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第4話 幼馴染

 それからシノとは、よく遊ぶようになった。


 遊ぶといっても彼女は外で走ることを中心とした運動や冒険と称した遠出が好きだった。

 遊びの中で分かったのはだいたい、おおよそ五十メートル程度の距離であれば、シノの足の速さは人並み外れたものということだった。


 大人よりも速いというのは本当だったため、あまり人目につかないように場所を選び、二人で競争するようにしていた。

 肝心の俺の身体能力はというと、脚力に関しては相手がシノなので比較対象として適切ではなかった。


 シノ本人は


 「リオスもけっこう速いのね!」


 と言っていたが、身体が成長しきっていないことも踏まえても、身体能力で境遇を変えられることはなさそうだった。生まれ持ったものは前世と同じで人並みか、それ以下ということだ。


 「また、考え事してるね。 いつも、なにをそんなに考えているの?」

 「なぁ、シノの親も足が速かったりするの?」


 この人間離れした脚力が異世界特有の遺伝によるものか、知りたかった。


 「そんなことないと思うわ。 わたしは……死んじゃったお父さんより速かったから……」


 やっぱりシノが特殊なのか……

 シノの脚は、短い距離に特化した速さだった。


 「最近はね。 お母さんから、あまり人前で走らないように言われるの。 みんなが驚くからって」


 寂しそうな声色だ。

 もしかしたら、シノの母親も何か感づいているのかもしれない。

 人よりも恵まれた能力があっても、それを理由に周囲から浮いてしまうことに同情する。


 外で元気に遊ぶのが子供の本来の姿なのに、制限しないといけないのは辛いだろう。

 「ねぇ……リオスも本当は、わたしと走るのは楽しく……ない?」


 不安な表情をしている。思い切り、外で遊ぶということに制約が課されているのは、可哀想だ。

 本当は、シノについていくのは、しんどいが傷つけたくなくて極力、明るい笑顔を向けて答える。


 「大丈夫だよ。 俺はシノがどんなに速くても最後までついていくから」


 それを聞いた本人は、嬉しさを隠しきれていないようで


 「い、いいの? リオスは遅くはないけど、大変かもしれないよ」


 「構わないよ。 でも、たまには手加減してくれ。 あと俺が走る以外の遊びをしたくなった時は、付き合ってほしい」


 それを聞いて、洋服の裾を握りながら、落ち着きなく顔を逸らしたりしながら、視線は何度もこちらを見ようとしている。


 「べ、別にいいわよ。 リオスがそう言うなら、これからも一緒に遊んであげるね。 私がいないとリオスは一人ぼっちだもんね」


 元の世界にいた頃、子供の頃から異性が苦手だったから、今のうちから遊んだりする時間は有益に思えた。


 あたりが暗くなってきた。そろそろ、帰ろうかとシノに切り出す。

 こくりとうなずいたのを見て、歩き出した時


 「も、もう暗いから! それにリオスは考え事ばかりで前を見てない時があるから……ね」


 そう言って、肩が触れた後、シノの指先がゆっくりと絡んでくる。


 それだけのことなのに、普通の帰り道が、少しだけ特別なものに変わった気がした。


 この日から、二人で遊んだ帰りは、手を繋いで帰路に就くようになった。

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