第15話 隣で歩く心境
(前川 都子視点)
こんにちは。前川都子です。
私は今、クラスメイトの大江君の隣を歩いて登校しています。
昨日の放課後前まで特に何も意識してなかった男子。
渡辺に彼女を奪われた被害者らしくて可哀想だと思ってもいた人。
そんな男子が昨日の出来事以来、頭から離れません。
私の家の前で別れてからも、お風呂に入ってる時も、寝る時も。
頭の中は大江君のことでいっぱいだった。
そして、隣を歩く今でもそう。
いや、より強く意識しちゃう。
身体が熱い。
胸もドキドキする。
鼓動が収まらない。
私は横目で大江君の横顔を見る。
昨日とは違う風に見える。
大江君ってこんなにかっこよかったっけ?
「どうしたの? 」
大江君が私の視線に気付く。
当然、目が合う。
「な、なんでもないよ! ちょっと気になっただけだから!! 」
私は逃げるように視線を逸らす。
見惚れてたなんて恥ずかしくて言えない。
「そ、そうなの? ならよかったけど」
大江君はしつこく追及してこない。
再び前を向く。
ふぅ~〜。
危ない危ない。
それにしても。
チラッ。
今度はバレないように凝視せずチラッとだけ目を向ける。
どうして私が普段しない化粧をしていることに気が付いたんだろう?
私って化粧でそんなに印象が変わるのかな?
それとも、大江君が私を普段から見てくれてたりして?
だから私の変化にも気付いてくれたとか?
それだと、しつこく告白の了承を迫ってきた桜井から私を助けてくれたことも辻褄が合う。
やだぁぁ~〜。
それって普段から私のこと意識して見てくれてたってこと~〜。
もっと早くから化粧してくればよかった~。
私のバカ~〜。
私は過去の自分に後悔する。
「どうしたの? なにかあった? 」
大江君が心配そうに私に尋ねる。
困ってるようにも見える。
いけないいけない。
変なことをしてたかもしれない。
もしかしたら表情に出てたかも。
大江君の前だぞ?
気を引き締めないと都子。
「な、なんでもないよ! ごめんね」
私は作った笑顔でその場を凌ぐ。
これ以上、大江君を困らせてはいけないよね。
余計なことはダメだぞ。
私は自分を戒めるように言い聞かせる。
そのまま大江君を意識しながら学校に向かう私だった。




