ハイドの講義 4
「ええ! ハイドさん俺は!?」
「お前は…。危なっかしいから、俺と一緒にやるんだな。 練習弾でも被害が出そうだ」
「う…」
「大丈夫だ、お前だって慣れれば普通に撃てるようにはなる。 初めてで的に当てられるやつの方が少ない」
講義するユールにハイドは言った。
「そうだな。 お前も、すぐに慣れるさ」
「ジグに言われると、嫌味に聞こえるぞ…」
ジグに言われ、不貞腐れるユールを二人は笑った。
「それにユール。 お前は近接戦闘のが得意だろう? 自分で装備だって改良出来るじゃないか」
「まぁ…。そうですけど…」
「それも立派な長所だ。 色々手をのばすのは良いが、まずは手頃なところから極めていくと良い」
「…そうですね。 頑張ります!」
「はっはっは。 その粋だ」
そうハイドはユールを諭した。
「さて、今は的を狙ったわけだが…。 マキナのどの部位を狙うと効果的か、わかるか?」
「はい! コアです!」
「足を狙って機動力を削ぐ…ですか?」
彼の質問に二人は答えた。
「二人共正解だな。 あいつらはコアで動いてる、そこを狙って破壊できれば完全に停止する。 だが、個体によってコアの場所は様々だ。 だから、動けなくするというのはありだな」
「コアを破壊しないと、半壊していても動くんですか?」
「ああ、動く。 特に射撃系の武装をしているマキナは厄介だ。 動けなくなっても攻撃してくるからな。 完全に破壊するまで油断するな」
「「はい!」」
ハイドの警告に二人は大きく返事をした。
「次は、巣の穴が見えなかった場合だ。 これが一番厄介でな、掘り出して穴が見えた瞬間飛び出してくる…なんて事もあり得る」
「どうするんですか? さっきの岩を削る装備で穴を開けるとか…?」
「それでも穴は空くが、目の前で飛び出されたら危険だろう」
「そうですね…」
ユールは提案するが、ハイドは却下した。
「だから、これを使う」
そう言ってハイドは、小さな包み紙を取り出した。
「なんです? それは…」
「これは火薬というものだ。 島から取れた鉱石なんかが材料だな」
「火薬…」
彼の手のひらの上にある包みを見て不思議そうにジグは言った。
「初めて見た…ハイドさん! 近くで見せて下さい!」
「おっと、気をつけろ。 これは火気で爆発する」
「へっ!?」
興味津々なユールは近づくが、ハイドにそう言われ後ずさった。
「爆発!?」
「なるほど、それで穴を空けるということですね」
「そうだ。 これを仕掛けて銃で撃てば爆発する」
大げさに反応するユールを横目にジグは納得した。
「銃?」
「ああ、すまん。 さっきの射撃武器のことだ。 あれを開発した研究区画の奴らが呼んでいたからな、俺達もそう呼んでる」
「この棒はなんて名前なんです?」
「それは、鎚だな」
「鎚…かぁ…。 じゃあ俺の鎚は…改造鎚?」
「はっはっは。 命を預ける相棒だ、ちゃんとした名前をつけてやれよ?」
悩むユールをジグとハイドは笑った。
「よし、穴がなかった場合の対処は今話したとおりだ。 他になにかあるか?」
「大丈夫です!」
「特にありません」
「よし、万が一想定外の事態があった場合はすぐ船に退避しろ。 あれで仕留める」
そう言ってハイドは奥の部屋を指さした。
「砲台ですか」
「ああ。 流れ岩が粉々になっちまうから、あまり使いたくないが…。 命のほうが大事だ」
「わかりました」
「はい! すぐに逃げます!」
ニッと笑うハイドに二人は返事をした。
「それじゃあ、あとは流れ岩につくのを待って…」
ハイドの言葉を遮るように拡声器から声が響く。
「各員に次ぐ! 間もなく流れ岩付近に到達する。 持ち場について準備をしろ。 警戒を怠るな!」
ダグラの声が船内に響いた。
「よし、来たな。 ユール、ジグ! 装備を持って甲板に集合だ! 気を抜くんじゃねえぞ!」
「「はい!」」
ハイドの掛け声に気合を入れて二人は返事をした。




