白雪姫は悪役令嬢
その後も白雪姫と名付けられた王女様はすくすく育っていき、パーティがあれば皆が目移りしてしまうほど美しくなった。他国から嫁に取りたいと多くの懇願があったが、当の白雪姫はその見合いの絵を見ると、
「ええ?このくらいしかお金がないの?お父様私はこの世の中で一番素晴らしいお方と結ばれたいですわ。」
と、すぐに投げ捨ててしまった。この姫は母親の悪いところが似てしまい、自分の美しさを自慢するような人だった。母親はその性格を向上心があると褒めてくれた。
その後、そんな彼女らにとって悲劇が起きた。女王が急病で倒れてしまったのだ。病名は針で指を刺したときにばい菌が入ってしまったらしい。
「女王様。やはりあれは神の呪いだったんですよお。」
レオが目に涙を浮かべながら、女王に必死に話しかける。
「いえ、レオ。神様を疑わないで、私はこの美しい体のまま死ねるなら十分よ。」
その言葉は女王の人生のすべてを体現していると同時に遺言にもなった。その後皆に(特にレオに)惜しまれながら、女王様は亡くなった。
とても嫉妬深いことではこの上ない女王様がやってきた。この人は自分の美しさのことを「1000年に一度の美しさである」と、とても誇りにしていて、いつも魔法の鏡に問いかけていた。
「かがみよかがみ、この世の中で一番美しい人はだーれ?」
すると、魔法の鏡が勝手に話し出し、
「ええ、それはどのような意味で言っているのですか?外見?内面?そもそも、美の基準なんて人それぞれだと思いますけどね。」
「あら、減らず口の多い魔法の鏡だね。この杖で叩き割ってあげようか?」
そう、魔女は杖を振り上げる。
「貴方ですよ。貴方。その美しさは何にも例えようがございません。」
というように、美香の外見を称賛する。実際はさほどでもないのだが、さすがに本人のいる前でそんな失礼なことを言えるわけもなく、そう言っていた。
女王は自分がこの世界で一番美しいと思っているとんでもないうぬぼれ屋ということで世界中で有名なので、その言葉を聞いて至極当然のことと思っていた。
しかし、ある日、魔女がいつものように魔法の鏡に質問していると、ある全く空気の読めない人が
「いやあ、少なくともこの国の中ですよ。それは白雪姫でしょう。」
「え、あんた何でそんなこと言うのよ。叩き割ってあげようか?」
「いや、待ってくださいよ。ほら、この姿を見てみてください。」
鏡は大慌てで白雪姫を映し出した。その姿はいちいちうるさい魔法の鏡が称賛することもあってとても美しい。雪のような白い肌に、美しく赤い唇、黒い髪はこの世の人間とは思えず、伝説にも語られるエルフか何かと思われるようであった。しかし、魔女は先ほども言ったように、とても嫉妬芯の強いことで有名な生物なので、そのことを認めずに、
「私の美しさを超えるなんて許さない。どうにかしないと。」
と疎ましく思っていた。
「そういえば、あの王様新しい王女を妻にするそうだね。」
そこで彼女は自分の恰好をその王女に変えて、本当に嫁に来る王女のいるところに忍び込み縛り上げてしまうと、王様のもとに嫁入りに行った。
白雪姫はその王女の顔を見ると、
「美しい人だけれど、私には及ばないわ。私の方がその何倍も美しい。」
一方の魔女はというと、その白雪姫とすれ違う時にあえてワインをこぼしてやったりする。
そして、ドレスが汚れている様子を見ると、自分が連れてきた、こうもりと猫を化けさせた近習とともに裏でほくそ笑むのであった。そして、二人は王宮ですれ違うと互いににらみつける関係になった。
「今すぐ、白雪姫を始末しなさい。」
「ええ、でもそんなことしたら犯罪になってしまいますよ。」
化け猫が女王の発言に戸惑う。
「何言っているの。その為に私はあんなくそおやじの嫁になって近づいたんだから。」
「それなら、どこか遠いところに置き去りにするのはどうでしょう。」
そのこうもりの提案に女王は手を叩いて喜んだ。
「それがいいわ。王様にはどこかの崖に落ちてしまったとでも言いましょう。」