表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女を奪われても何も言わなかった俺、イケメンがクラスで自慢した結果なぜか1軍女子に距離を置かれて孤立した  作者: 白金豪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/57

第26話 積極的な1軍女子と受け身な俺

 ピンポ~ン。

 自宅のドアフォンが鳴る。


「3~0~!!! 」


 俺はパンパンに溜まった疲労と戦いながら腕立て伏せ30回を終える。

 休みたい衝動に駆られながらも、そんな暇もなく筋トレをしていた自分の部屋を足早に後にする。

 

 来訪者に対応するために階段を降りて1階の玄関に向かう。


「は〜い! 」


 俺はドアフォンに応答する形で自宅のドアを開ける。


 外の光と空気が自宅内に差し込む。

 目の前には昨日、食事を作る約束をしてくれたクラスメイトの女子。


「おはよう、大江君」

 

 紺色のブレザーに緑のスカート(制服)姿の前川さんが、ニコッと笑顔で朝の挨拶をしてくれる。


「うん、おはよう、前川さん」


 俺は前川さんの笑顔に見惚れながらも挨拶を返す。


 一応、笑顔で返すが、おそらくぎこちないものだろう。


「前川さん、今日は朝食を作るためにわざわざ来てくれてありがとう。さっ、中に入って」

 

 俺は前川さんを促す。


「お邪魔します」

 

 前川さんは軽く頭を下げて俺の家に足を踏み入れる。

 玄関でローファーを脱いで揃える。


「いえ~い。今日で2回目のお邪魔しますだよ~」


 前川さんはヘラッと気の抜けた笑みで俺に向けてピースする。


「うん。そうだね。いらっしゃい」


 俺は快く前川さんを自宅に迎え入れる。

 俺と前川さんは玄関からリビングへと入って行った。


「さっきから気になってたんだけど。大江君、少し汗かいてるね。もしかして体調悪い? 」


 前川さんが心配そうに俺の額に手を当てる。

 前川さんの手の温もりが俺の額に伝わる。

 やばっ。距離が近い。前川さんの顔がすぐ目の前にある。


 「じ、実は…前川さんに筋トレを薦められてから始めたんだ。さっきまで腕立て伏せをしてたんだよ。30回が限界だけど」


 俺は汗をかいていた事情を話す。

 おそらく顔は赤くなっているだろう。上手く説明もできてないかもしれない。


「そうなんだ。それなら安心したよ」


 前川さんは俺の額から手を離す。手の温もりが消える。名残惜しさを覚える。


「どれどれ~。お~硬い硬い~〜」


 前川さんは俺の腕に触れて筋肉の感触を確かめる。


「頑張って筋トレしたんだから、しっかり栄養バランスの整った食事を摂らないとね! 」


 前川さんが俺の筋トレを労い、ポンッと肩に触れると、手を洗うために洗面所に行ってしまった。


 一方、俺はというと、最近始めた筋トレを褒められて胸が熱くなった。



☆☆☆



「ごちそうさまでした」


 俺は前川さんの作ってくれた朝食を食べ終えて両手を合わせる。


「は〜い。お粗末様で~す」


 前川さんは上機嫌な調子で対応する。


「今日のご飯も本当に美味しかったよ」


 俺は朝食の感想を伝える。


「それならよかった! お昼ご飯のお弁当は違うメニューだから楽しみにしててね。しっかり持って来てるから」


 前川さんは学生カバンから弁当袋を取り出し、俺に見せる。


「うん。楽しみにしてる」


 俺はお弁当の中身を想像しながらワクワクする。

 なにが入ってるんだろう?

 今すぐにも確認したい衝動に駆られる。

 でも、ここは我慢だ。昼休みに入るまでの辛抱だ。


「洗い場、借りるね」

 

 前川さんは俺が完食して空になった大皿や茶わんを重ねて1つにまとめる。

 そのまま洗い場に持って行こうとする。


「ご飯を作って貰ったのに片付けまではさせられないよ。俺が洗うよ」

 

 俺は慌てて食卓のイスから立ち上がる。前川さんの背中を追う。


「う~ん。じゃあ、私が洗うから大江君が拭いてくれない? 2人で協力した方が早いと思うし」


 前川さんは洗い場のシンクに食器類を優しく置く。


「うん。それはそうだね。分かった。タオル準備してくるよ」


 俺は前川さんの提案を受け入れる。俺は洗面所にタオルを取りに行く。


「うん。お願いね」


 前川さんは俺の背中に声を掛けてシンクで洗い物を始める。

 慣れた手際のいい動きで食器や茶わんを洗い終える。


 俺は洗面所からタオルを取って来て、キッチンに戻る。

 洗い終えた食器や茶わんの水滴をタオルで拭き取る。


「はい。次ね」


 既にすべてを洗い終えた前川さんが、残った茶碗を俺に手渡す。


 「ありがとう」


 俺は前川さんから茶碗を受け取って水滴を拭き取る。

 この作業を終わるまで繰り返した。

 まるで協力して家事を担う夫婦のように。



☆☆☆



 俺と前川さんは一緒に教室へ登校する。

 

 前川さんと同時に教室に入るとクラスメイトたちの視線が集まる。

 自然と注目される。

 

 男子からは嫉妬が女子からは好奇な視線を向けられる。

 その中にはクラスで孤立した渡辺と桜井の姿もあった。


 渡辺と桜井は孤立したもの同士で仲良くしている。

 寂しさを紛らわすように常に行動を共にしている。最近では当たり前になった日常。


「それじゃあ、またね」

「うん。またね」


 前川さんと俺は一旦、別れる。

 前川さんは友達と合流し、俺は自分の席に向かう。

 学生カバンを机の上に置く。


(いま何時かな? )


 俺は教室に備え付けられた時計を確認した。

 まだ朝のホームルームまで15分あった。

 時間に余裕はある。


(喉も乾いたし、飲み物でも買いに行こうかな)

 

 俺は教科書やノートを机に仕舞わず、イスに座りもせずに教室を退出した。


 一方、俺が教室を出て少しして、スマートフォンを確認した渡辺が席から立ち、何度か桜井と言葉を交わした後に、教室を後にするのだった。

 彼女に呼ばれたとかで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ