シュクルに付き纏うヘッポコ・サバン
「うううう⋯⋯」
「うるせーサバン。むしろ良かったじゃねーか。あの憧れの理事長と一緒の舞台に立てて。以前私にズルイとか言ってただろ? だから私が気を利かせて同じ舞台に立たせてやったんだぞ?」
「皆から攻撃された⋯⋯」
「いやいや、そう見せる演出だっただけで怪我も何もしていないだろ?」
シュクルは舞台が終了した後もずーっとヘナチョコ・サバンに絡まれている。
「キモイヨ」「ナヨナヨ」「ヒョロいのネ」「ヘナチョコ」「ショコ・ボン(キモイ)」
「ヒィ!!」
ここはシュクル邸宅。大儲けをした皆で楽しく本日の打ち上げを行っているのだが⋯⋯
「うっとうしいですね」「本当に。顔が同じなのが気に障ります」
温和なレイス神官とぴーちゃんにまで嫌われる始末。
「仕方ないな。じゃあ理事長宛のプレゼントをやるから元気出せよ」
「へ?」
今日も沢山のプレゼントをもらっていた理事長。そのプレゼントはすべてシュクルの物となった。
「この大きい箱は何かな~? お? 真っ赤なマントだぞ? ⋯⋯裏地は薔薇柄! うん。これは偉大なる公爵家のサバン君にこそ相応しい」
凄いセンスだ。貧乏人のシュクルには無理だ。
「これは何かな? いつものパンツね。私は女だし、サバンにどうぞ」
驚きのスケ感。ナニ一つ守る気ナシの男性用下着。どこで購入したんだよ?
「次は⋯⋯どう見てもアダルトグッズだな。サバンにあげる~」
これは後ろのアソコをアレコレするアダルトグッズだったからな。一人寂しいサバン君は一人遊びのし過ぎて緩くならない様に!
「次は⋯⋯何だこの本は⋯⋯理事長を総受けにした物語⋯⋯」
タチアナさん行きかな? でもすでに持ってるに違いない。ならサバンにあげよう。男だとこれ系の薄い本は買いにくいだろうし。
「おお~次は怪しいお菓子が来たね。怖いから端っこに置いておこう。次は裸の女性の絵⋯⋯これは自分の体を理事長に見て欲しいという思いなのか?」
エロ精霊にあげよう。エロ馬も欲しがるかな? まさかこの女性も自身の裸が変な生き物達に見られるなんて思っていなかっただろうよ。
「お? 次はシーツ類一式。全く怪しい仕掛けもないし、変な女の絵があるけどいいじゃん」
きっとこの絵の女と添い寝になる柄だな。でも質がいいしこれは私が使う。次は――――
「うううううう」
「どうしたサバン?」
いきなりサバンがうめき声を出し始めたがどうしたんだ?
「シュクルサマ、コイツ、発情してるヨ!!」「キモイネ、小さいネ、ムシシ」 「ショボいワ!」
「はあ?! 何で? あ、サバン、お前ここにあったお菓子を食べちゃったのか?」
先ほどシュクルが端に置いておいた理事長宛の怪しいお菓子を食べてしまったみたいだ。さっきまでメソメソしていたのにお菓子には目がないのか盗み食いしやがっていた。
だが闇魔法の使い手であるサバンがどうして媚薬の解毒ができないんだ?
まさか⋯⋯ビンビン媚薬を作成した薬草学の教師がまた性懲りもなく対エルフ用の最強媚薬をお菓子に入れて理事長にプレゼントしたのだろうか。そうなるとサバンは媚薬の影響をモロに受けるだろう。
「よし。サバンは非常に危険だ。すぐに学院の方へ捨てよう」
すまないなサバン。私は大を生かす為に小を切り捨てる人間なのだ。
「あいヨ!」「軽いノネ~」「枝じゃン」
「お土産も忘れるなよ~袋に入れてあるからな」
ヘナチョコ・サバンは精霊によって学院のメインストリートに捨てられた。
――ヘッポコ・サバンの惨劇――
「ああ、どうしょう⋯⋯体が⋯⋯誰か助けて⋯⋯」
この感覚には身に覚えがある。あの夜会で飲んだあの媚薬と同じ症状だ。
「ガルルウ(金)」
「え? あ、シュクルの犬⋯⋯? うわああああああ」
「ガル(ケッ)」
未だに学院内に落ちているかもしれない金目な物を探していたキンカンは、発情男の財布も服も見逃さなかった。 しかもさすが公爵家。パンツも高そうだったので毟り取った。
「あ⋯⋯今の俺ってまっ裸じゃないか⋯⋯あ、そうだ⋯⋯シュクルがくれたプレゼントに下着があったな⋯⋯これかな⋯⋯」
キンカンに裸にされたサバンはシュクルがくれた下着とマントを羽織り、 お土産袋を抱いてフラフラと出口を目指して歩いていた。
そして丁度エトワール寮に差し掛かった辺りで人を発見した。
「あ、すみません、助けて――――」
「うわあ!」「何だ君は?!」「変態だ!」
真っ赤なマントの中は裸にスケスケパンツのみを身に纏っていた男は直ぐに警備員に捕まり、騎士団に引き渡された。
「君⋯⋯王宮魔術師の人だよね?」
「媚薬を⋯⋯食べてしまって⋯⋯はぁ⋯⋯」
王都の治安を維持している第二騎士団に身柄を引き渡されたサバンは取り調べを受けていた。
「でもさぁ、その赤いマント凄いね。中が薔薇柄でしょ? 君ってソッチだって噂はあったけど本当だったんだね」
「ち、ちがいま――――」
「そんなパンツ姿で否定されてもねぇ。それに持ち物の袋の中身がね⋯⋯この本なんて男性と男性のソレだし、何より大人のおもちゃまで⋯⋯」
「はぁ⋯⋯わかりません⋯⋯」
「はいはい。君の趣味はどうでもいいけどさぁ、子供達が通う学院の中でその失態は駄目だよ」
本当にどうしてこうなったんだろう。サバンはふわふわした頭で先日の事を思い出していた。




