帰還 2
甲板ではアメリとダグラが既に到着し船員に指示を出していた。
「外殻の修復はどうだ?」
「はい! あらかた終わりました、出発に支障はありません!」
ダグラの問いに船員は返事をした。
「お前達! そろそろ出発するよ! ネルレイズをしっかり固定しな!」
「はい、船長! 既に!」
「ようし。 すぐに行くからそのまま待機してな!」
アメリは自分の船の船員に確認した。
「それじゃあ後は、リゼが来るまで待つだけだね」
「ああ、そろそろ来る頃だろう」
そう言って二人は扉の方を見た。
そして扉が開き四人が甲板に到着した。
「遅れました。 すみません、船長」
甲板に出てすぐに謝ったリゼの後ろにはユール達の姿が見えた。
「構わないよ! そんなに待っては居ないしね。 挨拶は済んだかい?」
アメリはリゼの後ろに居るユール達を見ていった。
「お前達も来たのか」
「すみません、船長。 私達も見送りがしたくて…」
「はっはっは。 いや、すまんな。 責めたわけじゃない」
申し訳無さそうに言うエミルに、ダグラは笑いながら言った。
「リゼ! 少し良いかい?」
「はい」
アメリはそう言ってリゼと話し始めた。
「さて、なら丁度いい。 お前達にも話すことがある」
ダグラはユール達に声をかけた。
「え?」
名指しされた三人は首を傾げた。
「お前達三人にはグラントに帰ったら訓練を受けて貰おうと思っている」
「訓練…ですか」
「私もですか?」
ダグラの言葉にユールとジグは頷くが、エミルは困惑した。
「ああ、三人共だな。 これはお前達にとっても大事なことだ。 できれば受けて貰いたい」
「そうだな、私もそう思う」
ダグラに続いて、アメリと話し終わったリゼが近づいてきて言った。
「リゼさんまで…。 わかりました、やってみます!」
二人の真剣な様子に、エミルは頷いた。
「訓練って、何をするんですか?」
「エミルも参加するとなると、戦闘の訓練ではなさそうですが…」
ユールとジグはダグラに質問した。
「いや、戦闘の訓練で間違いはない。 少々特殊だが。 …そうだな、詳しくは帰ったらリゼから聞くと良い」
「リゼさんに?」
エミルはリゼを見て言った。
「ああ。 今回の訓練、私が引き受けることになった。 宜しくな」
「はい!」
「「宜しくおねがいします」!」
「ふふ…。 訓練の日時と場所だが…そうだな、帰って数日は次の準備とネルレイズの解体で忙しくなる。 その間はしっかりと休息をとっておくように。 場所は研究区画の訓練場だ。 こちらの準備ができ次第、連絡をする。 一緒に向かうとしよう」
リゼは考え込みながら三人に伝えた。
「「「 はい!」」」
リゼの言葉に三人は勢いよく返事をした。
「決まったね。 ならそろそろ帰るとしようか」
「ああ、世話になったな」
「酒、楽しみにしてるよ」
「はっはっは。 わかってるさ」
ダグラとアメリは笑いながら言い合った。
「リゼさん! またね!」
「ああ。 またすぐにな」
「お気をつけて!」
「お前が言えたことか?」
「ふふ。 そうだな、帰るまでは気を引き締めるとしよう」
ユールの言葉にジグとエミルは呆れ、リゼは少し笑いながら返事をした。
「リゼ、良いかい?」
「はい、お待たせしました」
そう言って二人は自分の船に帰っていった。
「すぐに出るぞ! 出発の準備をしておけ!」
「はい!」
「よし、お前達も自分の部屋に戻って待機だ。 グラントまでまだ暫く掛かるからな」
ダグラは船員に指示しつつユール達に言った。
「はい!」
「わかった」
「わかりました!」
三人はそう言って船内に向かって走り出した。
「…。 こいつといい、あいつらの覚醒といい。 何もなければ良いんだが…」
ダグラは船長室に向かいながら、ネルレイズの残骸とユール達の去っていった扉を見て呟いた。
そして二隻の船はグラントに向けて動き始めた。




