表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エコー・イミューン ―終末世界の守護者―  作者: 泉水遊馬
浦波ビレッジ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/26

第22話 帰還と静かな声(前編)

夕暮れの浦波ビレッジ。

オレンジ色の空が海面に長く反射し、波間の湯の煙突から白い湯気が静かに昇っていた。

桟橋に漁船がゆっくりと横付けされると、村人たちのざわめきが広がった。


「燃料、取れたのか……?」

「待てよ、あの男……外国人だぞ?」


村人たちが燃料ドラム缶と、見知らぬ長髪の男を交互に見つめていた。

マイケル・ハリスは船から降りる際、3年ぶりの自然光に強く目を細め、片手で顔を覆った。


瘦せ細った体がわずかに震えていた。

泉透はマイケルの脇を支えながら、落ち着いた声で村人たちに告げた。


「燃料探索は成功しました。

そして、この方はマイケル・ハリス。

米海軍の上等兵曹です。

基地の地下で、3年間一人で生き延びていました」


ざわめきが一瞬大きくなる中、佐伯健一村長が前に出て手を挙げた。


「皆、落ち着け。まずは白峰先生のところへ連れて行く。

詳細は後で説明する」


マイケルは周囲の視線に体を強張らせながらも、泉透の静かな声に少しだけ肩の力を抜いた。



医療棟。


白峰凛はすでに準備を整え、簡易ベッドの上で待機していた。

室内の明かりが比較的柔らかく調整されているにもかかわらず、マイケルは入室した瞬間、強い光過敏の反応を見せた。



マイケル:

「(掠れた声で)It’s…… too bright.」

(眩しい……。)


泉透はすぐに彼の隣に立ち、肩に軽く手を置いた。


泉透:

「It’s okay, Michael. This is our doctor, Dr. Shiramine. She will check on you. I’ll stay right here.」

(大丈夫です、マイケル。こちらは私たちの医師、白峰先生です。診察を受けましょう。私はここにいます。)


白峰凛は冷静に、しかし優しい口調で言った。


「白峰凛です。動かないで。まずは簡単な診察をしますね。

……随分と瘦せています。

栄養状態がかなり悪いわ」


凛が聴診器を当て、瞳孔や皮膚の状態を確認する間、マイケルは何度も泉透の方へ視線を向けた。

泉透は一言も無駄に話さず、ただ静かにそこに立っていた。


その存在が、マイケルにとって唯一の


anchor(錨)のように見えた。

診察の途中で、マイケルが小さく呟いた。


マイケル:

「Your voice…… helped me stay sane down there.

When everything was silent…… I kept remembering calm voices like yours.」

(あなたの声は……地下で僕を正気でいさせてくれました。何もかもが静かになった時……あなたのような落ち着いた声を、ずっと思い出していました。)


泉透は静かに頷き、品のある声で答えた。


泉透:

「You did well to survive, Michael.

Rest now. You are safe here.」

(よく生き延びましたね、マイケル。

今は休んでください。ここは安全です。)


白峰凛がカルテにメモを取りながら、泉透をチラリと見た。

彼女の目には「珍しいわね、泉さんがこんなに近くに寄っているなんて」という驚きが浮かんでいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ