アメリとリゼ 4
「リゼさん達は、グラントから来たの?」
船内を歩きながらエミルは聞いた。
「いや、グラントからではこんなに早くは着かない。 私達は島の調査に出向いていた」
「えっ…。 なら私達、調査任務の邪魔をしちゃったんですか?」
「ふふ、お前たちの救援が最優先だ。 島はまた次、行けば良い。 エミルが気に病む必要はない」
不安げな顔をするエミルにリゼは諭すように言った。
「島があったんですか!?」
「ああ、別の調査船が発見したものだ。 どうやら、巨大な空洞があったらしい。 入り口にマキナの巣が多くあり、すぐに引き返してきたようだ」
興奮ぎみに聞いてきたユールに、リゼは振り返りながら話した。
「さっき疲れたと言ってなかったか?」
「それはそれ、これはこれだ!」
「あ、ああ」
その様子に若干引きながらジグは苦笑いで返事をした。
「ふふ、恐らく探索は一度グラントに帰って次の航海になるだろうな」
「次もリゼさん達が行く予定なんですか?」
「そうだな、恐らく私達が行くことになるだろう」
ジグの問いにリゼは少し考えて答えた。
「良いなぁ、俺も行きたかった…」
「可能性はあるかもしれないぞ。 マキナを倒したんだろう?」
「ホントですか!?」
その言葉に期待に満ちた声でユールは反応した。
「つけあがらせないで下さい、リゼさん…。 ユール、倒したのは二体だし三人がかりだっただろう?」
「う…。 そうだけど…」
そんなユールをジグは諌めながら言った。
「ふふ、だが希望を持つのは良いことだ。 今回は駄目でも次は行ける可能性があるかもしれないしな。 …お前達の頑張り次第だが」
「はい!」
「そうですね…精進します」
そういうリゼに、二人はかしこまって返事をした。
「なんでそんなに島に行きたがるの? あんなの危険なだけじゃない」
「おま、エミル。 島には色んな発見があるんだぞ! 自分が一番に見つけたいって思うだろ?」
「…わからないわ」
まくしたてるユールに呆れた顔でエミルは答えた。
「リゼさんだってそうでしょう?」
「うん? …そうだな、私は発見というよりは島で見つけた資源がグラントの人達に役立てば良いと思っている」
「ちょっと、リゼさんをあんたと同じにしないで」
リゼに同意を求めるユールをエミルは睨んだ。
「お、同じようなもんだろ?」
「違うわ。 あんたのは自分のため。 リゼさんは皆のためでしょ?」
「ぐ…」
ユールは弁解するが、追い詰められていった。
「ふふ、その発見が新しい技術に繋がることもあるだろう。 結果として人々のためにもなる。 あながち間違ってはいないかもしれないな」
「ほら!」
「調子に乗らないの、気づかってくれたのよ!」
リゼからフォローされたユールが声を上げるが、エミルは認めなかった。
「俺達の生活は、それで成り立っていますからね。 …今までで一番の発見はなんだと思いますか?」
「そうだな…。 それなら私達が発見したわけではないが、コアだろう。 あれはもう私達の生活からは切り離せないものだ」
ジグの問にリゼはそう答えた。
「コア…ですか。 あれはいつ発見されたものなんです?」
「どこで初めて発見されたかは分かっていない。 だが初代国王がコアを使ってグラントを創造した…と言い伝えられている」
「あの大きな島をですか…?」
リゼの言葉に信じられないと言った顔でジグは言った。
「そうだな、私も初めて聞いたときは耳を疑った。 だがグラントがコアで動いているのは確かだ」
「あ、聞いたことあります! 遠征して取ってきたコアはいくらかを王様に献上して、島を大きくするのに使うんですよね?」
「よく知っているな。 島のコアを増幅させ、支えられる土地を増やす。 そうして住める場所を徐々に増やして行くんだ」
手を上げて言うユールにリゼは頷いて説明した。
「ねえ、もうすぐ食堂に着くわ。 続きは後でにしましょう?」
「おっ、そうしよう! 腹減った!」
「動き回って、迷惑をかけないようにな」
「リゼさん! こっちです!」
そう言って三人は食堂に向かって走っていく。
「ふふ」
そんな様子を見ながらリゼも小走りで向かっていった。




