、数々の憧れを生み出している。戦場を駆け抜けて。
ライムside
ーーさて、ギルドのみんなにあんなに格好付けてしまっておいてなんだが、実は自信があまりない。
でも、これは僕にしかできない。誰かがやらなきゃ、人々が傷付く。
「ーーさあ、勘を取り戻そうか。来い、『虹帝剣シグルド』。」
ライムがそう言った瞬間、虹色の剣が姿を現す。これはライムが今まで振り続けた、英雄の証明。
この剣と、卓越した剣技で、ライムは『神剣』と呼ばれるまでに至った。
「さあ、まずは肩慣らしだ。」
そう言ってライムが振り向いた先には、大型の牛の魔物。ミノタウロスがいた。
危険度は災害級で、Aランク冒険者以上が対処にあたるクラスの魔物だ。裏を返せばA級以上じゃないと勝てないということだ。そんな凶悪な魔物を前に、ライムはこう言った。
「まあ、ちょうど良い相手かな?」
その言葉の意味を理解したのか、はたまた、ただその強大な存在に威嚇をしているのかはわからないが、ミノタウロスは雄叫びを上げた。
ブモオオオオオオッ!
空気が震え、地面にひびが入る。
「ははっ、結構元気じゃないか。ちょっと付き合ってもらうよ。」
そうライムは、笑いながら言った。
災害級を倒すのが準備運動だと言わんばかりに。
「おいで、『緋帝剣クリムゾン』。」
『虹帝剣シグルド』それは、鍛治を司る神『へファイトス』の加護を授かった最高の鍛治師『ウェポン』が生み出した、彼の作った剣の中でも最強格に分類される。
シグルドは、形状変化をすることができ、7つの種類に分けられる。紅は炎を操り、橙は光を操り、黄は雷を操り、翠は木々を操り、水は氷を操り、蒼は水を操り、紫は闇を操る。
「久しぶりに使うね。」
「ーーさあ、簡単に死なないでおくれよ?」
伝説が、不敵に笑う。
ライムはそう言って剣を振るう。その姿はかつて物語に語り継がれた英雄を想像させるようなものだった。
「『燃えろ』。」
剣に炎が灯る。
「ーーはァッ!」
周囲にいた魔物ごと、剣で斬り裂いていく。
通った後には紅い軌跡が残っている。
「『荒ぶれ』」
炎が暴れる。ミノタウロスの足を止め、灼いていく。
「これで終わらそう。ーー緋帝剣技『灼熱斬』」
一閃。
瞬きの間に、ミノタウロスの首は落ちていて、地面の砂が、ガラスになっていた。
ーーブモオオオ…。
ミノタウロスが断末魔を上げる。決してミノタウロスは弱くはない。
ただ、この男が規格外だった。
「ーー剣は鈍ってはいないね。」
「ただ、実戦は慣れていない。油断をすれば危うい。」
「ーー慎重に行こうか。」
「さて、それじゃあ、奥地へ向かおうか。」
慢心は…ない。
かつて、大戦時代に名を残した剣の英雄は今も輝き続ける。未だ衰えを知らずに、最強の名を冠しながら。
「「結局剣は、持ち主次第」…か。ウェポンもたまにはいいこと言うよね。」
ライムは微笑み、
「ーーさて、もうちょっと体を温めないとね。」
また、戦場を駆け抜けるのであった。




