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シュクルとヨンヌのダンジョン

「全く⋯⋯儲け過ぎだろうよ。ククク⋯⋯」


「イヒヒ」「ムシシ」「キキキ」「ショコ・ボン(儲)」「ガルルル(金)」「シュクルさん、今回も凄いですね」


 文化祭の次の日は、朝からやることが多かった。まずは昨日借りていた学食のグラス洗って返却したり、講堂の展示物を片付けたりと清掃作業に追われたが、午後からは自由な時間ができたのだった。


文化祭があった昨日は土の日だったので今日は日の日でお休みだ。しかも明日も振替休日で休みである。

さて大金を持った我々はこれからどう過ごすべきか⋯⋯


「買い物ヨ!」「遊園地ネ!」「パンツ!」「色々欲しいヨ!」「フン! 赤いマント!」「ショコ・ボン(やすり)」「聖典が欲しいです」「スタイ欲しいノ!」「サック欲しいゾ!」


「あのなぁ⋯⋯お前ら⋯⋯」


収集がつかなくなった。ここの全員を連れて買い物に出かけたら町の人がビビりまくりだろ? サーカス団だってここまで派手じゃねーよ。


でも昨日一日頑張ってくれたから何かしてあげなきゃな。


「でも困ったな⋯⋯」


「シュクル様、ここから南に進んだ方角にダンジョンがあるのをご存じでしょうか?」


「ん? 聞いた事はあるな」


結構古いダンジョンで王都の冒険者が修行をする場だと聞いた。ダンジョン内もよく知られていてガイドブックも売られている。


「そこのダンジョンに謎の生き物が現れたらしいのです」


何だそれは。気になるけど、でもなぁ⋯⋯どうせいつも通りおっさんじゃないの? 幻獣じゃないの? 変態爺だろ?


「それが大きなうさぎらしいのです」


「うさぎ?」


それはちょっと気になる。私もうさぎ獣人だし、うさぎは可愛いよな。確かジャンボラビット系のうさぎを佐藤は動画で見た事がある。あれは犬くらい大きかった。


「ですから皆で行ってみませんか? この大所帯でもダンジョンなら問題ありませんよ」


「おお! さすがぴーちゃん!」


困っている私を助けてくれたんだね。 姿はサバンなのにヘッポコ感ゼロだし信頼しか湧かないぞ!


「じゃあみんなでダンジョンへお宝探しに行こう!」


「ダンジョンノ、秘宝ネ」「イイネェ~宝箱」「ガルル(金)」「全部モラウ」「ダンジョン狩りヨ」「他のダンジョンは気になりますね」「ライバルダネ」 「全部サラウ」


我々は急遽ダンジョンに行く事になった。



王都から南に南下した小さなヨンヌの町にそのダンジョンはあった。


「ここだな⋯⋯」


精霊をすべて卵型にしてバッグに詰め、学校にあった鞍をエロ馬に装着し、乗馬にてここまで最速でやって来た。ちなみにちゃんとニーチェも抱きかかえて連れて来た。変な鳥が後ろから飛んできていたが無視しておいた。


「さて入場しよう」


ダンジョンの前には数人の冒険者がおり、何だか楽しくなってきた。シュクル帝国は自身の帝国だし、レイス神官のダンジョンはキモかったので、目の前にあるアニメで見た様な普通っぽいダンジョンに憧れていたのだ。しかもダンジョンの門は古代遺跡みたいでかっこよかった。 よし行こう!


「おや? ダンジョンの地図や攻略法ブックが売られているね。必要なのか?」


ダンジョンの入り口にガイドブックなどの薄い書物が並んでいた。これは買うべきか必要ないか⋯⋯


「うむ。内容はどんな感じ⋯⋯って、高! おいおい銅貨五枚って何よ? 買わんわ!」


ダンジョンとは冒険。冒険に地図などいらない。己で進んで己の地図を作るのだ。

よってシュクルはケチではない。


シュクルは先に進んだ。



「よし。そろそろ全員卵から出てもいいぞ」


しばらく進んだ所で卵を開放した。


「着いたネ」「お宝ドコ?」「ダサいダンジョンヨ」「ショボいネ」「狭いワ」


卵から二メートル級のマッチョ精霊が飛び出した。ちなみに可愛い精霊であるクリスは来なかった。

昨日のお仕事でストレスを溜めてしまったのだろう。今日は一日すみっこで過ごすらしい。


「よし、今からこのダンジョン内にて宝探し大会を開催する! 制限時間は明日の昼までだ! そしてこの中で一番いいお宝をゲットした者が勝者だ!! では開始!」


「行くヨ!」「あっちネ」「下行くワ」「ここはダメネ」「急げェ~」「ガルル(金)」

「ヒヒ~ン(雌)」「ショコ・ボン(香木)」 「フン!」


「シュクルさん、私も怪しい神殿があるそうなので行ってきますね」


「お前達ダンジョンの魔獣と間違がわれて討伐されるなよ~! レイス神官もいってらっしゃい」


うるさい精霊共はすべてダンジョン内に散っていた。


「ニーチェは食事に行くかい? 気を付けてね」


「ウー(うん)」


のそのそとニーチェも森に入っていった。



「あ~。今日はゆっくりしますかねぇ。ぴーちゃん」


「そうですね。シュクル様には三階層がお勧めみたいですよ」


今日はぴーちゃんと二人でのんびりと過ごす事にした。


三階層は湖のある緑豊かな場所だった。そこの木陰に腰をかけてぼーっとする。最近は文化祭の準備に忙しかったからな。 だからこの『ぼーっとしている』のは初老だからではないのだ。英気を養っているのだ。


しばらくぼ~っとしていると目の前の湖からにぎやかな声が聞こえてきた。


「お? 冒険者が魚と戦っているな」


「魔魚ですかね。弱そうですが冒険者も弱いですね」


三階層で手こずるなら冒険初心者だな。仕方がないので優しいシュクルが助けてあげる事にした。




「シュクル様大丈夫でしたか?」


「おいしそうだったから魔魚は貰ったよ。しかもお礼に人参くれた。どうやらここのダンジョンのうさぎを見に来た若者達だったらしい」


このダンジョンにいる可愛いうさぎの噂を聞いて冒険者でもないのに来てしまった連中だったが、魔魚に懲りたのかすぐに帰ると言っていた。それでいらなくなった人参をシュクルにくれたのだった。


「そんなに有名なうさぎなら超~可愛いんだろうな⋯⋯」


「ダンジョンで生活できるうさぎですから一角うさぎみたいな魔獣かもしれませんよ」


確かに。普通のうさぎなら⋯⋯生き残れないか。


「でも最近現れたんだろ? いきなりダンジョン内にうさぎが現れるかな? もしかしたら捨てうさぎじゃないか? 飼い主がこれ以上飼えなくなったからダンジョンに捨てた可能性はないか?」


マナーの悪い人間はどこの世界にもいるからな。


「そうでしたら早めに保護をいたしましょう。危険です」


「それがいい」


シュクルはぴーちゃんと共にうさぎの保護に向かった。

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