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彼女を奪われても何も言わなかった俺、イケメンがクラスで自慢した結果なぜか1軍女子に距離を置かれて孤立した  作者: 白金豪


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第43話 2ショット

 5月の下旬。


 春の終わりを告げるように太陽の日差しは強く、気温も温かい。


 そんな炎天下に晒されながら地獄のような地味に長い球技大会の開会式を終える。


 第1試合を控える中、時間を潰すためにブラブラとグラウンド内を歩く俺。


「あ! 真春君!! やっほ~!! 」


 最近では聞き慣れた声が俺の背中に届く。


 俺は後方に振り返る。


 体操服姿の前川さんが笑顔で立っていた。


 なんというか体操服が少し窮屈そうだった。どこがでかいとは言わないが。


「真春君、第1試合だよね? 頑張ってね! 」


 前川さんがニコッと笑みを浮かべながら、豊満な胸の前でギュッと両拳を握る。ファイトの意味合いだろう。


「うん。ありがとう。勝てるかは分からないけどね」


 俺は自信なく答える。なんたって1軍ではなく2軍のBチームに配属されてるのだから。勝てる自信はない。それに球技のバレーも俺の苦手分野だ。それも起因している。


「勝敗は関係ないよ。真春君が頑張ってる姿が見られれば私は最高に幸せだから」


 前川さんがグイッと俺との距離を詰める。


 フローラルな前川さんの香りが俺の鼻腔をくすぐる。いい匂いすぎてクラッと軽いめまいを起こしてしまう。


「2人で写真撮ろ♡ 」


 前川さんは俺の耳元で誘惑するように囁くと、事前に準備していたスマートフォンのカメラ機能を起動する。内カメラにして俺と前川さんがスマートフォンの画面に映るようにピントを合わせる。


「ほら笑って~」


 前川さんは満面の笑みでピースしながら俺の左腕に抱き付く。柔らかい感触が俺の左腕を包み込む。


「ちょ!? 近いって」


 こんな状況で笑えるわけがない。動揺の方が勝つ。


「いいからいいから~」


 一方の前川さんは上機嫌な様子でニコニコしながら、さらに密着してくる。


 この人、強引なところあるよな。


「はい、チーズ」


 前川さんはスマートフォンに向けてピースをする。


 俺も慌ててピースを作る。


 パシャッ。


 カメラのシャッターが切られる。


「ありがとう~! 」


 前川さんは俺にお礼を伝えると、スマートフォンを操作し始める。


「やった。真春君との2ショットゲット! コレクションにしよ」


 ボソボソと俺に聞こえないトーンでなにか呟いている。


「試合、頑張ってね! もちろん声が枯れるほど応援するから!! 」


 前川さんは満足そうにスマートフォンをポケットに仕舞うと、ヒラヒラと俺に手を振りながら、応援の場所へと向かった。


「うん。頑張るよ。ありがとう」


 俺は感謝を伝えると、前川さんのおかげでやる気になった闘志を自分なりに燃やしながら、試合会場に向かうのだった。

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