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彼女を奪われても何も言わなかった俺、イケメンがクラスで自慢した結果なぜか1軍女子に距離を置かれて孤立した  作者: 白金豪


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第37話 クラスで注目の的

「ふん♪ ふん♪ 」


 俺の席に向かう途中。

 前川さんは気分良さそうに俺の隣を歩く。


 教室のクラスメイトたちの視線は男子も女子も関係なく俺たちに釘付けである。


「ねぇ、前川…さん? 」


「なぁ~に? 」


 前川さんは俺の腕に抱き付いたまま上目遣いで甘い声で返事をする。


「前川さんは自分の席に向かわないの? 」


 俺は男子の嫉妬の視線(特に渡辺と桜井)を気にしながら、やんわりと前川さんを遠ざけようとする。


 クラスメイトたちの視線がプレッシャーのように身体に突き刺さる。少なからず俺に負担が掛かる。早く置かれた状況から抜け出したい!


「え~、いやだ♡ 」


 前川さんは上目遣いでキラースマイルを浮かべる。


 俺にとっては完全に求めていないスマイルと返答。


 内心、困っている。

 今の状況の対応方法が分からない。

 前川さんに振り回される。

 

「一緒に座ろ? 」


 前川さんは俺の席のイスを勝手に引く。


「え? どうやって? 」


 俺は前川さんの言葉の意味が理解できなかった。一緒に座るにもイスのスペースが十分ではなかった。どう見ても一緒に座れそうにない。


「一緒に半分ずっこして座ればいいんだよ」


 前川さんがイスの左側に座る。


「さっ、あと右半分空いてるから、座って」


 前川さんは俺に座るように促す。


「…分かったよ」


 俺は断ることができず、前川さんの言うようにイスの右側に腰を下ろす。

 前川さんの目が断れるような空気を作っていなかった。


 ギリギリで座れる状態。前川さんのお尻の感触が伝わってくる。温もりも胸の感触も、さっきとは比べものにならない。密着度が明らかに増えた。


「「「「キャアアァ~〜!!! 」」」」


「あの2人やばいね!! 」


「あつあつだね!!! 」


「もしかして付き合ってるのかな? 」


 女子たちからは熱狂的な黄色い声援が上がる。


「くそ~! なんで大江なんだよ~!! 」


「ありえねえだろ!! 」


「どうして、あんな陰キャなんかを前川が」


「羨ましすぎる」


「前川と1度は密着してぇ~〜」

 

 一方、男子たち(渡辺と桜井を含む)からは嫉妬の声が飛ぶ。


「なんだか周りが騒がしいね? どうしたのかな~? 」


 そんなカオスな環境下でも、前川さんは全く意に介さず、上機嫌に俺の右腕に頭を何度もスリスリする。まるで猫が自分の匂いをつけるみたいに。


 そのせいで前川さんの黒髪が俺の制服のブレザーに触れる。気づけば黒い髪が俺の肩に残っていた。


 どういう行為なんだよ、これ……?

 俺は前川さんの不可解な行動に動揺する。


 それだけじゃない。

 男子の視線が怖いよ。

 女子の反応は慣れてなくて戸惑いしかないよ。


 俺は周囲の視線に意識を奪われながら、どうすることもできず苦笑いを浮かべるしかなかった。


(あれ……肩が妙に重いような——?)


 ふと視線を落とした瞬間。


 俺の肩に頭を乗せた前川さんは、満足そうに微笑んでいた。


 ドクンッ――心臓が大きく跳ねた。


 おいおい、これからどうやって学校で過ごせばいいんだよ。

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