発進
「船長」
「ん、おお。ジグとユールか」
部屋に入ってきたジグとユールを見てダグラは言った。
「今、各員に配置につくように言った所だ。準備出来次第、あれに向かって進むぞ」
ダグラは操舵席に座りながら言った。
椅子は高めに設置してあり部屋を囲う透明な板、鏡から辺りが見渡せる。
すぐ目の前の下には舵が設置してある、その舵から棒が上に延びていて、ダグラはそれを握っていた。
「分かりました!」
「俺達はどうすれば良い?船長」
ダグラの説明にジグは聞いた。
「お前らは後ろの席に座って固定しておけ。よく見ておくんだぞ。自分の船を持った時に役に立つだろう」
がはは、と笑いながらダグラは言った。
「分かりました!」
「ああ、分かった」
そう言って二人は後ろの席に着く。
「…俺も何か手伝いたかったなぁ」
そう小声でユールは言う。
「はは、完全に安全が確保できないから心配してるのさ。 あれがただの流れ岩だと分かったら仕事を寄越してくれるだろう」
「そうかな?」
「まぁ、見てろ。十中八九そうだ」
ジグは確信を持って言った。
「帆は畳んだか!甲板にいる船員は一端、船内に移動しろ!」
「大丈夫です!完了しました!」
「砲撃班は配置についたか!」
「いつでも撃てます!」
ダグラは通信機で船員とやり取りをする。
「ギリム!聞こえるか? 外殻は動かせるか?」
「いつでも、船長!」
「よし、コアを起動する。 推進機に切り替えるぞ!」
「了解!」
ダグラは別の通信機を取りギリムに確認した。
「よし。…各員につぐ。推進機に切り替え、流れ岩らしきものに向かう。振動に気を付けろ!」
そう拡声器で言ったダグラは手元のいくつかあるパネルを押した。
キーンと高い音が鳴り響き
-ガガガガガ-
船全体が軽く振動する。
「切り替え完了。あれに向かうぞ。警戒を怠るな!」
「はい!」
ダグラは室内の船員に叫び、足元のペダルを押し込みながら舵を右に引いた。
「おぉ、すげぇ」
「ここで間近に見るのは初めてだったか?」
感動したようすのユールにジグは聞いた。
「ああ、武器庫に居ることが殆どだったかな」
「ハイドさんの所か。 確か戦闘知識の師匠だったか?」
「島で出くわす相手の事は大体ハイドさんに教わったよ。 フワッとしてて殆どわからなかったけど…」
「っははは、見るからに教えるのは苦手そうだからな。体格は親父と良い勝負じゃないか?」
思い出しながら言うユールの言葉にジグは吹き出した。




