続編 第3話「不安と希望のあいだで」
夏が近づく港町。英語の練習を始めてから数か月、ユウタたちの発音は少しずつ自然になり、ノアたちとのビデオ通話もスムーズになり始めていた。
だが同時に、「本当にアメリカに行けるのか」という不安も、じわじわと心に影を落としていた。
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少しだけ自信がついた日
夕方の公民館。エミ先生が笑顔で言った。
「今日は“自己紹介大会”をやってみましょう!」
ユウタは深呼吸をしてから、少しだけ大きな声で話した。
「Hello. My name is Yuta. I’m from Harima port town. Nice to meet you.」
その瞬間、子どもたちから拍手が湧き起こった。
カズヤは舌を噛みながらも、「I like… soccer!」と言い切り、ミナは緊張で声が震えながらも、最後までやりきった。
「みんな、すごく上手になったね。」
エミ先生のその一言に、部屋がぱっと明るくなった。
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夜の通話
夜、堤防に座ってノアたちとの通話が始まる。
「Yuta, your pronunciation is so much better!」
ジェイデンの大きな声に、ユウタが少し照れ笑いを浮かべた。
「Thanks… I practice… every day.」
サラが優しく「You’ll do fine when you come here. Don’t worry.」と声をかける。
カズヤが冗談めかして、「アメリカ行ったら毎日バーガー?」と聞くと、ジェイデンが笑いながら答えた。
「Not every day, dude. You’ll get tired of it!」
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心に芽生える不安
通話が終わったあと、ユウタは静かな港を見つめた。
――もし行けなかったらどうしよう。
費用のこと、ビザのこと、飛行機のこと、そして何より「自分の英語が通じなかったら」という不安。
カズヤも同じ気持ちなのか、小さな声で呟いた。
「俺ら、本当に行けるんかな……」
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港町の大人たちの声
そんな不安をよそに、町の大人たちは少しずつ動き始めていた。
漁師のトシさんが「俺たちも手伝うからな」と笑い、商店街の人たちは募金箱を設置してくれた。
その温かさに、ユウタたちの胸の奥に再び小さな火が灯った。
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ノアのノート
シアトルの夜、ノアは机の上でノートを開く。
•Step Three: They’re growing, even through their doubts.
ページの隅には、小さく添えた。
「不安があるのは当たり前。でも、彼らは一歩ずつ前に進んでいる。」




