表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の家紋(かぜのかもん)—僕が日本へ向かうまで—  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/276

第70話「夢を形に」



 冬の冷たい風が吹くシアトルの街。学校の体育館は、週末のイベントに向けて着々と準備が進められていた。ステージにはバンド機材、壁には「Japan Cultural Exchange Day」の横断幕。机の上には、夏の旅の写真や港町の地図、そろばんや鍛冶工房の小さな展示物が並べられている。



準備の日々


 放課後の教室。サラは文化紹介用のスライドを最終チェックし、カイは寄付金の目標額をホワイトボードに書き込んでいた。

 「目標は、今日で半分まで達成させる。」

 イーサンはスポンサー企業との連絡に追われながらも、「プレゼンの時間は任せろ」と冷静に答える。


 ジェイデンはというと、体育館のステージ上でマイクを握り、声を張り上げていた。

 「Testing, testing! Yo, Team Harima, ready for the big show!」



イベント開始


 当日、体育館には生徒、保護者、地域の人々が集まり、熱気に包まれていた。

 最初に流れたのは、夏の旅をまとめた映像。港町の笑顔、三木の鍛冶工房、小野のそろばん、姫路城、竹田城跡――映像が進むたび、観客席から小さな感嘆の声が漏れる。


 サラが壇上に立ち、静かな声で語り始めた。

 「This is not just a trip. It’s about building bridges, learning, and sharing.」

 カイが数字と計画を示し、イーサンが熱意を込めて「This project will connect our town to theirs」と締める。

 会場から拍手が起こった。



音楽と笑顔


 後半は、ジェイデン率いるバンドが演奏を披露した。

 「This one’s for Harima!」

 軽快なメロディーに観客は手拍子を送り、最後には大きな拍手が体育館を揺らした。


 ステージの脇でノアはそっと笑った。

 ――夢だったことが、こうして形になっている。



成果と手応え


 イベント終了後、寄付箱の金額を数えたカイが静かに報告した。

 「目標の70%達成だ。これで、全員分の航空券が見えてきた。」

 その瞬間、ジェイデンが拳を突き上げた。

 「Team Harima, baby! We’re doing this!」

 サラは疲れ切った笑顔を見せ、イーサンは珍しく「Good job, everyone」と穏やかに言った。



ノートのページ


 夜、自室でノアはノートを開き、ペンを走らせた。

•Step Sixty-Six: Dreams taking shape.


 ページの隅には、小さく書き添える。


「あの港町に帰る日が、少しずつ近づいている。」



遠い海からの声


 その夜、ユウタから短い動画が届いた。

 雪が舞う港町の夜、ライトに照らされた波止場と笑顔の子どもたち。

 > 「こっちは冬だけど、もう夏が楽しみだよ。」


 ノアは静かに微笑んだ。

 ――もう少し。必ず帰るから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ