表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の家紋(かぜのかもん)—僕が日本へ向かうまで—  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/276

第55話「小野の夏祭り」

夕暮れの港町に、遠くから太鼓の音が届いてきた。軽やかなリズムに合わせて、人々のざわめきが少しずつ町を包んでいく。

 ユウタが満面の笑みで言った。

 「Today, festival. Ono town. Very fun!」

 その声にジェイデンが飛び跳ねた。

 「Festival!? Dude! Fireworks? Masks? Candy apples!?」

 サラは苦笑しながらも目を輝かせ、カイは静かに荷物を肩にかけた。



祭りの入り口


 車で小野の町に着くと、通りには提灯が並び、屋台から漂う甘いソースの香りが夜風に混ざっていた。

 「Wow…」

 ノアは思わず息を呑んだ。

 屋台の店主たちが「いらっしゃい!」と声をかけてくるが、その言葉はもう翻訳なしでも意味が分かる。


 ジェイデンは金魚すくいの屋台を見つけて大興奮。

 「Fish! Tiny fish! I want to try!」

 紙のポイを手にした瞬間、店主が笑顔で「がんばれよ!」と声をかける。

 結果は惨敗だったが、「Next time! Next time!」と悔しそうに叫ぶ姿に、周りから温かい笑い声が起きた。



盆踊りの輪


 広場では、太鼓の音とともに盆踊りが始まった。

 ユウタがノアの手を引く。

 「Come! Together!」

 最初はぎこちなく輪に加わったノアも、少しずつリズムを覚え、自然に体を動かせるようになる。

 カイは静かに踊りの動きを真似し、サラは笑顔でスマホにその様子を収めた。

 ジェイデンは完全にノリノリで、「Japan dance! Yeah!」と叫びながら輪の中心で大はしゃぎ。


 その姿に、地元の子どもたちが大笑いしながら一緒に手を振った。



夜のひととき


 踊りがひと段落したころ、縁日の屋台で冷えたラムネを手に休憩する。

 ノアは炭酸の刺激を感じながら、遠くの太鼓の音を聞いた。

 ――ああ、ここはもう“よそ者”じゃない。

 胸の奥で、そんな実感が静かに広がった。



ノートのページ


 夜、港町の縁側に戻ったノアはノートを開いた。

•Step Fifty-One: Laughter, lights, and belonging.


 ページの隅には、小さく書き添える。


「この町の夏が、僕たちを受け入れてくれている」



夏の夜空


 港の夜空には、星が静かに瞬いていた。

 ノアは波の音を聞きながら、心の中で呟いた。

 「イサム、あなたが愛した夏を、僕たちも感じてるよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ