第12話 友達になる勇気
2行あらすじ
水野と変な距離ができて、気まずかったが、水野の隣の席がカナタだという事を知り、安心した。
そして、三時間目の体育――。
―3時間目―
―体育―
~現地場所・体育館~
「はーい!注目!!」
体育の教師である、郷田が胸を張り腰に手を当て大声で、体育座りしている僕ら生徒に声をかける。
相変わらず、ゴリラ顔に似合わない青髪だな。
「今日から、体育の授業を始める。本来なら、男子はサッカーをする予定だが」
だが?
「学校の方針が変わった。これからは男女混合で体育をすることになる」
え?、そんな事ある?。なんか、色々と問題な気もするが・・・・。
郷田は、そう言い終わると首にかけている笛を吹いた。
「二人一組でペア組んでストレッチしろ~」
普通は男女混合になったら、何かしらの意見とかあるだろ?。僕らは高校二年だぞ?。
周りは、僕の考えとは裏腹に、全く気にしていない様子で立ちあがって、男子は男子でペアを作り始めた。
え~そんなもの?、僕が気にしすぎなだけか・・・・?
「ま、問題も起きなさそうだし、いいか・・・。さぁて、高橋とペアを組むとするか」
僕も立ち上がり、体育館の中を見渡した。
あれ?、高橋どこだ?。
あ、いたいた。あんなところでストレッチしやがって、僕はまだここにいるというのに。
僕は高橋の方へと、歩みを進めた。
ん?、もうストレッチしてる?。
高橋の後ろを見ると、クラスの男子が背中を押していた。楽しそうに談笑しながらストレッチをしている。
なんだ、ペアもう組んだのかよ。じゃあ、僕は他の人と・・・・、あ。
「・・・・友達、高橋しかいないわ」
僕は心臓が飛び上がるのを感じた。この、二人一組というモノに初めて危機感を覚えた。
ウソだろ!、というか、なんで高橋は僕とペアを組んでくれなかったんだよ!。いつも、大体一緒なのに!。
「ハッ、ハッ、ハッ」
息が荒くなるのを感じる、変な汗が止まらない。なんだか、世界で一人の様な気分になる・・・・。体育着という間抜けな恰好をしているも不安を加速させる。
なぜか、周りをキョロキョロと確認してしまう。
この、二人一組というモノを作ったやつを今すぐにでも、締めあげたい気分だ。
「ハッハッハッ」
「ハッ、ハッ、ハッ」
「ハッハッハッ」
「ハッハッ、ハッ・・・ん?」
僕以外の過呼吸?
僕は後ろを振り返った。
後ろには、ちょっと離れた所に僕と同じ感じで冷や汗ダラダラで過呼吸になっている、水野がいた。
「ハッ・・あっ」
やばい!目が合ってしまった!!。
今、水野と関わるのはまずいのだ。
なぜなら、水野はカナタに助けられるというイベントは恐らくココなのだから。
僕は、水野から目を逸らし、前を向く。
恐らくだが、このデカい水野が一人で焦って心を折れかけた所にカナタが「僕と組もうよ」(無意識人助け)水野は「はっこんな私に!」(デカ女に似合わない少女漫画キャンキャン顔)、と、こんなぐわいに起こるはずだ。
だから、どんなに水野が可哀そうでも手を貸しては――
というかその前に、肝心のカナタはどこにいるんだ?、二時間目ぐらいまでは普通にいた気がしたが、なんでよりもって、今いないんだよ!。お前の水野が困ってるぞ?、お前が助けるのはこういうタイミングだろ!?。
トン
その時、僕の肩に重い感触がした。
僕は嫌な予感がしつつも肩越しに振り返った。
「や、山田。ペア、組もう。」
「み、水野・・・」
水野は、顔から冷や汗をダラダラと流しながら睨んでいる様なジト目で僕に声をかけてきた。
ひ、必死だな。
「あ、僕はた―」
「高橋くんは、もうペアいるでしょ?」
水野は僕の顔を上から見下ろす。2メートル級の巨人に見下ろされる。
こ、怖い・・・・。
「お願い」
水野は、少し目に涙を浮かべていた
「分かった」
流石にコレを断るのはひどいと思い、承諾した。
水野の顔が途端に、明るくなる。
「山田!ありがと!」
水野はしゃがみ、僕と目を合わせニコッ笑った。
ん!!
「う、うん。」
な、なんだ。今の胸の脈打ちは・・・。
水野は、僕の腕を掴み、体育館で開いているスペースを見つけるとソコで、ストレッチを始めることになった。
「わー!山田!柔らかいねー!」
水野は、僕の背中を押しながらそう言う。
そうだろ?、実は体が柔らかいのが自慢なのだ。前後開脚も実は出来る。
「山田って、なんかスポーツしてたの?」
「スポーツはしたことないよ」
「じゃあ、空手とか?」
父親から護身術は習っていたが。アレは空手だったのか?、皆は胴着着てたけど、空手と言われれば全然違う様な・・、関節技もあったし。
「う~ん、護身術?」
「へぇ~!凄いねぇ~!!」
水野は、いつの間にか、僕の前に周りしゃがみんでいて、ニコニコと笑っていた。
「!!」
水野の、太ももに挟まっている股の肉に目がいく。僕は急いで目を下に向けた。
「じゃあ、山田。今度はウチの背中押して~」
「う、うん。ちょっと待ってね」
僕は数分深呼吸をした後に、ゆっくりと立ち上がった。
「おさまった・・」
「なにが?」
水野がキョトンとした顔で首を傾げる。
水野、君には早い。
「なんでも。じゃあ、今度は僕が水野の背中を押すよ」
「お願いー」
水野は体育館の床に尻を座らせ、股を開いた。
「へぇ~水野も柔らかいんだ」
水野は此方を見上げる様に振り返り、顔をニコッとさせながら、ピースをした
「バレー部だったからね!」
「あ、そうだったね」
この時、最初に感じた違和感に気づいた。
水野って手がデカいんだ。体もあんなにデカいから当然といったら当然か。握手したときになんか違和感があったけどそういう事だったんだな。
「水野って手でかいねー」
「!」
水野のは急に顔を赤くし、手を前に隠した。
「女の子っぽくないでしょ」
「いや、手綺麗だよ。」
水野の耳が赤くなった。
「あ、ありがと」
というか、手に綺麗とか汚いとかあるのか?。まぁ、綺麗と言ってれば嫌な気分はしないだろう。
「じゃ、背中押すねー」
僕が水野の背中を触り、少し力を入れた。
「おっ、柔らかい」
「でしょ~~」
水野は綺麗に開脚前屈をした。
その時、水野は少しほくそ笑んだ。
「ふふっ」
「ん?どうした?」
水野は顔を横に向け、僕に横顔を向けるようにした。
そして、横目で僕の顔を見た。
「ふふっ。高橋くんが来た時はなんか逃げちゃったけど、」
教室の、あの時か。
「別に逃げなくても良かったのにねー」
僕がすかさず、そう言う。
「高橋くんと山田が喋ってるの見ると、なんだか疎外感っていうか、そういうのを感じちゃって」
水野は、口をニヤッとさせ
「でも、山田も案外こっち側なんだなぁ~ってのが、さっき分かってね」
水野は、思い出し笑いをしているようだった。
さっき?
水野が僕の顔をみて、「覚えてないの?」とクスクスと小さく笑った。
「ウチって、去年からペアを組む事になると、冷や汗ダラダラで息も荒くなっちゃうんだよね」
僕もさっき体験したから、分かる程に分かる。
「でもさっき、ウチみたいな人が他にもいるんだって事が分かってね」
「・・・・それって、僕の事?」
水野はクスクスと笑う。
水野が、背中に力を入れたのを感じたので僕は押している手を離した。開いていた足をしめ、ゆっくりと立ち上がりながら、笑みを浮かべながら僕に喋りかける。
「ふふっ、そうだよ。あっ、別に嫌な意味じゃないよ。ただ、山田みたいな人も、人と一緒じゃないと心細くなっちゃうんだって思って――」
水野は立ち上がり、顔を下に向ける。僕は顔を上げ、見上げる。
水野はニコッとした笑顔をした。
「――安心した、ありがと」
「なんだよ、それっ」
僕は、無意識に笑いながら水野に軽いツッコミをしていた。
なんだか、水野と、距離が少し近くなったのを感じた。
僕を横目に違うストレッチをしている、水野を見ながら僕は、自分の考えが少し悪かったのを感じた。
そうだよな。水野も水野で困ってるから、僕に勇気を出して声をかけたんだ。
それなのに僕は、水野から離れたいとか、その訳は主要キャラだから、とか意味が分からない事を思って・・水野に申し訳ないな。
僕と違って、めちゃくちゃいい性格しているし、長所もいっぱいある。髪の色も黒だし。
輝く彗星の様に現れた転校生のカナタに気を取られてしまって僕はおかしくなっていたんだな。
その事を、お茶目な水野を見ると思う。
「あ、でも。あの転校生どこにいったんだ?」
無意識に思ったことが口から漏れた。
「一ノ瀬くんの事?」
水野が、腰に手を当て上体を反らしながら、僕に訊いてきた。
「あ、うん」
水野が上体を元に戻して、上の体育着を下に軽く引っ張った後に、口を開いた。
「一ノ瀬くんって、よく分かんないよね。すごいイケメンなのは分かるけど」
「え?」
どっちかって言うと、君もそっち側なんだけどなぁ・・・・
それよりも、そんな事を水野はカナタに思ってたのか。意外だな・・。
僕は水野に「どんな所が?」って訊いてみた。
すると、水野は手を打って「山田は一週間休んでたもんね」と言って話し始めた。
「なんかね。山田が保健室に行った後にね、一ノ瀬くんをバカにする人がクラスに来たんだよね」
「ん?、クラスの外って事は、他の組の人って事?」
「そそっ。ウチもビックリしちゃって固まっちゃったんだけど。神崎さんがそのクラス外の人に注意をしてね」
僕は、少しなんとなく、話の内容が分かってきた。答えを当てるように水野にこう言ってみた。
「――それで、神崎さんが、押されたとか、ちょっとひどい目にあって、カナタがそのクラス外の人を懲らしめたんだ。」
水野は目を見開き「おー!、よく分かったねー」と感心の声を上げた。
まー、なんとなくね。と心の中で苦笑いした。
「でもね」
「でも?」
水野は、指を掲げて、これからが本題って感じの雰囲気を出した。
僕は、思わず唾を呑む。
「――そんな感じな事が、一週間連続で起こったんだよ!。」
「あ、ふ~ん」
「これって、おかしいよね!。一ノ瀬くんって、ものすごい恨みを買ってるんだよ?、転校生なのに。」
確かに、おかしい。だが、水野、それは割とこのおかしくなった学校では、普通の事なのだよ・・。
ん?、そういえば、神崎さんって今日見てないな。
僕は体育館中を見渡した。
既にストレッチを終えて、ボールで遊ぶ生徒や時間を伸ばしてストレッチをしている生徒。
「あれ?、何名か、いないな」
水野は、僕がふいに思ったある事で悩んでいる間に、そそくさと、ボールをかごから取りに行っていた。
いないのは、カナタと神崎さん、そして、桜さんと・・・楓。
「カナタ以外、全員女子か・・・」
なんだか、嫌な予感がするのを、ボールを取ってきて、此方にニコニコで小走りで来る水野を見ながらそう思った。
もしかして、カナタ関係の何かしらの事が起こってるかもなぁ・・・。
僕は水野にボールをパスしての感じで、手を上げた。
水野は、上手いトスを僕に向かってあげた。流石、元バレー部。
僕はそれをキャッチする。
「はーい!、山田のばん~!」
水野は笑顔のまま、腰を落として、バレーの態勢を取った。
「おっけ~」
僕はボールを上げ、落ちてきてところでボールを叩いて水野の方へボールを上げる。
水野はそれを両指でなれて手つきで返す。
ボールが体育館の照明に重なる。ボールがこっちに落ちて来る途中、僕はふと考えてた。
カナタと一緒って事は大丈夫だと思うけど、楓、ケガとかしないでほしいな・・・。
落ちてきたボールを水野にトスで返した。
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




