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ネルレイズ 2


その頃、船長室では慌ただしく船員が動いていた。




「よし、推進機の切り替えは完了した。 ネルレイズはどうだ!?」


「はい! まだ遠いですが、恐らく小型です。 少しずつこちらに近づいてきています!」


「ちっ、逃げ切るのは厳しいな…。 小型なのが幸いだが…」


船員の返事にダグラは、苦虫を噛み潰したような顔をした。




「グラントに通信は繋がったか!」


「はい、今繋がりました!」


「よし、貸せ!」


船員はダグラに通信機を渡す。




「本国グラントへ、こちら偵察船船長ダグラだ! ネルレイズに追われてる、恐らく小型だ! 増援を要請したい!」


通信機に向かってダグラは叫んだ。


すると、雑音と共に返事が返ってくる。




「…こちらグラント、司令部です。 分かりました、すぐに上陸部隊を向かわせます。 追跡用のコアを起動してください」


「分かった! なるべく早く頼むぞ!」


「了解しました、ご武運を!」


ダグラは本国からの返事を確認し、通信機を置いた。




「追跡用コアを起動しろ! 時間を稼ぐぞ、すぐに上陸部隊が来る!」


「はい! 追跡用コア、起動します」


指示された船員は追跡用コアを起動する。




追跡用コアは起動すると、船の外に強いエネルギーを発する。


それを辿って増援が辿り着く手筈になっているが、海賊等にも位置を知られる恐れがある。


なので普段は起動させておらず、緊急時にのみ使用する。




「起動しました!」


「よし、ギリム! 聞こえるか!?」


確認したダグラは別の通信機をとって叫んだ。




「ああ、聞こえてるぜ船長!」


「外殻は万全だな? 」


「もちろん、問題ない!」


「そのまま整備を頼むぞ!」


「了解!」


ダグラの指示にギリムは勢いよく返事をした。




「砲台はどうだ!」


「大丈夫です、いつでも撃てます! ハイドさんも乗り込んだようです!」


「よし、ハイドに繋げるか?」


「只今!」


言われた船員は通信機を手に取った。




ダグラは鏡でネルレイズを確認する。


大きさは船と同じか一回り小さく全身が殻で覆われている。


体の形は鮫に似ていて、大きな口からは鋭利な歯が覗いていた。


それは今、航行する船の後方についていた。




「繋がりました!」


「よし」


ダグラは船員から通信機を受けとる。




「ハイド! 砲台からあれが見えるか?」


「ああ、見えてる」


「なら、準備出来次第撃ち始めろ! 出来るだけ時間を稼ぐ! もう片方の砲台にも伝えてくれ!」


「了解!」


「…あいつらは無事か?」


「ああ、俺んとこにいるぞ」


「よし」


ダグラはハイドに砲撃を指示しつつ、三人の無事に安堵した。


そして拡声器を手にして叫ぶ。




「砲撃を始める! 腰抜かすなよ!」






-ガン-


-ガガン-






激しい音と共に砲撃が開始された。


船から放たれた砲撃は曲線を描いてネルレイズに目掛け飛んでいく。




-オオオオオオオ-




砲撃がネルレイズに掠り、鳴き声が上がった。






-ガン-


-ガン-






続けて撃った砲撃はネルレイズの背中に直撃した。






-アアアアアアア-






少し高い声をあげてネルレイズが身を捩る。




「直撃しました!」


「効いているようだな」


「はい、このままうまく時間を稼げれば…船長?」


船員はダグラに言うが、彼の様子に聞き直した。




「…おい、あれは何だ?」


「あれ…?」


ダグラはネルレイズの方を見ながら言った。




ネルレイズは大きく身を震わすと、顔を水面下に沈めて背中を此方に向けた。


その背中は殻が蠢き、まるで砲台のような形になる。






-ギ、ギギギギ-


-ガン!ガン!ガン!-






金属が擦れるような音の後、背中の砲台から球体が三つ発射された。






「……っ! 外殻を起動する!」


予想外の出来事に呆気にとられながらも、すぐに持ち直してパネルを叩き押した。






-ガガガガガガガ-






船が振動し、外殻が起動する。


船の外側にある殻の部分が赤黒く変色し、逆立った。




ダグラは拡声器を持つ。


「総員! 衝撃注意!」




言い終わるかどうかのタイミングで球体が船に直撃した。






-ガッ-


-ギャリッ-


-ドズン-






放たれた三発の内二発は外殻に当たり海に落ちた。


だが一発は甲板に直撃した。


船が大きく揺れ悲鳴が上がる。




「被害報告!」


「二発は外殻に当たりました、被害は軽微です! 一発は甲板に直撃! ですが、貫通することはなかった模様です!」


「よし、砲撃は止めるな! 外殻を起動したままでは速度が落ちるが仕方がない。 このまま航行しろ! またさっきのが来る可能性もある!」


「了解!」


ダグラは船員の報告を聞きつつ指示をだし、甲板を見た。




「なんだ、あれは…?」


甲板に直撃した砲弾を見てダグラは言葉を漏らした。



















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