ハイドの講義 3
「次は、あの流れ岩に巣があった場合の対処を説明するぞ」
「「はい」」
「まず船が着き次第、遠目に巣がないかを確認する。 なかった場合も埋まっている可能性を考え警戒しながら上陸する」
「埋まっていたらどうするんですか?」
ハイドにジグは質問した。
「これを使う」
そう言ってハイドは近くの棚にかけてあった装備を取り出した。
それは、細長い板状の金属で持ち手に操作盤がついていた。
その操作盤にはコアが装着されている。
「これは岩を破壊するための装備だ。切っ先を岩に向けてパネルを押すと、振動が伝わって岩が破砕する」
「お、重い…」
「金属の塊だからな。 大体は二人以上で使うものだ」
「…今片手で渡してきませんでした?」
「はっはっは、慣れだ」
「いやいや…」
ハイドの言い分にユールは呆れた。
「このボタンですか?」
「ああ、それを押して…引き金をひく。 引き金を引いている間は切っ先が振動し続けるから、気を付けろ」
「はい」
ジグは確認しながら頷いた。
「よし、その装備で流れ岩を細かく砕き船に乗せるんだ。巣が見えた場合だが、既に穴が見えている場合は簡単だ。 警戒しながら近づきマキナが出てきたら…」
そういってハイドは別の武器棚からいくつか装備を取り出す。
「これで片付ける。支給品だ、好きなのを持っていけ」
「これは…ユールが持ってるのと同じやつですか?」
「ああ、元は同じだ。 ユールのは大分改造されてるがな」
「は、ははははは…」
二人に目を向けられたユールは焦った。
「はっはっは、ダグラに許可は貰ってるんだろう。 なら問題はない」
「で、ですよね? …良かった」
「動揺しすぎだ」
挙動不審になるユールに二人は笑いながら言った。
「この棒型の武器は表面がネルレイズの外殻で覆ってある。 持ち手を捻ると…」
-ガシャン!-
音と共に表面の外殻が逆立った。
「こうなる。 鋭くなっているから、気を付けろ」
ハイドはジグに持ち手を渡した。
「見た目のわりに軽いですね」
「ああ。さっきのと違って、殆ど外殻だからな。 あいつらの殻は硬度のわりに軽くて重宝する」
「これは、このまま振り回せば良いんですか?」
「そうだな。 叩き潰すようの武器だ」
ジグは感触を確かめながら、軽く上下に振るう。
「次はこいつだ」
ハイドは次に筒状の装備を取り出した。
「こいつはさっきのと違って、射撃用の武器だ。 …そうだな、船についてる砲台の小型だと思えば良い」
「どうやって使うんですか?」
「使い方は簡単だ。 まず構えて狙いをつけ…」
ユールに聞かれたハイドは近くの分厚い的を狙う。
「引き金を引く」
-ガン-
音をたてて飛び出した塊は分厚い的にめり込んだ。
「それだけだ。 打ち出す弾には種類があるが、一般的なのはこの殻の塊だな」
ハイドは掌に黒い塊を乗せた。
「これはどこにいれるんですか?」
「このレバーを引いて、上部を開ける。 ここに一発ずつ入れろ、詰まるからな。 …ほら、やってみろ」
「は、はい! えぇと、レバーを…」
「こうですね」
ユールは手こずるがジグはスムーズに装填した。
「ジグは大丈夫そうだな。 ユールは焦りすぎだ、落ち着け」
「はい! …よし」
「出来たか? なら二人ともこちらに来い。 次は撃つ練習だ」
二人とも装填し終わったことを確認したハイドは、分厚い的が並ぶ一角を指差して言った。
「準備はできたか? まずはこれを着けろ」
「これは…」
「コアですか?」
二人は渡されたコアを見て言った。
「ああ、コアのエネルギーで弾を撃ち出す。 普段は外してある、暴発したら危険だからな。 持ち手の下を開けると窪みがあるだろう、そこにはめろ」
「なるほど…」
「わかりました」
ハイドの指示にしたがって二人はコアを装着した。
「これで良いんですか?」
「ああ。 次は、あの的を狙って構えてみろ」
そう言われた二人は、的を狙って武器を構えた。
「片手はトリガーに、もう片方は銃口の手前だ。よく狙え」
「はい!」
「大丈夫です」
「よし、撃て!」
ハイドの言葉に二人は引き金を引いた。
-ガン!-
音とともに弾丸が発射された。
「あ、あれ・・」
「少し下だったか・・」
ユールの撃った弾は的の隣の壁に、ジグの弾は的の中央からやや下に命中した。
「す、すみません、ハイドさん! 壁に穴が!」
「はっはっは。 心配するな、よく見てみろ」
「え、でも穴が…空いて無い…?」
そう言われたユールが弾が命中した壁を確認した。
弾丸は壁に穴を開けておらず、へばり付いているだけだった。
「良かった…」
「ここは射撃用の区画だ。特注の壁で出来ているんだ、何もない所で撃たせるはずがないだろう」
「脅かさないで下さいよ…」
笑いながら言うハイドに安堵しながらユールは言った。
「ジグは、大丈夫そうだな。 どこかで習ったのか?」
「いえ、習ったことはないですよ。 まぐれです」
「お前は射撃武器の才能があるかもな。 威力のない練習用の弾もある、今度貸してやるから練習してみると良い」
「はい、ありがとうございます」
ジグの撃った的を見ながら、ハイドは言った。




