第14話 一緒に登校
次の日の朝。
俺は前川さんからメインで送られた場所に家を出て向かった。
マップを見る感じ、学校近くのコンビニのようだ。
俺の家から5分も掛からなそうだ。
しばらく歩く。
初めての前川さんとの一緒に登校。
緊張しないわけではない。
いつもより身だしなみにも気を付けた。
制服のシワや汚れなどもチェックしたし、寝ぐせも立ってないか何度も確認した。
みっともない姿で前川さんの隣を歩いて登校できないから。
そんな感情を抱きながら目的地に向かう。
しばらくすると目的地のコンビニが見えてきた。
店の入り口近くに佇む紺色のブレザーに緑のスカートの制服姿の女子がいた。
黒髪のロングヘアに紫の大きな瞳。
すぐに前川さんだと分かる。
いけない待たせてるかも。
俺は駆け足で前川さんのもとに向かう。
「ごめん。待たせちゃったかな? 」
俺は走りながら前川さんに尋ねる。
「あ、大江君。おはよう。ううん。ちょっと早く来ちゃっただけだから。全然、待ってないよ」
前川さんは首を左右に振る。
「ならよかった。あ、あと、おはよう」
俺は挨拶を返しておく。
言われたから。
「あははっ。なんか変な返し方だね」
前川さんは可笑しそうに笑う。
これだけでも絵になる。
それほどの美少女だ。
そんな女子とこれから毎日、登下校を共にする。
信じられない。
それにしても。
なんか前川さん、いつもより肌のツヤがいい感じがする。
肌の潤いや輝きも違う気がする。
いつもより明らかに調子が良さそうだ。
いつもよりきれいに見える。
なんでだろう。
「前川さん、なんかいつもとちょっと雰囲気が違うね。なにか付けてたりする? 」
俺は前川さんに尋ねてみる。
もしかしてオシャレしてる可能性もあるから。
「え!? ど、どうして分かったの? 」
前川さんは両目を大きく見開く。
驚いたようで声が上擦る。
「いや~、なんか肌の質感や潤い、顔の雰囲気もいつもと違ったから。なにかあるのかなって。ごめんね。こんなこと言って気持ち悪いよね」
俺は自身の発言を反省する。
軽率だった。
付き合ってもいない男に、こんなこと言われても不快感しか感じないだろう。
イケメンなら別だろうが。
俺は違う。
フツメン。いや、それ以下だろう。
前川さんに申し訳ないことをしてしまった。
「ううん。そんなことないよ。逆に凄く嬉しい! ありがとう、気付いてくれて」
前川さんは嬉しそうに頬を緩める。
頬を僅かに赤く染めながら真っ直ぐな瞳で俺に感謝を伝える。
「実は、高校に入学して初めて化粧をしてみたんだ。薄くだけどね。動画を見ながら塗ってみたんだけど。…どうかな? 」
前川さんは顔を赤くして上目遣いで俺に感想を求める。
うっ。この上目遣い、やばい。
可愛すぎる。
だけど、見つめ返して感想を言わないとダメだよね。
流石に目を逸らしながらだと本心だと思われないから。
「うん。いつもと雰囲気が違うけど。凄く似合ってると思う。まるで前川さんのために作られたみたい」
俺は正直な感想を前川さんの目を見て伝える。
「そ、そうかな~。な、なら今度も大江君と一緒の時だけ付けようかな。…なんて…」
前川さんはバッと逃げるように俺から目を逸らす。
顔は見えないが耳は真っ赤に染まっていた。
あれ? なんで?
俺、変なこと言ったかな?
俺は前川さんの反応の理由が分からず、逆に混乱してしまうのだった。




