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アメリとリゼ 6


話していると厨房からいい匂いが漂ってきた。




「おっ! きたきた」


「出来たみたいですね」


「これは…いい香りだ」


その香りに三人は厨房を振り向く。


厨房からエミルが料理を持って歩いてきた。




「ほら、難しい話はおしまい。 出来たわよ」


そう言ってエミルは料理をテーブルに置く。




「はい、リゼさん」


「ああ、ありがとう」


「俺の分は!?」


ジグとリゼの前に皿をおいたエミルにユールは焦って問いかける。




「大丈夫よ、持てなかっただけ。 今持ってくるから待ってなさい」


振り返って厨房に戻りながらエミルは言った。




「良かった…」


「はは、随分この料理を気にいってるな」


「上手いんだから仕方ない。 それにお前もだろ? ジグ」


「まぁ、否定はしない」


ユールの言葉にジグも同意した。




「見たところ肉料理のようだが…」


「まずは食べてみて下さい。 はい、ユール」


厨房から戻ってきたエミルはユールの前に料理を置きつつ言った。


自分も座りつつ料理をテーブルに置く。




「さんきゅー、エミル。 味は俺達が保証しますよ、リゼさん! な? ジグ」


「ああ、そうだな。 病みつきになりますよ、リゼさん」


そういう二人にリゼは微笑んだ。




「ふふ、では頂くとしようか」


「それじゃ、頂きます!」


そう言って四人は食べ始めた。




「これは…」


「…どうですか?」


ひとくち食べて固まるリゼに不安げな顔をしてエミルは聞いた。




「ああ、すまない。 余りにも美味しくてな、少し固まってしまった」


「ほんとですか!」


喜ぶエミルをリゼは思わず撫でてしまった。




「ああ…。 これは肉料理なのか?」


そう言って二口三口と口に運んでいく。


その様子をにやにやとエミルは眺めていた。




「ふふふ、そう思います? …実はこれで作ったんです!」


「これは…。 野菜か?」


そう言ってエミルが取り出した野菜を見てリゼは驚いた。




「はい! リリーが新しく作った野菜なんです。 それを私がうまく料理してみました」


「リリーが? …なるほど、これが野菜だと言うなら革新的だな。 航行中の食事の不満もだいぶ減りそうだ。 偉いぞ、エミル。 大発見だな」


そういうエミルをリゼは褒めた。




「ただ、このまま食べるととても苦いんです。 こうするにはちょっと手間がかかるので、帰ったらリリーと一緒にその方法を広めようと思います」


「なるほど。 うまく行けば次の航海から、これがメニューに入りそうだな」


「はい! 頑張ります!」


エミルは意気込んで言った。




「リリーにも感謝しないといけないな」


「はい。 最初は泣きつかれて渡されたんですけど、うまく出来て良かったです」


「ふふ、リリーらしいな。 相変わらず籠もりきりなのか?」


「ええ、特にこの野菜には力を入れて育てたみたいですごい形相で頼まれました」


半泣きのリリーを思い浮かべながら二人は笑った。




「…俺達には、そのまま食べさせたのに…」


そんな二人をユールはうらめがましく見た。




「何? リゼさんに苦いまま食べさせる気?」


「いや、そういうわけじゃ…。 俺達と扱いが違うって思ったんだよ」


「当たり前でしょう?」


当然とばかりにエミルは言う。




「そんなに苦いのか? …どれ、少し食べさせてくれないか?」


「えっ。 そんな…。 良いんですよ?リゼさん」


「それを皆に広めるときに良い話の種になるかもしれない。 これもいい経験だ」


「そこまで言うなら…」


渋々とエミルは野菜をリゼに渡す。




「ふむ。 見た感じはただの葉野菜だな…?」


そう言って切れ端を口に運ぶ。




「む…」


リゼは渋い顔をして黙った。




「リゼさん! これ、お水です!」


「…ああ。 ありがとう、エミル」


水を渡されたリゼは渋い顔のまま飲み干した。




「大丈夫ですか?」


「驚いた、凄まじく苦いな。 …これを調理したのか、凄いなエミルは」


「はい、味見するたびに苦味が来るので大変でした…。 でも完成してよかったです」


褒められたエミルは満更でもない顔をした。




「それを俺は、なんの前触れもなしに食べさせられたんだけどな…」


「ちょっと! 余計なこと言わないの!」


「はは、盛大に吹き出していたな」


「ジグ!」


「おっと」


盛り上がる三人をリゼは微笑ましく眺めていた。







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