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風の家紋(かぜのかもん)—僕が日本へ向かうまで—  作者: 和泉發仙


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第36話「帰る場所」

 朝の港町は、潮の香りとパン屋の甘い匂いが混ざっていた。ノアはユウタと一緒に商店街を歩いていた。通りの人々はもうすっかり見慣れた顔で、笑顔で手を振ってくれる。


 「ノアくん、おはよう!」

 その言葉はまだうまく理解できない。でも、声の響きと温かい表情だけで十分だった。



市場での交流


 市場の魚屋では、威勢のいい店主がノアの肩を叩きながら声をかけてきた。

 「イサムさんのひ孫だって? ほら、これ持ってけ!」

 手渡されたのは、朝獲れのタイだった。ユウタが苦笑しながら通訳する。

 「お祝いだってさ。町の宝が帰ってきたって。」


 その言葉に、胸が熱くなる。自分はただの“訪問者”ではなく、この町の“家族”として迎えられている――そう実感した。



子どもたちとの時間


 午後、神社の境内では子どもたちが走り回っていた。

 「ノア! ノア!」

 笑顔で駆け寄ってくる小さな手を受け止めると、彼らが覚えたばかりのカタコト英語で話しかけてくる。

 「Hello! Friend!」

 思わず笑って「Hello, friend!」と返すと、子どもたちの歓声が境内に響いた。



ユウタとの夜


 その夜、縁側でユウタと並んで座り、遠くの海を眺めながら缶コーヒーを飲んだ。

 ユウタはゆっくりとした英語で言った。

 「Isamu… wanted to come back. But… he couldn’t. Now… you… came back. That’s… important.」


 ノアは缶を見つめながら、静かに答えた。

 「I know. And… I’ll never forget this place.」



ノートのページ


 客間でノートを開き、今日の出来事を書き記した。

•Step Thirty-Two: This town is my home, too.


 そしてページの隅に、小さな文字で添えた。


「血だけじゃない。心がここにある」



夜の港


 港の灯りが波間に揺れていた。

 潮風の中で深呼吸をし、ノアは心の中で呟く。


「イサム、僕は見つけたよ。僕の居場所を。」


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