1章3部
授業も終わり、他のクラスメイト達が部活に勤しむ中、僕と紫は用事を済ませてから向かうと伝えてどこかに消えた翠を門の前で待つ。
「翠、おっそいわね。」
「さっき女の先輩と二人で何かやってたのは見たよ。」
「まさか!告白!?それは見逃す訳には行かないわね!」
「やめときなさいって。翠に彼女が出来ても嫉妬するんじゃないぞ。」
「なんで私が!そこじゃないわよ!面白そうじゃない!」
「余計やめときなさいな。いいじゃないですか。青春っぽくて。」
「なんで翠ばっかりモテるのよ。」
「そりゃあれだけ小動物感満載の男の子なんて希少だからじゃないかな?」
「おまたせ!空!紫!ごめんね遅くなっちゃって。」
噂をすればなんとやらとはこの事か。噂の主は全くそんなこと予想もしてないような顔で現れる。
「遅いわよ!翠!告白してたって聞いたわよ!相手は誰よ!」
「いやいや、してないよ!?」
「空から聞いたわよ。先輩らしい女の人と話してたって。」
「空いつどこで見てたの!」
「えっと、確か30分くらい前かな?」
「それ、もしかして2階の階段の近く?」
「たしかそう。」
「空。それ朱さんだよ。」
「え?朱ねぇ?」
朱さん……。あー……。なるほどね?後ろ姿だったからわかんなかったけど。そういう事ね。理解したわ…。
朱さんは紫のお姉さんであり、小さい頃からお世話になってる僕達3人のお姉さん的存在だ。
「翠。ごめん。後ろ姿しか見えなかったからわからなかったわ。」
「あーおー?全くもう!僕がモテるわけないでしょ!」
「でもさ、朱ねぇがなんで翠に?」
「なんか、朱さんのお友達が僕にって。お菓子くれたの。なんで僕なんだろうね?」
翠さん。それ、確実に好意持たれてますやん。餌付けされてますやん。口調おかしくなるよねほんと。
「へ、へぇ……。ところで用事ってそれ?」
「あ、ううん。それはさっき出来ただけのやつ。最初の用事は図書室に寄りたかったの。」
図書室。そのワードで僕は察した。
「クトゥルフか!」
「そうそうクトゥルフ。でも残念ながらここにはなかったみたい。一応、図書委員の人とか司書さんにも聞いたんだけどね。ないって言われちゃった。」
「くとぅ……クルクル?」
紫さん。残念。はずれ。
「クトゥルフね。CHAOSが似てるんだってさ。もちろん、クトゥルフとは限らないんだけどね。」
「似てる?タコヘッドコウモリウイング?」
「そうそう。見た目とか見つかった場所とか。」
僕に言ってくれれば一緒に探したのに。と思いながらもなかったのなら一緒か。と納得することにする。
「ふーん……?まぁいいわ。とりあえず行きましょ。細かい時間決めてない分早めに着いた方がいいでしょ。」
細かい時間決めてないかい。と心の中でツッコミながらも、アポ取ってくれた恩もあるので、口には出さない。空気の読める男は、こういう所で差を見せつけるものだ。決して言ったら後で怖いとかそういう理由じゃないので。決して。
「そうだね。早く行こう。」




