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第18話 返すもの、受け取るもの

四十層の報告を出した時、マーヤが別の書類を渡した。

暁の剣の、未清算の補填についての確認結果だった。


俺の領収書と隊の規約が、同じ時期へ揃った。

ガルドも、支払っていない分があると認めたという。

不足していた銀貨が、袋へ入っている。


俺は数えて、受け取った。

その金を今の仲間に分ける必要はない。

過去に壊れた盾と、俺が立て替えた分の返済だからだ。

リディアとノノも、それぞれの席で頷いた。


三十七層での設備破壊については、別の審査があった。

俺は見たことだけを話した。

切れた線。剣の傷。ガルドが口にした目的。

番人から人を守る時、彼が剣を振ったことも話した。


旧通路の管理担当と、巻き込まれた隊からも説明が集まった。

台座は、開閉だけでなく、周囲の防衛機関を制御するものだったとわかった。

未調査の設備を許可なく壊した責任は、救助へ協力したことでは消えなかった。


ガルドは、半年の探索免許停止。

勇者の資格も停止され、戻るには改めて審査が要る。

破壊を一緒に進めた者にも、それぞれの行動に応じた処分が出た。

エルメはその日、隊に同行していなかった。


ギルドは、ほかの隊にも説明を出した。

俺が勇者を倒したから、俺の判断で処分したわけではない。

そこを曖昧にしたくはなかった。


ガルドは、窓口の前で待っていた。

剣は持っていない。

彼は俺を見ると、今度は先に頭を下げた。


「支払いが遅れた。認めるべきことを、認めなかった」


俺は袋を鞄へ入れた。


「受け取った」


それ以上、戻れとは言われなかった。

ガルドは、後ろを通るリディアとノノへも頭を下げた。

ノノは、耳を一度動かしただけだった。


俺たちは、鍛冶場へ向かった。

四十層の盾は、大きくは傷んでいない。

ドランは内側の留め具を確かめ、一本だけ取り替えた。


「今度は、使わずに残した所が多いな」


彼は言った。

俺は、新しい傷の場所を指した。


「返せないものが来た。二人が道を作った」

「なら、ここは生きて帰った傷だ」


ドランは、小さい工具を片づけた。

反射の威力が増す細工は、最後まで出てこない。

今ある盾を、次にも握れるようにしてくれた。


その日の夕方、救助された隊の一人が、宿へ来た。

ノノのために、地図を渡した。

四十二層から先で見つけた、足場と水場の記録だ。

自分たちが確認していない所は、点線になっていた。


ノノはそれを見て、嬉しそうに耳を上げた。


「ありがとう。私たちが見つけた帰り道も、渡す」


二人が、地図を並べた。

金だけではない報酬だった。

次の未知を、少し安全にするものが増えた。


夜、リディアが俺へ聞いた。


「返済された分、何に使います?」

「少し残す。あとは、古い盾の置き場所を作りたい」


彼女は、壁へ立て掛けた盾を見た。

新品の銀の盾ではない。

曲がった縁と、何度も替えた革が残る、前の盾だ。


「捨てないんですね」

「世話になったからな」


俺は、古い持ち手へ触れた。

誰かが要らないと言った日にも、持って出てよかった。

その道具が、今の三人へ繋いでくれた。


リディアは、俺の隣へ立った。


「いい置き場所、作りましょう」


彼女の声に、俺は頷いた。

新しい家のことを、一人だけの予定として話さなくなっていた。

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