アメリとリゼ 3
「ギリムさん」
「お疲れ様です」
「おお、お前らか。 無事だったか?」
話しかけてきたユールとジグにそう返した。
「はい。 なんとか…」
「対処できました」
二人は苦笑いでそう答えた。
「マキナに襲われたんだったか? 災難だったな…」
「ギリムさんは大丈夫だったんですか?」
ユールはギリムに聞く。
「ああ、俺のいた部屋には幸いなことに来なかった。 そのかわり整備が大変だったがな…」
「お疲れ様です」
疲れ顔で言うギリムをジグは労った。
「まさか、いきなりネルレイズと戦う事になるなんてな…。 補修材は最低限しか積んでなかったし、走り回って大変だったぜ…」
「やはり船のコアに反応したんでしょうか?」
息を吐くギリムにジグは聞いた。
「そうだなぁ…。 その可能性もあるが、それならもっと早くに接近してきて気づけたはずだ。 実際見つかったのは流れ岩に着いてコアを停止した後だしな…」
「それもそうですね…」
考察しながら言うギリムにジグも頭をかしげる。
「ってことは運が悪かったって事ですか?」
「そうだな…。 それか流れ岩にネルレイズを引き寄せる何かがあったかだが…」
ユールの疑問にギリムは答えつつ海を見た。
「流れ岩を採集し終わる前に置いてきちまったから、今となってはわからん」
彼は肩をすくませて言った。
「…うーん?」
「まぁ、皆無事だったから良しとすればいいさ。 終わり良ければ全て良し!」
更に考え込むユールにギリムは言った。
「確かに、今考えても仕方がないですね」
「それもそうか…」
「そんじゃ、俺は作業があるから戻るぜ。 またな」
そう言ってギリムは船内に戻っていった。
「まだ出発まで時間がかかりそうだな」
「じゃあさ、食堂行かないか? 腹減って来ちゃって…」
「…あぁ、そういえば休憩しようとして結局出来なかったんだったな」
ユールの言葉に思い出しながらジグは言った。
「だが、この騒ぎで食堂はやっているのか?」
「う、そういえばそうだった…」
「まぁ、何か軽く食べるものなら置いてあるかもしれないが…」
「あっ、じゃあさ!」
良いことを思い付いたと、ユールは言った。
「エミルにあれ作って貰うとか!」
「あれ? …ああ、あの野菜か」
二人はエミルが作った試作の料理品を思い出した。
「エミルも疲れているんじゃないか?」
「なら、俺達も手伝おうぜ。 やり方さえ教えて貰えれば…」
「お前は料理出来たんだったか?」
「…うっ。 …簡単な物なら…」
ジグに指摘されユールは言葉につまる。
「ま、まぁ。 まずは聞いてみようぜ。 エミル~」
「やれやれ」
ジグは肩をすくめた。
「なによ?」
リゼと会話していたエミルは怪訝な顔をして振り向く。
「あ、あのさ。 食堂行かないか?」
「食堂? なんで?」
突然の提案にエミルは呆けた。
「その、腹減っちゃって…」
「今は食堂やってないと思うわよ? パンとかじゃ駄目なの?」
エミルは忙しそうに走り回る船員を見て言った。
「その…。だから、エミルにあれを作って欲しいなぁって…」
「…ふーん?」
歯切れ悪く言うユールを見てエミルは納得した。
「なるほどね。 だから言いづらそうにしてたの」
「お、俺も手伝うからさ…」
取り繕うように言うユールを見てエミルは笑った。
「ふふふっ。 わかったわよ、作ってあげる」
「ほんとか! だってよ、ジグ!」
「良かったな。 …良いのか? エミル」
飛び上がるユールを横目にジグは聞いた。
「構わないわよ。……それに助けてもらったしね」
後半は小さく呟いた。
「うん?」
「なんでもないわ。 リゼさんも一緒にいきましょう? 食べてほしい料理があるんです」
「そうか。 なら私もご馳走になろう」
話題をそらすエミルに、リゼは少し笑いながら返事をした。
そして四人は食堂に向かって歩いていった。




