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風の家紋(かぜのかもん)—僕が日本へ向かうまで—  作者: 和泉發仙


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第41話「つながる声」


 帰国から三か月。シアトルの朝はすっかり冷たくなり、窓の外の木々はすべて冬の装いに変わっていた。けれど、ノアの心の中はいつも港町の青い空と潮風で満たされていた。



成長する言葉


 放課後、図書館の片隅でノアは日本語のテキストを開いていた。

 「あ・い・う・え・お」から始まった学びは、今では短い文章を読んで書ける程度になっている。


 スマホに届いたユウタからのメッセージを、翻訳アプリに頼らずにゆっくり読んでみる。

 「ノア、みんな元気です。また会える日を楽しみにしています。」

 ――意味がちゃんと分かる。胸がじんと熱くなった。



オンラインの絆


 週末の夜、ユウタやマサエたちとのビデオ通話が始まった。

 「ノア、こんばんわ!」

 以前より滑らかに発音できる挨拶に、画面の向こうで笑顔が広がる。

 子どもたちが「ハロー、ノア!」と手を振り、ノアは少し照れながら「こんばんは!」と返した。


 その自然なやり取りが、距離を超えた絆を確かに感じさせてくれた。



仲間たちとの準備


 サラは会話練習の相手を続けてくれていた。

 「“また行きます”は “Mata ikimasu”。ほら、言ってみて。」

 「Mata… ikimasu。」

 その言葉を繰り返すたび、心の奥にあの港町の風景が浮かぶ。


 カイも笑いながら言った。

 「じゃあ、次行くときは俺も一緒に行くからな。案内よろしくな、ノア。」



ノートのページ


 夜、机に広げたノートの新しいページに書き込む。

•Step Thirty-Seven: Words connect hearts.


 そしてページの隅に、静かに添えた。


「距離はあっても、声は届く」



再訪の計画


 ノアはパソコンを開き、再び航空券検索サイトを眺めた。まだ日付は決めていない。それでも、次の旅はもう“夢”ではなく、“計画”になりつつある。


 ――次は、もっと話せる自分で。

 ――次は、もっと深く町とつながれる自分で。


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