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森羅家の生活魔法は伊達じゃない! 〜カフェの雑用と蔑まれた三姉弟、不遇魔法で世界最強へ〜  作者: いぬの名前はあとむ


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第23話:ギルドの緊急招集と、後方支援

翌朝の『グリーン・リーフ』は、いつにも増してピリッとした空気に包まれていた。


街のあちこちから金属鎧の擦れ合う音や、駆け足で行き交う冒険者たちの足音が響いてくる。


森の異変に伴う緊急警戒令が出されたことにより、街全体が緊張感に包まれていた。


開店準備を進めていた一葉の元へ、慌ただしく店の扉を開けてヴァルターが入ってきた。


「マスター、一葉さん。朝早くからすまない」


「ヴァルターさん。ギルドの方で何か動きがあったのですか?」


一葉がすばやく温かいお茶を差し出すと、ヴァルターは深く感謝しながらそれを受け取り、一口飲んで息を整えた。


「ああ。ギルドマスターから正式に指令が出た。調査隊を3つの小隊に分け、本日正午から森の浅層および中層の手前までを大規模索敵することになった。バルガス君が第一小隊の隊長を務める」


「バルガスさんが……!」


二葉と三葉が奥から顔を出す。


「そのため、商業組合とギルドから依頼なんだが……『グリーン・リーフ』には、調査隊が出発する前の補給拠点、そして戻ってきた際の負傷者の救護支援拠点として力を貸してほしい」


ヴァルターの要請に、厨房から一二三と葉が静かに歩み出てきた。


「もちろんです、ヴァルター殿。カフェの設備と食材、それから回復用のハーブ茶や保存食ならいくらでも準備できますよ」


「ありがとうございます、マスター。……それから、一葉さん、二葉ちゃん、三葉君。君たちにも手伝いを頼みたい。前線へ出向くわけではないが、戻ってきた隊員たちの薬草の精製や、負傷者の応急処置を手伝ってほしいんだ」


「はい! 喜んで手伝います!」


二葉が即座に力強く頷いた。三葉も手帳を胸に抱えて前を向く。


「僕の【三途の葉落】で、傷口の汚れや異物を迅速に取り除けます。調合のサポートも任せてください」


一葉は空中を通じて蔓を巻くように優雅に指を動かす仕草を小さく見せ、凛とした瞳でヴァルターを見つめた。


「私の【一輪の秒芽】なら、処置した傷の悪化や毒の進行を『鮮度保持』の要領で一時停止させることができます。後方支援は私たちにお任せください」


三人の頼もしい言葉に、ヴァルターは安堵の表情を浮かべた。


「助かるよ。君たちの魔法の精密さは、専門のヒーラーが不足している今回の陣容において大きな力になる」


午前十時。


『グリーン・リーフ』の店前と店内は、出発前の準備を進める冒険者たちでごった返していた。


「おう、二葉! 三葉! 頼もしい後方支援陣だな!」


装備を完璧に整えたバルガスが、大剣を背負って店内へ入ってきた。


「バルガスさん! 無事で帰ってきてね。特訓の成果を報告できるように、こっちもしっかり留守を守るから!」


二葉が手際よく高栄養の乾パンと水筒をバルガスに手渡す。


「ハハッ、任せとけ! 浅層に散らばってる魔物をサクッと片付けて、森の異変の元を突き止めてくるさ」


三葉はバルガスの手甲や靴の隙間に土埃が溜まっていないか確認し、【三途の葉落】で余計な不純物を綺麗に取り除いた。


「よし、可動域の引っかかりもゼロだ。バルガスさん、気を付けて」


「サンキュー、三葉! 完璧な整備だぜ」


バルガスは笑うと、カウンターの奥にいる一葉に視線を送った。


「一葉ちゃん、店と子供たちを頼むな」


「ええ。バルガスさんも、決して無理はなさらないでくださいね。美味しいスープとパンを用意して待っていますから」


一葉が優しく微笑むと、バルガスは力強く頷き、調査隊の待機場所へと向かっていった。


正午過ぎ。調査隊が森へと出発し、街には束の間の静けさが戻ってきた。


しかし、『グリーン・リーフ』の厨房と店内では、次のフェーズへ向けた作業が休みなく続けられていた。


一葉は【一輪の秒芽】を集中して発動させ、救護用に準備した大量の薬草や消毒液の効能が時間経過で減退しないよう、最高の状態のまま固定・保存していた。


(『鮮度保持』の応用……。素材の保持だけじゃない。負傷者が運ばれてきた時、治療の手が回らなくても、私の魔法で傷の進行を『その瞬間』に繋ぎ止めることができる)


一葉の手元で、淡い緑色の魔力が美しくたゆたう。


三葉は薬草のすり潰し作業において、【三途の葉落】を使って薬効に不要な茎の繊維や雑菌だけをピンポイントで分解し、純度の高い濃縮軟膏を作り上げていた。


二葉は【二生の根張】を活用し、搬送用担架の固定具や、非常時に傷口を圧迫止血するための包帯を強固に固定する器具を手際よく作成していた。


作業の合間、一二三が温かいハーブティーを三人に差し出した。


「みんな、手際が素晴らしいな。これほど見事に救護の現場に噛み合うとは」


「お父さん。私たち、ただ守られるだけの子供じゃいられないもの。お店も、街のみんなも、自分たちの手で守りたいの」


二葉がハーブティーを飲み干し、力強く言った。


一二三と葉は顔を見合わせ、温かい眼差しを子供たちに向ける。


「頼もしくなったわね。……でも、絶対に無理はしないで。あなたたちの安全が第一なのだから」


葉の言葉に、三人は「はい!」と笑顔で答えた。


その時だった。


遠く、森の方角から——空気を揺らすような微かな「地鳴り」と、激しい魔力の衝突音が街まで届いたのは。


店内の一二三と葉の表情が瞬時に険しくなる。一葉もまた、窓の外を見つめ、胸の奥で嫌な予感が膨らんでいくのを感じていた。


「……調査隊が、森の『歪み』の核と接触したかもしれないな」


一二三が低く呟く。


「みんな! 準備を急ぎましょう! まもなく最初の負傷者が戻ってきます!」


一葉の声が厨房に響く。


生活魔法を研ぎ澄ませた三姉弟の、真の真価が問われる救援作戦が、いよいよ始まろうとしていた。


「少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ページ下部の【ブックマーク】や【評価】(★★★★★)で応援していただけると励みになります!」


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