ネルレイズ
鳴り響く警報の中、それよりも大きい声が拡声器から聞こえる。
「全員聞け! まだ遠方だがネルレイズを発見した。 今すぐに梯子を外して配置に着くように! 出発するぞ!」
ネルレイズと、そうダグラははっきりと言った。
「ねえ、どうしよう!」
「ネルレイズだって!?」
突然の警報に二人は慌てふためいた。
「落ち着け、二人とも! まずは船内に戻るんだ、ここじゃ邪魔になる! …できればハイドさんと合流したいが…」
二人を落ち着かせながら言うジグに遠くから声がかかる。
「おい! お前ら無事か!」
「ハイドさん!」
「今そっちに行くから待ってろ!」
「はい!」
ハイドはそう言って三人に走りよった。
「よし、全員いるな? お前らは俺と一緒に武器庫に来るんだ。 船長室は慌ただしくなるからな」
「「「はい!」」」
ハイドの指示に三人は返事をする。
「よし、じゃあ向かうぞ。 離れないように…」
そこまで言ったハイドの言葉を遮り何かが聞こえた。
-オオオオオオオ-
低く響くような鳴き声が辺りに響いた。
「なに? なんなの!?」
「落ち着け! ネルレイズの声だ! まだ遠い、早く準備をして出発するぞ! 着いてこい!」
取り乱すエミルを落ち着かせながらハイドは言った。
四人は武器庫に向かって走り出した。
「今のが…」
「ネルレイズの声か…」
ジグとユールはそう漏らした。
「エミル、大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ」
ユールは隣を走るエミルを心配して言った。
「もう少しで部屋だ、踏ん張れ!」
ハイドはそう激励した。
船内は突然の警報により慌ただしくなっていて、船員があちらこちらに走り回っていた。
そうして四人は武器庫に到着する。
「よし、お前らはそこの席に着いて固定しろ。 俺は砲台につく 」
「はい! ハイドさんも気を付けてください」
「分かりました」
「…はい」
ハイドの指示にユールとジグは返事をした。
エミルは息を整えながら遅れて答えた。
「そこの箱に備蓄の飲料がある。 座って落ち着くと良い、そのくらいの時間ならあるだろう」
エミルを見ながら労うようにハイドは言った。
「ありがとうございます」
「ああ、ユール、ジグ! 任せたぞ」
「「はい」」
そう言ってハイドは奥の部屋に入っていった。
「ほら、エミル。 …落ちついたか?」
「ええ、ありがとう。 もう大丈夫よ」
ユールはエミルに水を手渡しながら言った。
「休憩しようとしていた矢先に、全力で走ったからな。 そうなるのも仕方がない。 さすがに俺もキツかったな…」
「確かに」
ユールとジグは大きく息を吐きながら言った。
「…ネルレイズかぁ」
「まさか、出くわすとは思わなかったな」
「二人は見たことないの?」
椅子に座り固定しながら言う二人にエミルは聞いた。
「動いてるのを直接見たことはないかな」
「俺もないな」
「ふぅん。……」
エミルは二人に返事をしながら持っていたコップを片付け、席に着いて固定する。
その手は少し震えていた。
「大丈夫だよ、エミル。 無事に帰れるって」
「ああ、そうだな。 この船には皆居るんだ、大丈夫さ」
「ええ、そうね」
二人に言われ、エミルは微笑んだ。
暫くして、ダグラの声が拡声器から響いた。
「各員につぐ。 出発するぞ! 衝撃に注意しろ!」
-ガガガガガガガ-
その声の直後。 振動が伝わり、船は動き出した。




