第30話 元カノとの完全な決別
「ちょっといいかな? 」
1時間目終了後の休み時間。
俺は隣のクラスにお邪魔する。
元カノを見つけて声を掛ける。
「え!? ど、どうしてここに!? 」
席に座る元カノは動揺を隠せない。信じられない目で俺を見る。
「昨日のことで話があるんだ。もしよかったら場所を変えて話せない? 」
俺は元カノに用件を伝えた上で可能かどうかを尋ねる。
「う、うん。分かった。いいよ」
元カノはぎこちなくも首を縦に振る。
「オッケー、ありがとう。それじゃあ、行こうか」
俺は教室の出口に向かう。
「あ!? ちょっと! 」
元カノも慌てて席から立ち上がり、俺を追い掛ける。
そのまま俺と元カノは廊下を進み、階段を降りる。
いつも飲み物を買う人気のない自動販売機の並ぶ場所まで移動する。
「ここでいいかな」
俺は立ち止まる。振り返って後ろの元カノに視線を向ける。
元カノも俺に合わせて立ち止まる。
数秒間ほど俺と元カノの間で沈黙が生じる。
「昨日の件だけどさ。返答なんだけど、君の相談には乗れないや」
俺から口を開く。
元カノはぴくりと眉を動かす。
「ストレートな表現で申し訳ないけど、俺の大切な人が、君と少しでも関わって欲しくないんだって。だからだよ。意地悪しようとか、仕返ししようとか、俺の邪な感情は入ってないよ」
俺は事実と素直な気持ちを混ぜて伝える。
「…その大切な人は昨日、家にいた女の子のこと? 」
元カノがポツリと尋ねる。
「そうだよ」
俺は否定せずに嘘もつかずに答える。
「そっか」
元カノは大きな息を吐く。
まるで諦めたように。
「分かった。もう金輪際、関わらないし話さないから。約束するよ」
元カノは作り笑いを浮かべる。それほど下手な笑顔だった。
「それじゃあ」
俺は用が済んだので踵を返す。
そのまま自分のクラスに戻ろうとする。
しかし、途中で立ち止まる。
「昨日の件、怒ってごめん。そこは悪かったよ」
俺は謝罪だけ残して振り返らず再び歩き始める。
「っ!? 優しすぎるよ、本当に」
元カノの表情は分からなかった。ただ声は震えているように感じた。
☆☆☆
(後藤七海視点)
「ふ~ん。大江君、元カノと1区切りつけたんだ」
あたしは隠れていた木から姿を見せる。
どうやら元カノとの問題も解決しそうだし。大江君と都子は大丈夫そうだね。
あとは元カノちゃんだよね。
大江君を裏切って渡辺に乗り換えて酷い目に遭ってるのは自業自得なんだよな~。
でも、このまま放っておくのも、あたしの正義のポリシーに反するんだよな~?
う~ん。ちょっと牽制しとくか。
あたしは面倒に思いつつも、ある人物と接触するためにメインを開いてメッセージを送った。




