回収作業 3
船長室にいるエミルは一部始終を鏡から見ていた。
「良かった…」
巣からマキナが飛び出してきたときは、思わず声をあげそうになった。
だが、ハイドがすぐに対処したのを見て安堵した。
「はっはっは。 心配なかっただろう?」
そんなエミルにダグラは声をかけた。
「あの、ダグラ船長。 私も手伝いに行きたいです。 甲板に上がってきた鉱石の片付け位ならできると思うんです」
「む…。 ……わかった、エミル。 そうしたら甲板の鉱石を箱に積める作業をしてくれ。 それなら危険もないだろう」
懇願するエミルに、考え込みながらもダグラは許可をだした。
「ありがとうございます!」
「だが、無理はするな? 危険だと思ったらすぐに船内に戻ってくるんだ」
感謝するエミルにダグラは注意をした。
「はい、じゃあ行ってきます!」
「待て待て! これを持っていけ」
「これは…」
ダグラから渡されたのは、先ほどユール達に届けた防具だった。
「一旦自分の部屋に戻って準備してこい。 焦らなくても大丈夫だ」
「…はい。 そうですね、ちゃんと準備してから行きます」
落ち着かせるように言うダグラに、恥ずかしそうにエミルは返事をした。
「では、行ってきます」
「ああ、気を付けていけ」
エミルは船長室を出ていった。
その頃、ユールとジグは岩を削る作業をしていた。
-ガガガガガ-
そこら中から同じ音が聞こえてくる。
「あっ! これ鉱石じゃないか?」
「ああ、そうみたいだな。 回りを削って掘り出そう」
鉱石を見つけて二人は掘り出し始めた。
「……ふう。 振動が腕に伝わって、結構きついなぁ」
「…ああ。 長くやってたら痺れそうだ」
額の汗をぬぐいながら言った。
「はっはっは。 お前らは、今まで流れ岩を見つけても甲板での作業が主だったからな」
「はい、削り出しがこんなに重労働だとは…」
「豆ができそう…」
「少し休憩しても良いぞ。 大分掘ったからな」
息を切らしながら言う二人に、ハイドは休憩をすすめた。
「そうですね…。 なら、掘った鉱石を持てるだけ甲板に持っていきますよ。そのまま、少し休憩しようと思います」
「賛成!」
ジグの案にユールも賛同した。
「ああ、ゆっくり休んでこい。 俺はここにいる。 何かあったら呼べ」
「はい。 では行ってきます」
「行ってきます!」
二人は掘った鉱石を抱え、甲板に向かっていった。
「どこに持っていくんだっけ?」
「確か…向こうの箱だった筈だな」
ジグはそう言って甲板に置かれている箱を指差した。
箱の近くに着くと、両手で鉱石を抱えながら歩く二人に声がかかった。
「あら、ユールとジグじゃない」
「エミル?」
「どうしたんだ?」
箱の近くで作業していたエミルに二人は尋ねた。
「船長に言って手伝わせて貰ってるの。 鉱石の整理くらいなら私にもできるし、何もしないのは嫌だったから…」
「そうだったのか」
「なるほどな。 なら、これは何処に置けば良い?」
そう言ったエミルに二人は納得した。
「それはそっちの箱。 この白いのはこの箱ね」
「よく分かるなぁ」
「お父さんとお母さんにさんざん教えられたからね」
感心するユールにエミルは笑いながら言った。
「それにしても二人は向こうで作業してたんじゃないの?」
「ああ、鉱石を届けたら休憩するつもりだったんだ」
「ハイドさんに言われてな」
疑問に思うエミルに二人は答えた。
「なるほどね。 じゃあ私も休憩しようかしら。 確認してくるわね!」
そう言ってエミルは同じ作業をしている船員の元に走っていった。
「なら、食堂に行って休憩するか」
「そうだな、あそこなら何か軽食も出して貰える」
「おっ、良いな! 何出して貰おうかなぁ」
話している二人に、確認し終えたエミルが走りよってくる。
「大丈夫だって! 何話してたの?」
「食堂で休憩しようかって」
「ああ、ついでに何か作って貰おうとな」
「良いわね! なら私は…」
-ジリリリリリリリリリリリ!-
三人の声を遮って、警報が船に響いた。




