1章4部
紫パパの研究室に着くなり、ご挨拶も程々に、僕達は本題に入る。
「パパ、空と翠が例の新生物について聞きたいことがあるんだって。」
「大体の話は紫から聞いているよ。なにか怪しい気がするって聞いてはいるけど、詳しく聞かせて貰えるかな?」
僕と翠は朝話していた内容について事細かに説明する。CHAOSとクトゥルフが似てる点、研究の進捗、ホームページの更新、その原因の仮説についてだ。
「なるほど。生物学に関しては私の専門じゃないから答えられる範囲でしか答えられないけど、確かに不審ではあるね。一度定点カメラや、周囲の防犯カメラの映像が見られないか見てみよう。……これはあんまり大きな声で言えない事だから内緒にしておいてね?」
定点カメラについては公開されている場合もあるが、監視カメラに関しては完全にアウトの部類だからであろう。情報の専門家だからできることでもある。悪用しようと思えばいくらでも出来る。それしたら捕まる所までは中学生の僕でも分かる事だ。
「お願いします。」
「ちょっと待ってね。……。今ここの画面に映し出すからね。」
映された画面に映るのは、謎の建物。なにこれ知らない建物だけど。どここれ。
「今映してるのが研究所の正門前にある定点カメラの映像だよ。建物は映っているけど、人だけでなく鳥や動物も映ってないね。」
まぁ、それもそのはず今日本が17時25分だから、ロサンゼルスは深夜1時25分ということになる。真っ暗だし、人もあまり出歩かない時間帯だからという部分も大きいだろう。
「これは、時間帯の問題もあるかもしれない。少し時間を遡ってみよう。」
景色は変わらず、空模様だけが変わっていく。正門前なのに人の気配がないのはなぜ?翠の予想は当たっている?当たっていると仮定するとどの範囲まで?
「おかしい。明らかにおかしいね。正門前なのに人が1人も歩いてすらいない。車も通らない。それどころか1羽の鳥すら映らない。州内の他の場所も見てみよう。」
ロサンゼルス内に無数にある定点カメラの画像を片っ端から見ていく僕達。しかし、そこに映るはずの人の姿、動物の姿はない。
「これは良くないことが起きているかもしれない。至急、アメリカへの出張の手続きを取って現地で調べる必要がありそうだ。危険が伴うことは承知の上だろうが、翠くん、空くん。君達も来るかい?助手として連れていくから旅費の心配は要らないのだけれど。」
「翠と空がそんなことする必要は無いわ。私が行く。」
紫さん!待って!僕達も行きたい!とは言えない空気を醸し出す紫。翠も同様のご様子。言ったら聞かないからなぁ……あの子。行動力お化けとは彼女のような人のことを言うのだろう。ここは行動力お化け先輩に任せて僕達はクトゥルフについて日本で調べれることを調べることにしよう。消えているとしたら原因は確実にCHAOSだろうし、解決方法とか、消えた人達の行方も気になる。人だけならまだ避難区域とかに指定されたとかで、まだ納得ができるが、動物もいないとなると正直理解が追いつかない。
「わかったよ。じゃあ今回は紫だけ連れていく。但し、紫に関しても市街の様子を一目確認したら帰国すること。その条件だけは守ってね。」
「わかったわ、パパ。パパも私が帰ったあと毎日定時連絡すること。」
「あぁ、もちろんだ。本物の助手も何人かと研究者仲間を何人か連れて行くことにしよう。」
紫と紫パパ、研究者仲間達、助手の方々総勢20名弱の調査チームが組まれ、出発の日時、その後の方針などは後日各々の時間の都合などを考慮した上で話し合われることになるらしい。僕と翠もその会議に参加していいらしいよ。びっくり。




