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エイダン・ハネット


「あっ、野菜! どうだった!」


「うまく料理できたわよ、大好評だったんだから」


「ほんと!? エミル大好き!」


リリーはエミルに飛びかかった。




「ちょっ、ちょっと待ちなさい。 落ち着いて、報告しに行かないといけないでしょう?」


「ああ、本当にあれは美味しかったぞ。 リリーの功績だな」


「確かにうまかった!」


料理を食べた二人はリリーを褒めた。




「料理したのは誰? 私にも何か言っても良いんじゃない?」


「うん、ありがとうエミル!」


エミルの言葉にリリーが更に組み付く。




「ちょ、ちょっと待ちなさいってば!」


「はは、エミルもありがとうな。 おかげでうまいもん食えた」


「そうだな、感謝している」


じゃれ着くエミルとリリーにユールとジグは言った。




「…。 ほら、リリー! 報告するんでしょ? 行くわよ!」


「はーい」


そういうエミルの耳は少し赤くなっていた。




「ユール! 私はリリーと一緒に料理のこと報告しに行くわ。 エイダンさんにはまた今度会いに行くって伝えてくれる?」


「ああ、わかった。 伝えておくよ」


エミルは振り返ってユールに言った。




「じゃあ、またね~」


「ああ、またな」


「気をつけろよ!」


そう言ってリリーとエミルは研究区画へ歩いていった。




「じゃあ俺は爺ちゃんのとこに行くかな。 ジグはどうする?」


「俺はもう少し親父を手伝ってから寮に戻るとするさ」


ジグは振り返って船を見ながら言った。




「わかった。 頑張れよ」


「ああ、エイダンさんに宜しくな」


そう言い残してユールも居住区へ向かって歩いていった。



居住区は主に石材や金属で出来た家屋が多く、入り乱れるように建っている。


その中をしばらく歩いていると、教会のような建物が見えてくる。


ユールは、その建物の方向に向かっていった。




「爺ちゃん! いる?」


入口をくぐりながらユールは叫ぶ。




すると建物の影から、子供達が飛び出してきた。




「兄ちゃん!」


「ユール兄ちゃんだ!」


「おかえり!」


子供達はユールに群がり、思い思いに話す。




「おっ。 お前ら元気だったか?」


「元気!」


そう言って子供達はユールをもみくちゃにする。




「いでででで! 引っ張るな! 乗るな! 船の話してやらないぞ!」


「はーい!」


ユールの言葉に子供達はビシッと行儀よく返事をする。




「ったく…。 爺ちゃんは?」


「お爺ちゃんなら、奥で寝てるよ」


「奥で? 具合悪いのか?」


「ううん、さっきまで皆で草むしりしてたから疲れて寝ちゃった」


少し心配したユールだったが、息を吐いて苦笑いをした。




「なんだ…。 じゃあ俺は爺ちゃんに会いに行ってくるから、大人しく遊んでろよ!」


「はーい」


「あとでお話! 聞かせてね!」


「ああ、後でな」


そう言ってユールは孤児院の中に入っていった。




「飲み物くらい持っていくか…」


そう思い立ち、食堂でお茶をいれ持って歩く。




「爺ちゃん? 起きてるか?」


ユールは院長室の扉をノックしながら聞いた。




「…んん。 誰だ?」


「俺、ユールだよ」


眠そうな声に答えながら扉を開ける。




「おお、ユール! 帰って来てたのか。 すまんな。 出迎えに行こうと思っていたんだが、すっかり寝てしまった」


そういう彼、エイダンは髭を生やした痩せ気味のお爺さんだが、精強な顔立ちからは衰えを感じさせない。




「無茶するなよ、年なんだから」


「何を言う、儂はまだまだ現役だ」


ユールはエイダンにお茶を渡しながら言った。




「おお、すまんな。 それで、航海はどうだった?」


「色々あったよ。 流れ岩にネルレイズ、マキナとも戦ったし…」


「ほう。 それはまた大盤振る舞いだな。 島にでも上陸したのか?」


椅子に座りながら言うユールにエイダンは驚いた。




「いや、ネルレイズがマキナの巣を飛ばしてきたんだ。 もう大変だったよ…」


「ネルレイズが巣を? …ふむ。 戦ったのか?」


エイダンは髭を掴みながら考え込みユールに聞いた。




「そう! 戦ったんだ! マキナを倒したんだぜ!」


「はっはっは。 嘘をつけ、追い返したの間違いじゃないのか?」


「違うって。 ほんとに倒したんだ。 自分でもよく分かってないけど…マキナが遅くなった様に感じて、こう叩き潰した!」


信じる様子がないエイダンにユールはジェスチャーをしながら説明する。




「…共振(きょうしん)か?」


その話を聞いて思い当たる節があったエイダンは小声でいった。




共振(きょうしん)?」


「ああ、いや。 ユール、この後何か予定があるのか?」


聞き逃さなかったユールは質問するが、はぐらかすようにエイダンは言った。




「ああ、リゼさんから訓練を受けるんだ。 準備ができたら連絡するって言われてる」


「…なるほどな」


「それより、共振(きょうしん)ってなんだ? 教えてよ、爺ちゃん」


納得したエイダンにユールはせがむ。




「焦るな。 恐らくリゼの訓練で教えるつもりなんだろう。 儂が教えるより、リゼにしっかりと教わったほうが良いだろう」


「それ、ダグラ船長にも言われた…」


「はっはっは。 お前達の為を思ってだろう。 しっかり学んでこい。 …無理はするんじゃないぞ」


「…うん、わかった」


真剣な眼差しで言うエイダンにユールも真面目に返事をした。




「…よし。 今日はここに泊まるんだろう?」


「そうする予定。 部屋ある?」


「ああ、お前の使っていた部屋が空いている。 子供達の遊び相手にもなってくれるか?」


「元々そのつもりだよ。入り口で散々飛びつかれたし」


「はっはっは。 気に入られてるな」


疲れ顔で言うユールをエイダンは笑った。




「じゃあ、部屋行って荷物置いてくる」


「ああ、ゆっくり安め」


そう行ってユールは自分の部屋に向かっていった。









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