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シュクルが探す大うさぎはどこだ?

「大うさぎはどこにいるんだろうな?」


「割と安全な一階層から五階層の間にいるはと思いますが⋯⋯精霊達は誰も見ていないみたいですね」


「うむ」


 各地に散らばって宝探しをしている精霊達に念話で聞いてみたが、誰も大うさぎを見ていないとの報告が上がった。


「おや? 木の上に魔獣がいるぞ。アースボール」


――ギャ――


「魔猿ですね。そうなると⋯⋯」


「アースボールの連打! タ、タ、タ、タ、タタタ~! お前らはもう昇天している」


――ギャ――ギャ――ギャ――ギャ――ギャ――ギャ――ギャ――


魔猿は群れで生活している。 森ねずみと同じで一頭狩るとすべてが襲ってくるので、一頭ももらさずすべて狩らなくてはならない。これを怠ると他の冒険者がいきなり人類をすべて敵とみなした魔猿に襲われたりするので危険なのだ。


「この数を捌くのは面倒だなぁ⋯⋯あの棺桶が欲しいな。そうしたら時間停止ができるからいい感じなのに」


「時間停止とは何でしょう? 魔法ですか?」


「そう」


棺桶の中の遺体を腐らせない様にする魔法だな。あれはいい。食べ物はいつも新鮮だし、劣化の心配がないから教授の大切な資料も保管できている。 まぁ以前実際に遺体が入っていた事を考えなければ実に素晴らしい箱である。


「今度見せてもらえますか? 私が勉強して棺桶以外の⋯⋯そうですね、バッグとかを作ってみたいです。そうしたらシュクル様も便利ですよね」


「さすがぴーちゃん!! いくらでも見てくれ」



 うさぎがいそうな森をひたすら進む。五感を使って生き物の気配を探しながら奥深くまで進むと、三人の人間の気配を感じた。

シュクルはそのまま三人の方へ向かうと冒険者グループがいたので、大うさぎについての情報を持っていないか聞いてみる事にした。


「すみません。この辺りにうさ――――」


「あ! うさぎがいたぞ!」「え? うさぎってうさぎ獣人の事だったの?!」「でも噂通り可愛い!!」


「え? ⋯⋯いや、それ多分私の事じゃありませんけど?」


どうやら彼らもうさぎを見に来た三人だったみたいだ。


「失礼しました」「でも人参食べます?」「お前止めろよ」


「うむ。ありがたい」


人参はもらいつつ話を聞くと、どうやら大うさぎの話はこのひと月位の間に広まった噂だったらしい。


「実際に見た人はいるんですか?」


「俺らは人伝えに聞いただけだよ。でも大きいうさぎがいるのは本当っぽいんだよね。どうも逃げ足が凄く速いらしくて、後ろ姿だけは見た人が数人いるらしい」


彼らが実際に見た訳ではないので噂の域を出ないな。


「でね、その後ろ姿はフワフワの白いうさぎだったらしいよ」


「お~!!」


白いふわふわのジャンボラビット⋯⋯いいじゃないか。絶対に可愛いに違いない。


人参をY型のお口でモグモグするのが見たい。大体うちはマッチョ男みたいな連中ばかりで圧倒的に癒しが足りない。ムキムキとエロと守銭奴と心霊系ばかりじゃないか。おかしいだろ?

よし、是非とも可愛い癒し系のうさぎを保護して可愛がろう。一緒に寝たり、抱っこしたりしたい。


シュクルは新たな決意を胸に大うさぎ探しを再開した。


「あれ? そういえば野生のうさぎって穴を掘って生活している気がする。しかも朝方とか夕方に出てくるよな?」


シュクルは重大な事に今気づいた。森を歩き回っても見つかる訳がない。まずは巣穴を探して夕方まで待つべきだ。


「では巣穴探しですね」


「だな」


楽しみだな~ククク⋯⋯可愛い名前を考えなくてはな。


シュクルとぴーちゃんは夜まで探したが、結局その日にうさぎは見つからなかった。



「一階層から五階層にはいないな。六階層に行くか」


「そうですね。しかし驚きですね⋯⋯元飼い主がそのうさぎを捨てたとして、六階層まで行ける人なら冒険者か騎士か、または魔術師でしょうか?」


そうなるよな。六階層からはまあまあな経験が必要な階層になる。


「ウーウウ(行く)」


「よし、ニーチェも六階層に行こうな」


五階層までのダンジョンは森がハゲちゃったし⋯⋯うさぎ探しには楽でよかったけどね。


さて六階層に着いた。この階層は岩多めの階層だった。


「あ! 岩場に何かの巣がある。卵もありそうじゃん」


卵は美味しいから盗んでこよう。シュクルは気配を消して巣に近づいてみたのだが⋯⋯


「ショコ・ボン!(不細工!)」


「ガーガー!ガー!(消えろ! ゲス野郎!)」


黄色い巨鳥とダチョウっぽい魔獣が戦っていた。


「ショコ・ボンって結構顔にこだわるよね⋯⋯」


もしかしたらルベルさんは自身の容姿に劣等感でもあったのだろうか。


シュクルは卵を諦めて大うさぎ探しを続けた。しばらく進むと人間の気配を感じたので情報収集の為に声をかけてみる事にした。


「あの、すみませんが――――」


「女の子?!」「こっちに来ては駄目だ!」「見てはいけない!」「恥ずかしい!」


「⋯⋯」


低木に隠れている冒険者に話しかけてみたら、素っ裸の男が四人隠れていた。


シュクルは無言でその場を後にした。


「うむ。この階層はすでに狩り尽くされている」


「⋯⋯そうですね。七階層に参りましょう」


次の七階層に着くとそこは乾燥した草原だった。


「⋯⋯何も無いな⋯⋯」


「狩りつくされていますね⋯⋯」


うさぎどころか魔獣の一匹もいなかった。 血も涙もない。


気を引き締めて次の八階層に着くと今度は⋯⋯


「フレーズのヨ!」「違うノ! ワタシのネ!」


「た、助けてくれ⋯⋯!!」


「⋯⋯」


謎の生き物が冒険者のおっさんを引っ張り合い、上半身の服と下半身服を奪い合う醜い争いが行われていた。

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