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シュクルの売り子体験

お昼になった。


「うむ。ショコボンよ、いい仕事をしたな」


「ショコ・ボン(簡単)」


お昼の後は大人気と聞いた騎士科の剣舞がある。そこは我々の戦いの場となるであろう。


「チェリーとスリーズ、そして他の精霊達にも手を借りよう。我々は稼いだお金を持って王都で豪遊するのだ! その為にも頑張るぞ!!」


「イイネ!」「やるヨ!」


「いざ出陣!」


騎士科の訓練場に着くと、そこはすでに大勢の観客で埋め尽くされていた。きっと朝から場所取りをしていたのであろう。剣舞は本当に人気みたいだ。

まぁだからと言って問題はない。なぜならば我々に席など必要無いからだ!


「ビールにポップコーンいかがですか~。はい、ビール三本ですね~銅貨三枚になります~。ありがとうございました~」


シュクルは南、チェリーは北、スリーズは西、フレーズは東。我々は完璧な布陣で臨んでいる。 漏れも死角もない。


「ビールヨ~」


「お! よく冷えてるじゃないか。この瓶にビールが入っているのか。いいな」


ククク⋯⋯この世界のビールは樽に入っていて、それをコップに注いで提供している所が多い。今回シュクルはワインを飲み過ぎて始末に困っていたワイン瓶をクリスに洗わせ、熱湯で消毒したのち、樽買いしてきたビールを詰めて魔法で冷やして売っているのだ。お上品な方には学食で借りたコップを有料にて貸し出しも行っている。


ククク⋯⋯こんなの売れるに決まっている。少し肌寒いのが残念だが。


「ストロベリー! 追加持って来てくれ!」


「あいヨ~! ヒヒヒ~」


 一年生の剣舞が始まった。一年生とは言っても15歳の騎士科の野郎は全く可愛くもないので剣舞なぞ見ずにビールの販売に徹する。売れ行きはいいが、このままではビールが足りないかもしれない⋯⋯もうすでに半数が売れてしまった。まだ二年と三年の剣舞が残っているのに!


そういえば二年生の剣舞は友人の三人が舞うので見なくてならないが、三人ともまだここに来ていない気がする。どうしたのだろうか? まあいいか。全員中身が中年だし心配は無用だ。

シュクルはまたビール販売に集中した。



 そろそろ二年生の剣舞が始まる頃、態度の悪い男がシュクルの前に現れた。


「おいシュクル! お前の友人三人はどこだよ?! もう始まるのにいねーんだよ!」


「はぁ? ライオンかよ。知りませんけど。今忙しいので邪魔しないで下さいよ」


「マジで教えろ!」


「チッ⋯⋯オカ研でアンジェラさんは⋯⋯とある教師を緊縛プレイ中、タチアナさんは文化祭にありがちなBLハプニングを探しに出かけていて、イレーヌさんはシリウス星人の呼び出しを屋上で行っていますよ」


学院中にいる精霊達に念話で聞いたらすぐに三人の居場所と目的は分かった。


「はぁ?! 意味わかんねーよ! お前がどうにかしろよ!」


「あ゛? 知るかよ! さっきからライオンはうるせぇぞ! 商売の邪魔するんだったらぶっ〇すぞ! ゴラァ!」


今日のシュクルは120パーセント本気である。金稼ぎは命がけだ。


「おま、教師に向かってなぁ! いつも態度が悪いんだ――――グヘッ」


「とう! うむ。静かになった。⋯⋯ビールいかがですか~よく冷えてますよ~」


うるさいライオンは鍛錬場に投げ捨てた。これでビールの販売に戻れる。



「では鍛錬場の出口は二つあるから、二手に分かれて対応すべし」


「そうネ」「イイヨ」「売るゾ」「行くワ」


もうすぐ剣舞が終わる。我々は第二フェーズに移るのだ。


「お! 客が来たぞ! 木剣いかがですか~学院で実際に使われている物ですよ~」


ライオンからもらった古びた木剣を新品に見える様にショコボンに磨いてもらったのだ。 シュクルはエコロジー派だからな。


「学院で使っている木剣と同じものだって! 母上、僕も欲しいです!」


「そうね。実際に使われているものなら入学試験の練習にいいわよね。いただけるかしら?」


「はい~! ありがとうございます!」


ククク⋯⋯将来騎士科志望の子供達に売れまくる。先ほどまでかっこいい剣舞を見て興奮しまくっている脳筋共がどんどん釣れる。


興奮すると財布の紐は緩むのだ。 酒場しかりライブ会場しかり、デート中しかり。


すべての木剣を売ったシュクルは山積みのワゴンを三台同時に押しながら次の戦場へと向かう。


王宮の配膳ワゴンを指一本で転がせる程までに実力を身に付けたシュクルは、人込みを物ともせずスルスルとすり抜けて魔術訓練棟に辿り着いた。



「ワインはいかがですか~? 果汁におつまみもありますよ~」


ビールは売り切れたがワインは大量に仕入れてあるのだ。学食のグラスに入れて販売する。


「ワイン二つに果汁も頼む」


「ありがとうございます」


魔術科の魔術発表は少し長いので皆飲み物が欲しくなる。ほぼすべての観客が飲み物を頼んだ。

正に左団扇とはこの事ではないだろうか。はぁ~金儲けの天才かよシュクルは。


「講堂係も儲かったかな?」


シュクルは午前中、音楽の発表をしていた講堂に精霊二人を送ったのだ。午後の今は学術発表の時間か。きっと彼らも儲かった事だろう。


さてそろそろ〆の海賊ステージの準備でもするかな。


シュクルと理事長のステージは騎士科の訓練場で行われる。現在会場の準備が急ピッチで行われていた。


「売店は二か所用意するか。各種ぬいに、応援グッズの販売。そして賽銭箱をステージ前に置く」


うむ。儲けの準備は万端だな。


シュクルは急いでステージの衣装に着替えた。

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