白雪姫誕生
昔々ある国に縫物をしている女王様が居た。その女王様が縫物をしていると、何の間違いか針で指をさしてしまった。傷からは赤い血が垂れている。その様子を見て近くの近習レオが慌てて駆け寄ってきた。
「ああ、愛しい女王様の手を針で刺してしまうなんて、きっと何者かの陰謀でしょう。」
「大丈夫よ。レオ、こんなの平気よ。」
「いや、この傷口から様々な細菌が入って病気になってしまうかもしれません。急いで医者を呼びます。」
女王様の制止も聞かず、レオは走って行ってしまった。その後医者が来たが、どう見てもただの刺し傷なので包帯だけして、
「そのまま安静にどうぞ。」とだけ言われた。
医者が帰った後レオは女王の前に残った。
「いや、女王様がそんなにお強い方だとは思いませんでした。」
「いいえ、レオ。これは神様のお導きよ。」
女王はそれを否定するとそう言った。女王様は神のことを信じている、この世で何人かのとっても信心深い人である。
「お導きですか?」
思いがけない言葉にレオが女王に聞き返す。
「ええ、いつか私のこの白い肌と血のように赤い唇と黒い髪を持ち合わせた。美しい娘が生れるのよ。アーメン。」
ちなみに、この人は信心深いだけでなく、自分の美しさについてもうるさかった。
「そうですか。それは楽しみですね。」
例は半ば呆れながらそうとだけ答えた。
その後女王様は産気づき、美しい王女様が生まれた。女王の部屋に各諸侯からの祝いをもってやって部屋に入って来た、レオに女王がまた話しかける。
「ああ、レオ見て、私が言った通り白い肌と赤い唇と黒い髪の娘が生れたわよ。やっぱり神様のお導きなのよ。アーメン。」
女王は隣で寝息を立てている。娘を愛らしくなでながらそう答える。
「そうですねえ。とてもお美しいです。恐らく成長すればこの世で指折りの美貌になるでしょう。その時が楽しみですな。」
「ええ、私はそんなの嫌よ。だって、あの子が成長したら、私おばあちゃんになっちゃうじゃないの。」
女王様は自分の美貌がそのうち失われるのではないかと恐れていた。
「いやいや、女王様の美貌はいつでも衰えませんよ。」
レオはお世辞を言ってなだめる、というよりレオは7歳の時子爵だった父親に手を引かれて、王宮のパーティに呼ばれた時、初めて当時侯爵令嬢だった女王を目にしてから、心を打ち抜かれてしまい。絶対将来は女王の近習をやると心に決めていた。これがようやく叶ったのだ。いつまでの美しく暮らしていてほしい。
「あらレオ、そんなにごまをすっても。何も出ないわよ。」
女王はこれが当然のことであろうと笑っている。




