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グラント


グラントに向けて出発した船は、近海にまで辿り着いていた。


その間、特に驚異に晒されることもなく船は順調に進んでいる。




ユールとジグの二人は食堂で朝食をとっていた。




「う…くぁ…」


「随分眠そうだな」


伸びをするユールにジグは話しかけた。




「あぁ…。 見張りの時の罰で掃除をやらされたからな…」


「そういえば、そんな話もあったな」


「すっかり忘れてたよ…」


ユールは、げっそりとした顔をしていた。




「もうすぐグラントだな」


「ああ、帰ったら爺ちゃんに会いに行かないと…」


「エイダンさんか」


二人は孤児院の院長、エイダン・ハネットを思い浮かべた。




エイダンは身寄りのない子供、両親を無くした子供達を集め孤児院を経営している。


ユールも、その孤児院にお世話になった一人だった。




「ああ。 爺ちゃん心配性だから、帰ったらすぐに会いに行かないと寮まで押し掛けそうだ」


「はは、確かにやりかねないな」


苦笑いで言うユールをジグは笑った。




「だが、感謝してるんだろう? 元気な姿くらい、真っ先に見せてやれ」


「わかってる、爺ちゃんには頭が上がらないよ」


そういうジグにユールは頷いた。




「お待ちどうさま。 …何話してたの?」


エミルが朝食をテーブルを届けに来た。




「おっ、きたきた。 爺ちゃんの話だよ」


「真っ先に、エイダンさんに無事を報告しにいくらしい」


料理を持ってきてくれたエミルに感謝しつつ、返事をした。




「エイダンさんね。 私もお父さんとお母さんの時に随分お世話になったから、挨拶しに行かなくちゃ…」


「はは、爺ちゃん喜ぶぞ」


「はしゃぎすぎて体に障らないといいが」


そう言って三人は笑いあった。




「それじゃ、私は厨房に戻るわ。 ごゆっくりどうぞ」


「ああ」


「邪魔したな」


厨房に戻っていくエミルを二人は眺めた。




「訓練…エミルも参加するんだよな。 何をやるんだろ」


「俺もそれとなく親父に聞いてみたが…。 『今、中途半端に聞くよりも帰ってリゼからしっかり学べ。』 だそうだ」


ジグはダグラを真似て言った。




「ふーん…。 まぁ、もうすぐグラントだし着いたらわかるか…」


「そうだな。 もう見えてくるんじゃないか?」


そんな二人の話の直後、ダグラの放送が船内に響き渡った。




「もうすぐグラントに到着する。 各員、帰港準備を始めろ」


その放送に食堂で食事をしていた何人かは慌てて部屋を出ていった。




「んぐっ。 見に行こうぜ!」


「慌てなくても島は逃げないぞ。 食べ終わってからで良いだろう」


急いで食べるユールをジグは注意した。




食事を終えた二人は甲板に向けて歩き出した。




「ん~。 グラントが久しぶりな気がするよ」


「出発してそこまでたってないが、内容が濃かったからな。 船長にも数日はしっかり休めと言われたし、羽根を伸ばすとしよう」


「リゼさんの方から連絡してくれるんだっけ?」


「ああ、そう言っていたな」


「休むったってなぁ…」


ユールは休息と言われ、逆に考え込んでしまった。




「はは、別に無理に寝ていろと言われているわけでもない。 普段どおりにすれば良いんじゃないか? いざ訓練の時に疲れたなんてことのないようにさえすればな」


「それもそっか 」


「ははは」


他愛のないことを話しているうちに二人は甲板に到着した。




「おっ、見える見える」


「ああ、グラントに到着だ」




二人の視線の先にはグラントが見えていた。







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