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彼女を奪われても何も言わなかった俺、イケメンがクラスで自慢した結果なぜか1軍女子に距離を置かれて孤立した  作者: 白金豪


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第44話 世界で1番かっこいいよ

 10対0。試合のスコア。相手チームが10点、俺のチームが0点。


 相手チームはクラスのAチーム。しかも3年の上級生。


 球技大会特有の学年の境目のない対戦。全く相手にならない。


 相手チームの1人がサーブの構えを取る。俺たちチームメンバーは身構える。


 しばらく間を取ると、強烈なバレー部顔負けのサーブが繰り出される。


 俺を含めたメンバーはサーブに反応できず、ボールは重力に従って、凄い勢いで地面に落下する。


 ピッ。


 審判が得点を示す笛を吹く。


 11点目。


「あ~あ」


「勝てるわけねぇよ」


「なんで、あっちあんなにガチなんだよ」


「上級生のくせに大人げねえよ」


 チームメイトたちに諦めのムードが漂う。


 そんなムードに流されるように俺の気持ちも徐々に落ちていく。自然と視線も地面に向く。


「真春君、頑張れ~〜!!! 」


 声援が届く。よく知る声。


「なんだなんだ」


 相手チームのメンバーが声に反応する。

 チームメイトたちも声のした方向に次々と視線を走らせる。

 そして、最後に俺。


 視線の先にはギャラリーたちが観戦する1番前で前川さんが必死に大きな声で、それこそ声が枯れる勢いで俺に声援を送っていた。両目を瞑って口元を囲うように両手で円を作って全力で声を出していた。


「…前川さん」


 俺は俯く。今の諦めたような恥ずかしい姿を前川さんに見せたくなかった。目を合わせることができなかった。


「私はそんな姿の真春君を見たくない! 勝敗なんて関係ないから!! 全力でプレイするかっこいい真春君を見ていたいの!!! 」


 前川さんが俺を鼓舞するような言葉を大きな声で届けてくれる。それこそ普段は決して出さないほどのボリュームだった。


「っ。前川さん」


 俺は顔を上げる。前川さんと目が合う。


 前川さんは「頑張って」と言うように、ギュッと両拳を胸の前で握って見せる。


 そうなんだ。前川さんにとって全力で頑張ってる俺を見たいんだ。そして、それがかっこいいって。よ~し。勝敗なんて関係ない。やってやる。全力でやって少しでも前川さんにかっこいい姿を見せてやる。


 俺は前川さんのおかげで復活した闘志を燃やし、再び相手チームのサーブに備える。


 相手チームの同じサーバーが再び強烈なサーブを繰り出す。


 加速したボールが俺に迫ってくる。


 逃げるな。とにかく身体に当てればいい。


 俺はなんとか不細工な形で両手にボールを当てる。ボールの衝撃で地面に尻餅をつく俺。


 ボールは上空に高く舞い上がる。なんとか自分のチームの陣地にボールを残した。


「きゃあ~〜~! ナイスレシーブ!!! 」


 前川さんが興奮した様子で両手を叩いてはしゃぎながら黄色い声を漏らす。その声がコートの俺にまで届くほどの声量だった。


 俺が拾ったボールをなんとか繋ぎ、奇跡的に1点が入った。1対11。


 俺たちのチームにサーブ権が与えられた。


 信じられない感覚でボールを受け取り、エンドラインに立つ。


「真春君、ファイトだよ! それと、さっきのレシーブ凄いかっこよかった! 」


 真後ろの前川さんが応援と称賛の言葉を掛けてくれる。


「本当に? 」


 俺は前を向いたまま尋ねる。


「うん。本当。世界で1番かっこいいよ♡ 」


 前川さんは念を押すように俺を褒める。


 この人は本当に。


 俺は今どんな表情をしてるだろう? おそらく顔を赤くしてるだろう。褒め慣れてないから照れ隠しをしてるかもしれない。前川さんには本当に弱い。


 敵チームの上級生が嫉妬したようにイライラしている。おそらく俺と前川さんとの掛け合いが気に食わないのだろう。俺にプレッシャーを掛けるようにヤジが飛んでくる。


 悪いけど、ここは俺が決めてみせますよ。


 俺はふわっと上空にボールを上げる。


 そして、ジャンプする。敢えてジャンピングサーブを狙う。


 前川さん、チームメイト、相手チームの選手、ギャラリーの視線が俺に集まる。


 タイミングを合わせて打とうとする。


 スカッ。


 俺は見事にサーブを空振りする。頭にボールが落下する。


 シーン。なんともいえない空気が流れた。


「あははっ。ド、ドンマイ」


 後ろの前川さんも流石に苦笑いを浮かべていた。


 俺、バレー下手だったの忘れてた! クソ~! かっこわりぃ~〜。

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