帰還
その頃、船長室ではダグラとアメリが話し合っていた。
「よし、帰りのルートはこれでいいだろう」
「そうだね。 なに、何かあったら私らが対処するから大丈夫さ」
「ああ、頼りにしている」
グラントまでのルートを決め終わった二人は書類を片付け始めた。
「それで? ユールに兆しがあったんだって?」
「…ああ。 言っていることは要領を得なかったが、恐らく共振だろう」
「あの年でねぇ…」
ダグラの話にアメリは考え込んだ。
「それに、ユールほどではないがエミルとジグにも予兆がありそうだ」
「あっははは。 豊作じゃないか。 次の時代の担い手に不足はしないね」
そう言ってアメリは笑った。
「…」
「うん? 不満そうな顔をしているね?」
ダグラの顔を見てアメリは言った。
「…いや。 まだ早すぎると思ってな。 あいつらはまだひよっこだ。 体に負担もかかるだろう」
「そうさね。 だから帰ったらすぐに訓練してやることだ。 使い方とそのリスクを。 …暴走しないうちにね」
「…そうだな。 すぐにでも誰かを当てるとしよう」
そう言って二人は考え込む。
「なら、うちのリゼはどうだい? 共振の使い方なら、あの子が適任だと思うが。 私達は力任せだしね」
「そうだな…。 だが戻ったらすぐに出発するんじゃないのか?」
「いいや。 準備と報告もある。 …それに、あれも解体しなきゃね」
そう言ってアメリは船の外のネルレイズの残骸を指さした。
「そうか…。 なら頼んでもいいか?」
「ああ、あの子に言っとくよ。 溺愛してるようだし、二つ返事で了承するだろうさ」
ダグラの頼みにアメリは笑いながら答えた。
「よし、決まった所でそろそろ戻るとするかね」
「ああ、ちょっと待ってくれ」
ダグラは通信機を手にとった。
「ギリム! 聞こえるか?」
「はい、船長。 聞こえてます」
「修復はどうだ?」
「元々そんなに被害はなかったですからね。 もう終わりますよ」
「わかった、終わり次第知らせてくれ」
「了解!」
ギリムといくらか話してダグラは通信機を置いた。
「そろそろ行けそうだ。 グラントに帰るとしよう」
「ああ、リゼに連絡を入れてくれるかい? あいつらと一緒の所だろう」
ダグラの提案に、アメリはユールたちを思い浮かべていった。
「そうだな。 誰かユール達がどこに言ったか知ってるか?」
「さっき食堂に向かうところを見たって聞きましたよ、船長」
ダグラの問いに船員が答えた。
「食堂か、かけてみよう」
そう言ってまた通信機を手にとった。
「ラミアン! そこにユールたちは居るか?」
「はいはい、船長。 居ますよ。 リゼちゃんも一緒に」
「そうか、ならそろそろ出発するから甲板に向かうよう伝えてくれるか?」
「ええ、わかりました。 伝えておきます」
「頼んだ」
そう言ってダグラは通信機を置いた。
「よし、それじゃあ甲板に向かうとしよう」
「はいよ」
そう言って二人は船長室を出ていった。
食堂ではラミアンが先程の伝言を四人に伝えていた。
「リゼちゃん。 船長から伝言だよ! そろそろ出発するから甲板に戻っておいでって」
「はい、伝えて頂いてありがとうございます」
「またね、リゼちゃん。 今度またゆっくり話しましょう」
「はい。是非」
そう伝えてラミアンは作業に戻っていった。
「もう行っちゃうんですか?」
「ふふ、グラントに帰ったあとまた話せる。 大丈夫だ」
落ち込むエミルをリゼは宥めた。
「それじゃあ皆で甲板に行かないか?」
「そうだな、見送りくらいは良いだろう」
「賛成!」
ユールの提案に二人は同意した。
「では一緒に甲板に向かうとしよう」
「あっ、お皿片付けなきゃ」
そうエミルはテーブルを見ていった。
「それはあたしがやっとくよ! お見送りしてきな!」
そうラミアンが奥から声を上げた。
「ありがとう、ラミアンさん! じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
エミルはラミアンに感謝し、四人は部屋から出ていった。




