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カイル


ユールは居住区をぬけ、研究区画に近づいた。


研究区画は建物の密度は高くなく、大きな建造物が点々としている。


そこでは食料や武器の開発、マキナやネルレイズの調査など


個人の生活に関わるものから島の調査まで、様々なことが研究されている。


ユールは入り口近くのゲートに足を運ぶ。




「すみません、研究区に入りたいんですけど…」


「はい。 何かありましたか?」


ゲートに居た警備員に話しかけた。




「えっと、これを…。 船で流れ岩を回収してた時に持ってきちゃったみたいで…」


「これは…。 コアですか」


ユールがポケットから取り出したコアを見て警備員は通信機を手に持った。




「少し待っていて下さい。 …はい。 ええ、男の子がコアを届けに。…はい、わかりました」


誰かと話し終えた警備員がユールの方を振り向いた。




「では、この先右奥の建物に向かって下さい。 迎えが来るそうです」


「えっ、わざわざすみません!」


「大丈夫ですよ、すぐ来るそうなので着いたら待っていて下さい」


小さなコア1個のために迎えが来ると伝えた警備員にユールは恐縮して謝った。




「はい。 わかりました」


指示されたユールはあたりを見渡しながら右奥の建物を目指した。




「…。 いつみても変なとこだなぁ。 訓練場もここだったっけ…」


建物の前についたユールは、そう呟きながら迎えを待っていた。


するとそばの扉が開き中から男性が現れる。




「やはり、ユール君だったか」


「カイルさん!」


中から出てきた長身の顎髭を生やした男はカイルと言い、エミルの父親だった。


カイルと妻のエリーは元上陸部隊の船員で、今は共に研究区に所属している。




「連絡で特徴を聞いてまさかと思って来たんだ。 久しぶりだな。 元気だったかい?」


「はい! カイルさんも変わらないようで」


「私はここに箱詰めで体力も衰えてしまったよ」


ははは、とカイルは笑いながら言った。




「エミルから聞いたよ。 船で襲われたんだって?」


「はい、なんとか撃退しましたけど…」


「凄いじゃないか、私が君くらいの時なら驚いて動けなくなっていたさ」


「ま、まぐれですよ」


褒め称えるカイルにユールはいたたまれなくなった。




「謙遜する必要はない。 立派な君の実力さ。 むしろ誇ると良い」


「そ、そうですかね…」


「ああ、ただ慢心はしないように」


満更でもない顔をしていたユールは、その後の一言に呆けた顔をした。




「そうですよね…」


「ははははは、すまんな。 君の反応が面白くてつい」


「カイルさん…」


からかわれたことに気づいたユールは呆れ顔をした。




「それで、コアを届けに来たって?」


「あ、そうです。 これ、船で回収作業してる時に持ってきちゃったみたいで…」


ユールはカイルに小さな赤いコアを渡した。




「赤い…。 コアか? ふむ…。…あぁ、わざわざ届けてくれてありがとう」


「いえ、元はといえば俺が持ってきちゃったのが悪いですし…」


「いやいや。 このくらいの小さなものだと報告しないで捨ててしまったり、持って帰ってしまう者もいるからね。 君みたいな誠実な子には感謝しないといけない」


「そ、そんな事は! …またからかってます?」


「ははははは、いやいや。 今度は本意さ。 ありがとう」


ユールは照れそうになるが先程のことを思い出し警戒した。


そんな彼をカイルは笑いながら褒めた。




「ああ、そうだ。 それとエミルに伝えてもらおうかと思っていた伝言があったんだ」


「伝言ですか?」


「リゼからだな。『訓練は明日行う。 寮に集合して一緒に向かおう。 時間は昼過ぎだ。』との事だ」


カイルはユールにそう伝えた。




「エミルには私から伝えておこう。 ジグに伝言を頼めるかい?」


「わかりました、伝えておきます」


「助かるよ。 それでは私はそろそろ戻らないといけない。 また今度あったら話を聞かせてくれ」


「はい、ありがとうございました!」


挨拶をしつつ二人は別れた。




「ジグはまだ寮に居るかな…」


ユールは入ってきた入り口に戻り、研究区をぬけ寮を目指して歩き始めた。



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