続編 第5話「ビザへの挑戦」
港町に夏の気配が近づくころ、公民館の一室では真剣な顔つきのユウタたちが机を囲んでいた。テーブルの上にはビザ申請の書類、鉛筆、そしてスマートフォン。――夢を現実に変えるための、次の大きな壁だ。
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複雑な書類
「なんやこれ、英語ばっかりやん…」
カズヤがプリントをひっくり返しながら、頭を抱えた。
ミナはスマホで翻訳アプリを操作しつつ、「この欄、どう書けばええんやろ」と眉をひそめる。
ユウタも必死に見本を見ながら書き進めるが、途中で「Date of Birth」と「Birth Place」を逆に書きそうになり、エミ先生に止められて赤面した。
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シアトルからの助け舟
夜のビデオ通話でノアたちにその話をすると、画面の向こうでジェイデンが笑いながらもアドバイスをくれた。
「Don’t worry, man. We had to do this too, remember? Take it slow.」
サラは冷静に、「わからないところは“空欄にしない”ことが大事よ」と丁寧に説明する。
カイは実際の記入例を写真で送ってくれて、イーサンは「If you need, I’ll check your forms before you send them」と頼もしい一言を添えた。
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英語の壁
書類を進めながら、ユウタたちは「聞く」「読む」力の足りなさを痛感していた。
「もうちょっと英語、がんばらなあかんな…」
ミナが小さくつぶやくと、カズヤも頷いた。
「向こう行って、聞かれてることわからへんかったら困るしな。」
その日の帰り道、堤防を歩きながらユウタは小さく拳を握った。
――まだ時間はある。もっと練習して、胸を張って行けるようになろう。
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町の応援
商店街では、漁師のトシさんや八百屋のオジサンたちが「準備は順調か?」と声をかけてくる。
「困ったらすぐ言えよ。港町全体で送り出すんだからな!」
その言葉に、ユウタたちの胸の奥に、じんわりと熱いものが広がった。
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ノアのノート
その夜、シアトルでノアは机に向かい、ノートを開いた。
•Step Five: Visas and courage.
ページの隅には、小さく添えた。
「大変でも、彼らは前を向いている。だから僕たちも、もっと強く支えよう。」
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旅が近づく実感
申請書類を無事に提出した帰り道、ユウタは青く広がる港の空を見上げた。
「もう少しで、ほんまに行けるんやな……」
その声に、カズヤとミナが頷く。
夢だったアメリカが、少しずつ現実の輪郭を帯び始めていた。




