第11話 水野には友達がいない。
一行あらすじ
水野と少し距離が出来てしまった。それを埋めようと思ったが、僕は重大なある事に気づいた。
あれ、ちょっと待てよ。
僕は、再度、後ろを振り返り、水野の方を目を細めてじっくりと見た。
その時、水野と目があったが、今度は水野の方が僕から目をすぐに逸らした。
だが、そんな事はどうでもいい。気まずい感情など行動している時には感じないものだ。
「イケるぞ・・これは」
心の声が思わず声が漏れた。
だって、水野の隣の席にいるヤツは、僕の妻になる筈だった幼馴染をちゃんとした形式で寝取った男だ(まだ、寝取りではないが)。
その男は転校初日に、クラスの美人や可愛いと評判の女子とハーレムになる伏線を張り巡らせた男。
この学校の、いや、何かしらの主人公であろう男。
水野の隣の席、窓側の席で窓の外を空虚な目で見つめる赤髪のハーレム系主人公〈一ノ瀬 彼方〉がいる。
勝ったぞ、これは・・・
「山田、いきなり、両腕を上に突き上げてどうしたんだ?」
バカな高橋にしては、やけに具体的な言い方だな。
ククッ、だが、今は気にしないでおこう。この無意識に上げてしまった両腕は恥ずべき事ではない、この勝利のポーズは文字通り勝ったと思ったから体がしたのだ。
勝利を恥と思え、という家訓はわが家にはない!。
「ククッ!、なんでもない。」
「気持ちわりー笑みだな。」
ひ、ひどいな・・・。
高橋は両腕を後ろに組み、こちらを見つめたまま、鼻で一息ついた。
「ま、なんでもいいから、そろそろ腕下せよ。なんか、目立ってるぞ」
クラスの全員って訳ではないが、何名かがこちらを見ていた。
「あ、」
僕はあくびをした後って定で、ゆっくりと腕を下した。
高橋はため息をし、僕の肩を掴んだ。僕は高橋の方に引き寄せられた。高橋の息が耳に当たる。
高橋は僕の耳元で、小さな声で口を開いた。
「なぁ、そんなにカエデちゃんに振られたのがショックなのか?」
僕は、急にそんな事を言われたので思わず目を見開き驚いた。
「な、なんで、急に?」
僕も小声で答える。
高橋は僕の肩を掴んでいた手を離し、普通の声量で今度は口を開いた。
「だって、今日の山田の髪型おかしいぞ?、ウニみたいになってるぞ?。いつもは、親の仇位にくせ毛が一つもないすべすべした髪型なのに。」
スベスベした髪型?、僕の七三分けヘアーの事を言ってるのか?。
高橋は再度、僕の肩を掴み、僕は高橋の方に引き寄せられた。高橋は僕の耳元で小さな声で口を開いた。
「そんなにショックだったのか?、大丈夫か?」
!、高橋は僕の事を心配してくれてたのか・・・・、優しいな。コイツはいつも優しい、高1の時も、コイツから僕に喋りかけてきたんだよな。あの時は、嬉しかったな。
僕は、高橋の耳元に口を近づけ、小さい声で高橋に答えた。
「・・・大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
高橋は僕の声を聞くと、耳をバッと僕から遠ざけた。高橋は顔を赤らめていた。
「きゅ、急に恥ずかしい事いうなよ・・」
高橋は耳を赤くしながら、照れたようにしていた。
!・・・、ククッ、コイツも照れるとかあるんだなぁ~。
僕は高橋の顔を脳裏に焼き付けるように見つめた。
「な、なんだよ!、ニヤケやがって!」
「別に~」
その時、教室の戸がガラガラと音を立て開いた。
「さ、授業始めるぞ~」
数学の先生がそう黒いヤツを片手に教室に入ってきた。
クラスの男子が口を開いた。
「え、チャイムなってませんよ。」
「朝の体育館のヤツで押したんだよ。今はもう数学の時間なの」
「え~~~、じゃあ、もうこの時間は自習でいいじゃないですか」
「「「そうだそうだ」」」」
クラスの男子たちがそう数学の先生に講義するのを横目に僕は、ある事が気になっていた。
「」チラチラッ
なんだか、前の席の桜さんが、さっきからこちらをチラチラと見ている・・・。
「桜さん?どうかした?」
「!、き、聞いてないです!!」
桜さんは、見るからにあたふたとしていた。
もしかして、高橋と僕の会話を聞いてた?
僕は桜さんの肩を優しくトントンっ叩いた。
桜さんは顔を赤らめながら、腰捻って振り向いた、僕の目をチラッと見ると目を逸らした。
あ~、これは確実に聞いていたな・・・
僕は、口の横に手を置き、小さな声で囁く様に口を開いた。
「内緒に、してほしいなぁ~」
僕はここで、すかさず困ったような笑顔をする。
「!!・・・も、もちろんです・・・・」
良かった。これで、用件も終わった。
だが、桜さんは振り向いたまま、なぜか、戻ろうとしない。
「ど、どしたの?」
「あ、あの・・・」
桜さんはそわそわと辺りを見渡すと、小さく手招きをした。僕は顔を近づける。
「み、耳の事ですよ!」
桜さんは慌ててそう言った。
僕は耳を桜さんに向け近づける。
桜さんの温かい吐息が当たる。
なんか、荒い吐息だな・・・。
桜さんは囁き声が耳に入ってくる。
「あ、あの、秘密にするので・・・、進展があったら教えてください。」
「しんてん?」
「高橋くんとの・・・」
ん?・・・・高橋との進展?、な、なんの事だ?。
「実は、私・・・そ、そういうのす、好きなんですよ・・・」
桜さんの照れた小さな声がぼくの脳内に響いた。
はっ!!、ま、まさか!、桜さんは実は高橋の事が好きだったのか!?
僕は耳を桜さんから放し、目を見開き、桜さんに目を向けた。
「う、うん。分かった」
「・・あ、ありがとうございます。」
桜さんは赤くなった顔を隠しながら小さな声でそう言った。
僕は後ろを振り返り、シャーペンを握っている高橋の手を上から包むように触った。
「お、おめでとう・・・」
「なにが?」
高橋は気だるそうにそう言った。
「高橋、僕たちの距離はコレから離れるけど、ずっと一緒だからな。安心しろよ。」
リア充になった友も敵にするヤツもいるというが、僕はそんなことはしない。友の幸せは心からいのるものだ。
「なんだよ、急に」
「そういう事だ」
僕は首を傾げる高橋にグッチョブをし、前を向いた。
「・・・さ、桜さん?」
前を向くと、桜さんがまた、こちらに振り向いた。だが、その顔は無表情で少し怖い。
なんか、鼻から血が垂れてる様な・・?、ケチャップかな?。
「告白宣言・・・・」
「ん?」
桜さんは、そう呟くと前を向いた。
な、なんだったんだ?
そうこうしている内に一時間目は終わった。
その後の、二時間目の理科もなんの問題もなく終わった。
だが―――、問題は三時間目の体育の時間で起こった。
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




