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彼女を奪われても何も言わなかった俺、イケメンがクラスで自慢した結果なぜか1軍女子に距離を置かれて孤立した  作者: 白金豪


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第4話 イケメンから離れた、もう1人の1軍女子

(前川 都子視点)


 メイン♪


 私のスマートフォンが振動と共に通知音が鳴る。

 教室から廊下に出てすぐのことだった。


 私は制服のブレザーのポケットからスマートフォンを取り出す。

 スリープ状態から電源を入れる。


 スマートフォンの画面に1つの通知が届いていた。

 通知のリストが表示される。


大江 真春『見てたよ』


 大江君からの返信だった。


 まあ、予想はできてたけど。


 私の言う通りに観察してたわけね。

 それなら私の渡辺への態度を直で見たということ。

 少しは私が嘘をついてないことを信用してくれたかな。


 いや、まだ信用してくれないか。

 私が大江君の立場なら慎重になるだろうし。

 渡辺と以前まで仲良がよくて同じグループに所属していた事実があると疑いたくもなるよね。


 でもね。

 私の言っていることは本当なの。

 嘘など微塵もない。

 

 今後一切、渡辺に関わるつもりはない。

 会話も交わすつもりもないし、声すら聞きたくない。

 できるなら一緒の空気すら吸いたくない。


 それほど渡辺の行いは許せなかった。

 人の彼女を奪っただけでなく、自分の凄さを誇示するようにクラスでエピソードとして自慢までするなんて。

 本当に最低。

 なんであんなことができるの?

 人として終わってる。 


 本当に。

 顔も声もすべてを記憶から消し去りたい。

 まるであいつみたい。

 身近にいて尊敬していたのに。

 それなのにあいつは。

 

「どうしたの? 不機嫌そうに教室を飛び出して。まあ、見当はつくけど」


「その声は――」


 よく知った声。

 私は制服のポケットにスマートフォンを仕舞う。

 自動的にスリープ状態になることを見越して電源のボタンを敢えて押さなかった。


「七海」


 私は声の主の名前を呟く。


「やっ! 都子! 」


 声の主はニコッと私に笑みを浮かべる。


 後藤七海。


 ピンクのボブヘアに薄い赤色の瞳。

 純白な肌に制服からでも分かる私に負けず劣らずの豊満な胸。

 クラスでも男子からの人気が高い1軍女子。


 以前まで私や渡辺と同じグループに入っていた。

 私と同じように渡辺と仲が良かった。

 そして、ほぼ同時に渡辺と関わるのをやめた人物。


「あたしも都子と同じで例のメインのグループ退会したよ。後から渡辺にしつこく根掘り葉掘り聞かれそうだけど」


 七海は制服のポケットからスマートフォンを取り出す。

 慣れた手付きで操作を始める。


「これこれ、証拠ね」


 私にグループを退会した証拠が存在するトークルーム画面を見せる。

 確かに私が退会した後に七海もグループを退会していた。

 データとして残っていた。


「まあ、渡辺に何を言われようと関係ないけどね。あたしのポリシーや価値観と全く合わないと断定して見切りをつけて渡辺と関わるのをやめたんだから。修復なんて今後するつもりないし」


 七海の発言。

 ポリシーや価値観が全く合わない。

 だから見切りをつけた。


 七海なりに思うところがあったのだろう。

 私とは違う意味で。


「そうなんだ。私も七海とスタンスは一緒だよ」


「今後、同じ意向同士で何か困ったら相談するかも。もちろん逆もウェルカムだから。それを伝えに来ただけ」


 七海はスマートフォンを制服のポケットに仕舞う。


「七海はこれから渡辺への対応の対策どうするつもりなの? あいつ、しつこく諦めずに私たち2人をグループに戻そうとしてくるはずだから」


「う~ん。一旦、無視を徹底するからな。しつこいと牽制する目的で強い言葉を言っちゃうかも。とにかく関わりたくないから。距離を取る方向で進めるかな。都子は? 」


「私も七海と同じ。あと渡辺に彼女を奪われた大江君が絡まれたりしてたら助ける予定。可哀想だし、そんな光景を見たり聞いたりするだけでストレス溜まるから、止めに入る」


 私は今後ありえそうな未来を想定した説明をする。


「それは都子の過去の出来事が関係してる形? 」


 七海が私に踏み込んだ発言をする。


 七海は私の過去について知っている。

 七海にだけ話したことがある。

 それだけ私と七海の関係性はグループでも深かった。

 渡辺とは比べものにならないほど。


 「…」


 私は黙り込む。

 言葉を選ぶために熟考する。

 慎重に発言しないと汚くて不快感を与える言葉を発してしまうかもしれないから。

 

「ごめんごめん。余計なこと聞いたね。あたしが悪かったよ」


 七海は私の心境を推測し、先程の発言を謝罪する。

 これ以上、話を拡げようとしない。


「また、協力できることがあったらお願いね~」


 七海は空気を読んで話を切り上げる。

 用が済んで教室に戻って行く。


 一方、私の心では激しい怒りの渦が収まることを知らずに暴れていた。

 あいつの顔や声などが頭から離れなかった。

 収まることなく増長して膨張を続けた。


 静かに。

 だが荒々しく存在感を主張するように。

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